崇「こっちこっち!早く来いよ龍一!」
龍一「テメェが速いんだろーが!」
ある日の放課後、俺は親友の崇に誘われ校舎の裏に来ていた。
崇の話ではここに何かあるらしい。
龍一「で、一体何があるんだよ。」
俺が聞くと、崇はちょっと不気味な笑みを浮かべてこう言った。
崇「じ・つ・は・・・この学校の裏サイトで見つけたんだけど・・・。
ある書き込みに『この学校の校舎裏にある壁の小さな穴を覗くと、悪霊に喰われる』って書いてあったんだ。」
何処か楽しげに話す崇を見て俺はこう言った。
龍一「そんなのあり得ないって!
幽霊なんているわけねぇって!」
崇「いやそれがマジなんだって!
俺の知り合いが実際に覗いてみたら、数日間意識が戻らなかったらしいんだ!」
龍一「・・・・・マジ?」
崇「だからさっきから言ってんだろ!」
俺は崇の話を聞いて、信じた。
でも、軽いノリのようなものだったので、冗談半分で一緒に覗いてみようって事になった。
龍一「そんで、その穴ってのがコレなんだな?」
俺が指差した壁には、直径2cm位の穴だった。
崇「あぁ。
じゃ、さっそく覗いてみようぜ!」
龍一「・・・・あぁ。」
そして俺と崇は穴を覗いた。
だが、覗いても何も見えない。ただ壁の向こうの一軒家が見えるだけ。
龍一「なんだ、何もねぇじゃねぇかよ。」
崇「おっかしいなー・・・」
俺は小さく溜息をついた後、帰ろうと後ろを向いた。
その時、俺は「ヒッ」と声を上げて壁にもたれかかった。
崇「?どうしたんだよ龍・・・い、ち・・・!!!!」
俺の名前を呼びながら後ろを向いた崇も、俺と同じように壁にもたれた。
だって、目の前には・・・
血まみれの男が這いつくばっていたから―――――――
俺たちは声にならない叫びをあげて逃げようとした。
だが男は手を伸ばして俺たちの行く手を阻もうとする。
龍一「ッどけよ!」
ガンッ
俺は男を蹴り飛ばし逃げた。
崇も俺も、全力疾走した。
学校から走って逃げた後、俺は思った。
もしかしたら、『喰われる』って言うのは・・・腹をすかせたあの男が、穴を覗いている人たちを喰う。
と言う事だったのでは・・・・?
この出来事の後、あの校舎裏に近寄った者はいなくなった。
遊び半分で、恐怖を体験しようとしてはいけませんよ・・・