小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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やあ皆! 最近じゃあ赤龍帝を宿した神器・ブーステッド・ギアの現持ち主である兵藤一誠だよ!!

なんでこんなにハイテンションになってるの!?

それはね……!!

「私の処女をもらってちょうだい……至急頼むわ」

急に俺の部屋に魔法陣で入ってきた部長が刺激的な日本語を言い放ったからだ……













「は〜……なんかやつれてるじゃねーか?」
「まあな……色々あってな……」
「大丈夫ですか? 今日の早朝トレーニングしてなかったからお体を壊されたんじゃないかと思いまして……」

今、俺とカリフとアーシアは三人で登校している。

なぜカリフとアーシアが一緒かと言うと、アーシアの方は俺の家に住んでいるからだ。

アーシアとはホームステイという形で一緒に住んでおり、父も母も快諾してくれた。

そんでもって一緒に登校していると言う訳だ。

それで、カリフはというと……ヒマだったかららしい。

朝起きたら小猫ちゃんは既に先に学校に行ったという……なにか部長から連絡あったかな?

いつものカリフなら朱乃さんも一緒にいるはずなのに、朱乃さんもいない……

それらを踏まえて、やっぱり昨日の部長の行動が関係しているのか……

そう思っている。

「早朝トレーニング? ほう、殊勝なことだな」
「まあな。前回の件で俺の力不足さが顕著だったし、部長も力を使いこなせるようにとまずは筋トレから……」
「イッセーさん頑張ってるんですよ!」

自分のことじゃないのにアーシアが嬉しそうに言ってくれる。やべぇ……マジいい子だわ……

「ふむ、今度は俺のトレーニングの一割程度の量も加えてやろうか? 腕立て5000回三セットとか」
「遠慮します!!」

冗談じゃねえ! こいつのメニューなんか地獄に決まってる!!

部長たちから聞いたけど、カリフは戦闘力だけいえば既に最上級悪魔と渡り合えるくらいの強さらしい。しかも、特筆すべきはカリフは人間であり、僅か16歳くらいでその境地に至ったという前代未聞の異例を引き起こした。

人の身でありながら既に神の力にまで達する日が近いんじゃないかと言う予想は俺たちを驚愕させた。

そんな奴の練習メニューをしようものなら消滅は確定だと本気で思った。

そして、もう一つの変化が俺を襲っていた。

「そんな……アルジェントさんが兵藤と番長と一緒に……」
「ど……どんな状況だ……!?」
「アーシアさんは兵藤の毒牙に、兵藤は番長のパシリ……こういうことか」
「兵藤……エロい奴だったが、惜しい人物を亡くした……無事眠れ。南無……」

いや、全く違うから。俺はアーシアに毒牙をかけたり、カリフにパシられてる訳でもない……いつか殺されそうなのは確かだが……ていうか最後のはマジ洒落にならないから止めてくれ……

こういう時は大体、嫉妬か怨嗟の声だったんだけど、今回は完全な畏怖の念が籠っている。

こういうのは慣れないな……

松田と元浜が畏怖と嫉妬を交えた視線に包まれた俺たちは学校まで他愛のない会話を続けていた。

俺の学園生活がおかしい方向へと向かっている。

とりあえず、皆がカリフに慣れるまではこのままかな。










今回の授業はカリフの暴走なく無事に終わった。

カリフは多分、寝てるか頭の中で戦いのシミュレーションしたり、電子ジャー持ってクラスを驚愕させたりとしているのだろう。どんだけ戦が好きなんだよ。

そう思いながら俺、アーシア、そしてさっき出会った木場と旧校舎に向かっている。

そして、木場に部長が今、何か悩んでないかを聞いてみた。

「部長のお悩みか……多分、グレモリー家に関わることじゃないかな?」

最近、部長が「こころここにあらず」って様子だったし、この前に行った爆弾発言をする経緯に疑問があった。

俺やアーシアよりも部長と行動しているのだから何か知ってるんじゃないかと思ったけど、木場も知らないのか。

「朱乃さんなら知ってるよな?」
「あの人は部長の懐刀だから知ってると思うよ?」

うーん、本人に聞くのも少しなあ、と思っていたけど、やっぱ朱乃さんか……

何を悩んでるのかは知らないけど、何かあったら俺も何か頑張りますか!!

そう思っていると、木場が歩みを止めた。

「……ここまで来て初めて気配に気付くなんて……」

木場が鋭く目つきを変えて言った。

なんだ? 何事?

不思議に思いながらも俺は部室へと入ると、そこには部長、朱乃さん、小猫ちゃん、そして昨晩出会ったグレイフィアさんがクールな様相を保っていた。

ただ、部長は機嫌が悪く、いつもより冷たいオーラを発したニコニコフェイスを放っている。

小猫ちゃんは隅っこの椅子に黙って座っていた。

できるだけ関わりたくないって様子だな。

木場も「まいったね」と小さく洩らし、アーシアもこの緊迫した空気に気圧されて俺の袖口を握ってきた。

安心させようと頭を撫でていると、部長が口を開いた。

「全員揃ったわね。では、部活前に話したいことがあるの」
「お嬢様、私がお話しましょうか?」

グレイフィアさんの申し出を手を振っていなす。

「実はね……」

これから話が始まる時、床が激しい光を放ち、描かれていた魔法陣が光る。

! これは転移現象!? 何度も見てるから知識の浅い俺でも覚えたが、ここには眷族全員がいる。

じゃあ誰が!?

