小説『Re:Write(仮)』
作者:桃飴()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 前原が後5分と言ってその時間が経ったが起きる気配がないのは日常茶飯事な前原だが、流石にそろそろ起

こさないと遅刻しそうだったので、俺は携帯電話に入っている着音フォルダーの中から適当に1つチョイスし

てそれを、前原の耳の前で鳴らしてみた。

 前原の耳を中心に部屋中にファンファーレの音が鳴り響く。

すると

「うぉ!あたったBIG確て……おい!夢かよくそっ!」

 俺はよくわからないがこれはパチスロのキングカエルと言う機種の当たり音らしく、普通に起こしても起き

ない前原用に、いくつかこういう着音を仕入れてみた。案外これに騙されるみたいで、いつも起きる時の一言

は上記の様な事を毎回言う。

「もう起きる時間だよ。早くメシ食え。前原のも買っておいてやったから」

 コンビニ袋から汗のかいたコーヒー牛乳を前原の額に置いた。

「サンキュー気が利くね。あとパンもよろしく」

「おっおう」

 コンビニ袋に入れておいたパンを出そうとするも、ない事に気がついた。

あれ?一緒に買ったんだけど、なんでないのと考える事およそ10秒。答えはテーブルにあった。

パンの空袋が3つ。どうやら俺が前原のパンまで食べてしまったらしい。

「ごめん前原のも食べちゃった」

「えっ……」

 結局前原は1人コンビニ行ってパンを買いに行きましたとさ。めでたしめでたし

-12-
Copyright ©桃飴 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える