小説『Re:Write(仮)』
作者:桃飴()

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 家の中は香水とヤニが混ざったような匂いで、前原は吸い込まれるようにテーブルに被りつく否やそこに

置かれていたタバコを手に取って火をつけ吸い始めた。

 決まって前原が言う言葉は

「ぷはー!人間この為だけに生まれてきたようなもんだなおい!」

「おっさんかお前は」

 タバコを吸わない俺に取っては到底理解出来ない事で、何がうまくて吸っているのだろうと常々思う。

 いつもこの時俺の地元駅で屯っているそこから徒歩5分程度先の競艇場に通う中年集団を思い出す。朝は

通勤・通学ラッシュならば、夕方は競艇場通いの中年の帰宅ラッシュと言えるほど人がごった返している。

将来の前原を見ているように感じるのだが、特に根拠はない。ただそう思っただけ。

 くつろぎモードに入っている前原を横目にテーブルに無造作に置かれていたバイク雑誌を見ながら時間が

くるまで時間を潰すことにした。

 最初は座っていたのがだんだんと壁にもたれ掛けて、さらに寝転がり体勢になり自分流のくつろぎモード

に入っていった。

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