「じゃあねー!」
「またなぁ!!」
「おう!また明日!!」
高校の近くの中学校の中体連が終わり、元気な中学生の声が聞こえる中、私は龍一と歩いていた。
龍一「でさぁ、龍二がキレちゃって・・・それ抑えるの大変だったんだぜ?」
凛「龍二くんにもプライドって言うものがあるんだよ。」
他愛もない話をしながら家の前まで着いた。
凛「今日は送ってもらってありがとうね。
お詫びに今度何か奢るね。」
龍一「マジ!?
よっしゃぁ!!じゃあまたな!!」
凛「うん。またね。」
龍一はそのまま走って家まで帰って行った。
凛「何奢ろうかな・・・・ん?」
ふいに横を見れば黒の帽子とジャンパーを着た人がマスクをしてじっとこちらを見ていた。
しかも電柱の影に軽く隠れながら。
傍から見れば完全にストーカーだった。
でも私はそんな経験がないため、ストーカーとは思えず放っておいた。
しかし少し気になった私は、家のドアノブに手を置いた時にその人を見た。
するとその人は私と目があった瞬間、マスクの上からでもわかるような笑みを浮かべて去った。
その笑みに、私は多少恐怖を覚えドアノブを力強く握って回した。
その時、奇妙な感覚がドアノブを握る手に感じた。
凛「・・・・!?」
そっと手を見てみると、そこには血のようなモノがべっとりと付いていた。
ドアノブの方をよく見れば、そこには手についてるモノと同じモノがついていた。
ガチャンッ!
怖くなってすぐに家の中に入り、走って洗面所まで行き手を洗った。
水性のペンみたいに擦ったらすぐ落ちたけど、手に鼻を近づけると微かに鉄の匂い・・・。
血で間違いなかった。
私は無理矢理恐怖を消し去った。
『すいませーん!』
母「?ちょっと凛!出てちょうだい!!」
凛「あ、はーい!」
夜になりご飯を食べ終えてから、誰かが来た。
宅配便かと思った私は、一応ハンコを持って玄関に向かった。
ガチャ
『すみません。こんな時間に。
今、ここら辺である事件の犯人を見たと言う目撃情報がありまして探しているんですけど・・・』
ドアを開けるとこそには警官の服を着た男性が立っており私にそう言った。
一瞬、帰宅時のあの人を思い出したが、それを言ったら結構時間を取られそうなので私はこう言った。
凛「そうですか。
私は知りませんけど・・・。」
そう答えると警官は声のトーンを少し上げて再び口を開いた。
『そうですか・・・。
分かりました。それでは失礼します。』
凛「あ、はい。」
ガチャン
凛「・・・・・」
そう言えばさっきの警官・・・・何処かで・・・。
――――次の日――――
龍一「なぁ凛!今日の朝のニュース見たか?」
凛「え?・・・あぁ、今日はちょっと寝坊して見てないんだ。
ニュースがどうかしたの?」
龍一「それが、昨日の深夜にある男がスト−カーと殺人の容疑で逮捕されたんだって。
新聞にもそいつの顔写真とかが載ってたから切り取ってきた。」
「はい、これが新聞の顔写真。」と言って渡された新聞の切り抜きを見て、私は震えあがった。
昨日の夜来た『警察官』と同じ顔だったから。
龍一「あ、それと、こっちがストーカーとか殺人をしてた時の服装だって。」
また同じような大きさの切り抜きを渡され、恐る恐るソレを見た。
私はもう声も出なかった。
凛「なん・・・で・・・・?」
黒い帽子とジャンパーを着てマスクをしたあの人だった・・・・。
ドアノブの血は、あの人が殺した人の血だったのでは・・・?
そしてあの人の次のターゲットが、私だったのでは・・・?
もしあの時、「知っている。」と答えていたら・・・?
そう思うと、とてつもない恐怖が、身体の奥から湧き上がってくるようだった。
アナタの身の回りに、意外な悪があるかもしれませんよ?
後ろに、お気をつけくださいませ・・・・。