そう思っていると、魔法陣のグレモリーのマークから別のマークに変わった。

―――っ! これはグレモリーじゃない!?

「フェニックス……」

木場の呟きが俺の考えを肯定させた。

やっぱりこれは……!!

そう思っていると、突然に魔法陣から凄まじい炎が撒き上がった。

「熱っ!」

飛び散る火の粉が俺の肌を焼いていると、炎の中から男性のシルエットが現れた。

そして、腕を横に薙ぐと炎が霧散して治まった。

そして、そこには赤いスーツの男がいた。シーツを着崩し、ネクタイもせずに胸にシャツをワイルドに開けたワル系イケメンだった。

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

そう言って髪をかき上げながら部屋を見渡して部長を見つけると、口元をにやけさせた。

「探したぜ、愛しのリアス」

そう言って部長の元へと近づいて行き、部長は半眼で睨んで歓迎しているとは思えない。

何が何だか訳が分からなくなっていた俺に、さらなる事態が動きだした。

「う〜……あちぃ……」
「あらあら、起きてしまいましたの?」

目を擦りながら寝ぼけ眼で起きてくるカリフがソファーの影から現れた。

そこにいたんだ……ってか朱乃さんに介抱されながら起き上がる姿は姉弟に見えてしまった。









そこから話がどんどんと進んでいった。

どうも、あのいけすかねえ男の名はライザー・フェニックスと以前に木場から聞いた『七十二柱』を存続させるために選ばれたフェニックス家の末っ子らしい。

七十二柱……大戦以前に存在した純血の上級悪魔が連なる名門の家系であり、部長の家もその一つ。

そして、ライザーがここに来たのはその挙式のためらしいのだが……

「ライザー! 以前にも言ったはずよ! 私はあなたと結婚なんてしないわ!!」
「そんなこと以前にも聞いたな。だが、そんな我儘が通用しないほど君のお家も切羽詰まってるはずだ」

どうやら部長はこいつとの婚約を嫌がっている様子だ。

ずっとこんな話が延々と繰り返していた。

「家を潰す気は無いわ。婿養子も迎え入れる」
「おお! 流石リアス! じゃあ早速……!」
「でもあなたじゃないわ。私が認めた者と結婚する。古い家柄の悪魔にだってそれくらいの権利はあるわ」

満面の笑みだったライザーは表情を一変させて、不機嫌に目を細めてあからさまに舌打ちする。

「……俺もなリアス。フェニックス家の看板を背負ってんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだよ。こんな狭くてぼろい人間界の建物なんかに来たくなかったし、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚くてなぁ、炎と風を司る悪魔としては耐え難いんだよ!」

その瞬間、ライザーの周りで炎が駆け巡った!

「キミの下僕を全員燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れて帰るぞ!」

殺意と敵意が部屋中に広がると、アーシアの体は震えて俺の体に抱きついてきた。

かく言う俺もこのプレッシャーに耐えられずに震えている。

そして、木場と小猫ちゃんは震えることなく臨戦態勢に入る空気を作り、部長と朱乃さんも紅い魔力と金色の魔力を発し始めている。

一触即発の空気の中、一人だけ物申した。

「止めろ」
「あ?」
「カ、カリフ」

いつのまにか部長とライザーの横にいたカリフが間に入る様に制した。

気配を消していたカリフに驚く部長に対してライザーはさらに不機嫌になった様子だった。

「なんだ貴様。これは貴様のような人間如きが口を出していいことじゃない。今すぐに立ち去らねば痛い目見るぞ?」

侮蔑と脅しを兼ねてカリフの眼前にまで顔を近付ける不良みたいな脅しをかける。

だが、カリフは顔色を変えずに言う。

「別に悪魔同士の婚約になぞ興味は無い。結婚でもなんでも勝手にすればいい……だが……お前の行動は目に余る」
「はぁ?」

怪訝そうにライザーが眉を顰めると。カリフも負けじとライザーの目に視線を投げつけて言った。

「お前の実力は小猫や朱乃やリアスを凌ぐのが殺気で分かる……それに攻撃に対する挙動からしてフェニックスの特性か何かか? ある程度の攻撃は受け流せると見た……違うか?」

カリフの言葉にライザーは勝ち誇ったように、しかし、多少驚いたように答えた。

「ほう、人間にしてはいい勘してるじゃないか。正解と言ってもいい」
「本当のようだな。これならリアスたちに勝ち目はねえ」
「その通りだ。物分かりのいい奴は嫌いじゃない」

