小説『短編恐怖物語集』
作者:Maifa(アクアマリン)

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凛「おはよっ龍一!」

 パンッ

私は挨拶をしながら友達の龍一の肩を叩いた。
そしたら龍一は振り返り「・・・おはよう」と小さな声で呟いた。

凛「どうしたの?
  顔色悪いよ?」

そう。龍一の表情は、いつものイキイキとした表情ではなく・・・・



           どこか生気を失っているような顔だった――――


凛「保健室行く?」

私がそう言うと、龍一は首を横に振って「大丈夫」と言った。
その時、彼の親友である崇が教室に入って来た。

崇「おっす龍一!」

崇も、私同様肩を叩こうとしたが私が止めた。

崇「?どうした?」

凛「龍一、今日体調が優れないからそっとしておいてあげて?」

崇「ふ〜ん」

彼は「分かった」と言い、自分の席に着いた。
ちょうどその時チャイムが鳴り、先生が入ってきた。






かれこれ、もう放課後。
未だに龍一は俯いている。
私は龍一が心配でたまらなかった。
別に恋愛感情とかは全くないけど、何かが違った。

いつもの龍一なら、体調が悪くても明るくしていた。
どうして今日は・・・・・・・・?






 ――――後日――――

 ガラッ

凛「龍一・・・?おはよう・・・」

私は恐る恐る声を掛けた。
そしたら・・・

龍一「ん?どうしたんだよ凛。
   そんなへっぴり腰で。」

と、笑いながら言った。
昨日のが嘘みたいだ。
私は安心してホッと息を吐いた。

崇「お〜う龍一!今日は元気だな!!」

崇が龍一の後ろから現れた。
突然の登場に軽く笑ったら崇も満足そうな顔をした。

凛「そうだね。
  昨日、龍一ぜんぜん元気無かったんだもん。心配して損した気分。」

崇「俺も!」

と、二人で昨日の龍一について話していると、龍一が信じられない言葉を口にした。

龍一「何言ってんだ二人とも・・・・・?
   
















             俺、昨日は風邪引いて学校休んでたじゃん・・・。」










凛・崇「「えっ・・・・?」」

私と崇は顔を見合わせた。
崇の眼にはうっすらと恐怖の色。
きっと私の眼も同じだろう。


私たちが昨日見たのは・・・・・・・誰?



 あなたもそんな事・・・・・ありませんか?

-30-
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