龍一「おーい!もう部活終わるぞ!!」
俺は、いつものように高校生活を送っていた。
そしてサッカー部の練習が終わり、親友の崇と一緒にグラウンドを整え部室に向かった。
崇「あ、ヤベ。教室にノート忘れた。
龍一、一緒に来てくんね?」
制服に着替えていたら、崇がそんな発言をするから仕方なく崇につきあった。
* *
崇「え〜っと、お、あったあった!」
龍一「ったく、お前は適当すぎるんだよ。
だから忘れ物するんだって。」
崇「はいはい、これからはしっかりしまーす。」
龍一「絶対にしっかりする気ないだろ・・・」
他愛もない話をしながら、玄関口に向かって歩いた。
今は11月なので、5時になったらもう外は真っ暗だ。
それに今日は職員の人が早く帰ったらしく、校内のどこにも明かりはついてなかった。
それが余計に嫌な雰囲気を作り出している。
崇「なぁ、あそこのロッカーの右から5番目を午後5時5分に開けると、金が入ってるらしいぜ。
今日クラスの奴らが噂してたんだ。」
崇が廊下の端にあるロッカーを指差しながら言った。
龍一「そんなバカな〜」
そう言いながらも、ちょっと見てみたいと言う好奇心があった。
崇はもうとっくに好奇心に負けてるみたいで、ロッカーに駆け寄った。
崇「龍一、今何時だ?」
龍一「えっと、5時4分・・・あと1分だ。」
崇「おぉ〜!ナイスタイミング!!」
俺は自然とロッカーに手を掛けていた。
崇は10秒前になるとカウントダウンをし始めた。
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 ――――――
ガチャッ
龍一・崇「「…う、うわああああああああああああ!!!!!!!」」
俺と崇はロッカーの中を見た瞬間、全速力で走りだした。
だって、ロッカーの中には・・・
血で濡れた赤い顔でこちらを見ている、小さなお婆ちゃんが居たから。
あの日以来、俺たちはあのロッカーには近づかなくなった。
一体あのお婆ちゃんは、何を伝えたかったのだろう。
それはずっと、謎のまま・・・