龍二「へっくし!
う〜〜寒い・・・何でこんな日に限って忘れ物したんだろ・・・」
俺は学校から帰る時、うっかりして携帯を教室に忘れてしまった事に気付いた。
なので今、寒い中鞄を手に持ったまま再び学校へ戻っている。
道は暗く、街灯は結構先にあった。
そして、その街灯の所まで来たら、自分の足元に紙が落ちている事に気が付いた。
龍二「?何だ・・・」
俺は紙を拾い、見てみる。
その紙には、幼稚園児が描いたような絵があった。
絵に描かれているのは『人間』と『鳥』。
鳥の描いてある位置からして、この人間は横向きに寝ている状態だ。
仰向けで寝っ転がっている人の上には黒く大きな鳥。カラスのようだ。
龍二「不気味な絵・・・」
その絵は、とても不気味だった。
カラスのような鳥はいいとして、問題は『人間』の方だった。
龍二「・・・・何で首だけ・・・?」
そう。描かれているのは人の首だけ。
首から下の部分は、手だけしかなかった。
その手もまた不気味な物で、赤く塗りつぶされている。
龍二「誰だよこんな絵描いたの・・・」
幼稚園児や小学校低学年の子にしちゃ、納得できなかった。
こんな気持ち悪い絵、そんな小さな子が描けるものか。
俺はそれ以上考えるのが何故か怖くなり絵から手を離した。
俺は絵をポイッと投げ捨て、少し早足で再び学校へと向かい始めたのだ。
龍二「あったあった。」
俺はそれから無事に学校に着き、携帯をズボンのポケットに仕舞って学校を出た。
俺は来た道と同じ道を通った。
あの絵は、まだあるのだろうか――――・・・?
無意識のうちに、あの絵の事を考えていた。
よっぽどインパクトがあったからな・・・
そんな事を考えながら、空に浮かぶ星を見ながら歩き続ける。
前をしっかり見ていなかったせいか、俺は何かに躓いた。
龍二「うわっ!なんだよっ・・・・!!」
振り返り自分の足元を見た俺は一瞬固まった。
だって、目の前には・・・・――――――
女性の首と、腕らしきものが転がっていて、大量の血を流していたから
顔と腕以外の身体のパーツは見当たらない。
腐った人間の肉の臭いを嗅ぎつけやって来たカラスが顔を突く。
龍二「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
俺は勢いよく走った。
警察へ電話をして家に帰った。
バタンッ
早和子「あら、遅かったじゃない。どうかしたの?」
龍二「え、あ・・・・忘れ物して・・・」
そこまで言って予想が付いたのか、母さんはそこで俺に言葉を被せた。
早和子「なんだ、そうだったの。
あまりに遅いから事故にでも遭ったんじゃないかって思って。心配したわ。」
龍二「ご、ごめん・・・。」
俺はそう言って、自室に行った。
そう言えば、俺が見たあの光景・・・・――――
俺が拾ったあの絵にすごく似ていた
これはただの偶然なのか・・・?
いや、偶然なわけない・・・・赤く染まった腕、顔――――
そしてその周りにいたカラスのような黒い鳥・・・
俺が拾った絵は・・・誰が描いたものなのか・・・・それは一生ワカラナイ。