小説『短編恐怖物語集』
作者:Maifa(アクアマリン)

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俺は今日、入院中の知り合いのお見舞いに来ていた。


「いや〜今日はありがとうね龍二くん。」

龍二「いいえ、じゃあ俺はこれで。」

そう言って俺は病室を出た。

龍二「(それにしても、今日は子供が多いな・・・)」

病院内には、小学生が10人ほどいた。
その小学生は一つの病室から出てきて、病室にいるらしい人物に手を振っていた。

俺は、その光景を眺めていた。

そしたら、中にいる子が俺に気付いたのか声を掛けてきた。

「ねぇ、お兄ちゃんもお見舞い?」

龍二「え、あ、ま、まぁ・・・」

俺がどもりながらも返すと、その小学生の少年は目を輝かせて言ってきた。

少年「そうなんだ!
   あ、お兄ちゃん見て見て!!この鶴たちね、さっきの子たちがクラスで作ってくれたんだ!!」

無邪気な顔で指をさした方向には、綺麗な千羽鶴が飾ってあった。
一つ一つが小学生らしく織られていて、どこか懐かしい感じがした。

龍二「こんな綺麗な千羽鶴を作ってもらって、お前は幸せ者だなっ!」

と、俺は少年の頭を優しく撫でた。

  ガチャッ

その時、看護婦が来てこう言った。

看護婦「智弥く〜ん。
    そろそろ検査の時間だからお医者さんの所に行こうか。」

少年の名前は智弥と言うらしい。
智弥くんは「は〜い!」と返事をして俺に手を振って看護婦と一緒に病室を出た。

龍二「・・・俺も帰るか。


       ん?」

俺はベッドの下に落ちている2羽の折り鶴を見つけた。
おそらく、千羽鶴に付いていたのが落ちたんだろう。

俺はその鶴を拾った時に、紙との間に何か黒いモノが見えた気がした。

龍二「?なんだ?」

気になって鶴を開いてみると、そこには衝撃的な事が書かれてあった。


     




            (死ね!!)




黒いペンで、何度の何度も重ね書きしたような字。
咄嗟にもう一つの鶴も開いてみたら、それにも同じような事が書かれてあった。




俺はあの後、智弥くんに鶴を渡せずにいた。
帰り道、折り紙を見つめながら考えた。


こんな事が書かれている鶴だけが落ちたとは考えにくい・・・・
だとしたら――――――




  




                    千羽全部の鶴に、(死ね)と書かれていた。





そうに違いない。
きっと、智弥くんのクラスメイトは・・・・・智弥くんを呪おうとしているんじゃ・・・・?

そう考えると、鶴を返さないでよかったと改めて思った。





   幽霊や悪霊より、人間の呪いの方が怖いのです・・・・―――

   あなたも、身の周りの人に気をつけて下さいね・・・?

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