二人の会話に皆が悔しそうに表情を崩す。

皆でも勝てないって肯定したってことは……カリフの言うことは本当だろうな。

マジかよ……

得意気に笑って気分をよくしているライザーだが、次のカリフの言葉に表情をまた変えるのだった。

「だから、オレが来たんだ」
「は? 何言ってんだお前」
「言葉の通りだ。親父とお袋の初めての約束でね、オレは朱乃と小猫を死なすわけにはいかねえんでな」

胸に手を当ててカリフが不敵に言う姿はどこか頼もしかった。

「奴らが戦うことになってもオレはあまり手を貸す気は無い……だが、朱乃も小猫も両親を守ってくれた……だが、そいつ等はお前には勝てない。なら、オレが守るしかねえだろ?」

自信満々に、言うカリフの告白とも取れる会話に二人は顔を紅く染めて顔を俯かせている。

なんだよこれ……あんなことを平然と言えるなんて男すぎる!!

だが、そんなカリフにライザーは冷笑を浮かべる。

「はっ! 人間風情が二人を守る? 夢物語も大概にするんだな。それに、お前……あの二人のことあまり知らないだろ? あの異端児のクイーンとはぐれの姉を持つルークに限らず、リアスの眷族のことも知らんのだろう?」
「知らねえな。それが?」

その会話に朱乃さんと小猫ちゃん、木場までもが表情に影を落とした。

な、なんなんだ?

それを聞いた部長も怒りに顔を真っ赤にさせる

「ライザー! 朱乃たちは関係ないでしょ!!」
「リアス、キミもどうかしてるな。こんな無知な人間を悪魔家業に関わらせるなんて……俺が現実って奴を教えてやるさ……おい聞け人間!!」
「「「!?」」」

構わずに続けるライザーが宣言するように言うと、皆が体を震わせる。

「こいつらはな! 俺たち悪魔の中では……!!」

嘲笑うかのように続けるライザー。

「秘拳……鞭打……」

そして次に開いたライザーの口は……

「異端中のいたぐぼっ!!」

言葉を遮られ、カリフの張り手を体に受けた苦悶の声を吐きだした。

「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ライザーはカリフに叩かれた個所を抑えて床を転げまわったり体を有り得ない角度へ逸らしたりと尋常じゃない痛みを俺たちに伝えてくる。

その行動に皆が呆然としていると、独特の構えを解いたカリフがライザーを見下ろす。

「言ってみろよ……こいつらが異端だからどうした? 朱乃が、小猫がなんだって? お?」
「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁ! ぶっ!」

転げまわっていたライザーの頭を掴んで床に叩きつける。

「こいつ等が多少違っても関係ねえよ。どんなに他の奴と違ってもオレの『守るという約束』だけは違えないさ……」
「ぶぐっ!」
「それにこいつ等の過去を笑ったな? こいつらの『積み重ねてきた真実』を貴様は笑い話にしようとしやがった……そこだけは許す訳にはいかねえ!!」

急にカリフは激昂してライザーの頭をさらに床に叩きつける。

カリフは真実を汚すことを最も嫌っている……ライザーはその禁を犯したんだ。

「こいつ等には人に言うことさえできない過去があるかもしれない……だが、その過去が今、ここにいるこいつ等を作り上げた……その過去を笑う権利など誰も持っちゃいねえんだよ!! この……」
「ちょっやめ……」
「ド低能がーーーー!!」

止めと言わんばかりにライザーの頭を思いっきり踏み潰した。

それによってライザーは耐え難い痛みに相乗した痛みに気を失ってしまった。

それを確認したカリフは倒れているライザーに中指を立てて吐き捨てるように言った。

「おととい来やがれ。次はサシでやってやるよ……クソガキ」

長ランに渋いことを言うカリフ……!!

不覚にもかっけえと思ったよ……

部長も呆然としていたが、満足そうだった。

「カリフくん……」
「あらあら……」
「……」

木場も朱乃さんも小猫ちゃんもカリフの言葉に満足そうに笑いながらどこか嬉しそうだった。

特に朱乃さんと小猫ちゃんは目を潤ませていた。

「か、かっけ〜……」
「す、凄いですぅ……」

木場やライザーとは違うイケメン……いや、漢と書く“おとこ”に俺は興奮してしまった。

アーシアも色んな意味で驚かせられているが、特に顕著だったのがグレイフィアさんだった。

カリフの実力が予想以上だったのか、クールだった表情が今では違った。

目を丸くしてただただ驚いていたが、すぐに気持ちを切り替えた。

「こ、この話はライザーさまが目覚めた後に続けましょう……」

上ずった声が合図だったみたいに、カリフはまたソファーの上で寝転がり、皆もライザーが起きるまでは自由に過ごすこととなった。

ライザーは誰にも気にかけられることなく、代わりにグレイフィアさんが介抱していたのだった。

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ハイスクールD×D リアス・グレモリー (1/4.5スケール ポリレジン製塗装済み完成品)
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