第一話 終わりなき転生者
無事に真恋姫の物語が終わり、俺はその世界から再び神(ジイサン)が住む領域に飛ばされた。
「ふ〜、良い人生だった」
「……………辛くないのか？」
「辛いさ。……愛していた者が先に死んでいくのは、だけど息子、娘、孫達がいるんだ。遺せるモノを遺せたんだ……それでいいさ」
「そうか。…………次の世界に行ってもらうぞい」
「………どこだ？」
「“ゼロの使い魔”という世界じゃ」
「死亡フラグ満載の世界かぁ〜〜」
「どうするのじゃ？ 主人公達と同じ位置にするか？」
「いやぁ、俺結構、サイト嫌いなんだよね。あっちこっちフラフラしやがるし、その場しのぎの言葉を使ってるしで………喧嘩売ってんのか？ って言えるぐらい嫌い。ちなみにルイズなんか非常に嫌い。嫌過ぎる」
「なら、お主、あちらでは国を持ってみんか？」
「無理だろ。トリステインにガリア、アルビオン、ゲルマニアのどれかには王達がいるだろ？」
「いや、お主専用に創られた国じゃ」
え、そんなこと出来んの？
「神じゃぞ？ 朝飯前じゃ！」
よっしゃっ！
これ、あちらで出来るかを頭の中でイメージ。
神(ジイサン)なら読めるハズ………！！
「ほう。これはまた面白い設定の国じゃな。もちろん出来るぞ、手配しておこう。他には必要な物は？」
見事に読んでもらいました。
出来るのか………、こりゃしばらくは国力の底上げが最優先事項だな。
あとは………………そうだな、アレだな。
「俺に物を作る技術と知識の全般をくれ。………っと、今思い出したんだが、あっちの世界では“使い魔”ってのが必要なんじゃなかったか？」
「あ、それはもうこっちで用意しておるぞ。お〜〜〜い」
すると、ワープして目の前にちょこんとソレは現れた。
髪はちょっとばかり昏いピンクで、ツインテールで髪止めは藍いリボンにどこぞの腋巫女と似ている服装だが、こちらは着物だった。
そして、もっとも特徴的なのは頭についてる獣耳だ。
………うん、このキャラ知ってる。
「これってさぁ………Fate/EXTRAのキャスターだよね？」
「おお、良く知ってるのぉ！ こやつがお主の使い魔じゃ」
マジッすか？
ともあれ、こちらをじーっと見てきているし、挨拶はしないと。
「あー、俺の名は蒼騎真紅狼って言うんだ。よろしくな」
手を差し出して、握手を求めようとすると………耳がピーンと立った後、頭を下げる。
「……私の名はキャスターですが、真名は玉藻の前。“タマモ”とお呼びください、ご主人様！」
使い魔って言うより、娘っていた方がしっくりくる。
「なぁ、タマモ」
「はい、なんでしょう、ご主人様？」
「その、なんだ………？ “ご主人様”ってのは止めてくれないか？」
「じゃあ、どのような呼び名がいいんですか？」
「普通に呼び捨てでいいぞ。“真紅狼”でいいからさ」
「それじゃダメです！！」
「……じゃあ、せめて、マスターで頼む。出来れば、“真紅狼”の方がいいんだが………」
「分かりました、真紅狼様！」
新しい名を付けにきよった！！
まぁ、“ご主人様”よりかはマシか。
「そちらは、どうにか上手くいったようじゃな。では、恒例の能力タイムじゃ！」
能力は〜〜まぁ、これは外せないな。
「七夜は絶対で。あとは………、ルガールとグスタフ、ゾディアック。魔力方面は………ワラキアとFF5の暗黒魔法だけプリーズ」
「また、改変キャラを入れおって、お主も好きじゃのう。こちらでは、お主専用武装“真紅の執行者”と不老不死は必要じゃな。今回は“真紅の執行者”は魔力時と通常時の二種類を用意してある。通常時は弾が自動装填され、魔力時は空薬莢が自動装填されるようになっておる、結構な強みになる筈じゃ」
「どもども。そろそろ向かった方がいいか？」
「そうじゃの、そうしてくれい。あと、原作開始前に転生するから、好きなように動けれるぞい」
へぇ、なら、あの兄弟を救っておくか。
あの二人は生きるべきだしな。
あっちに行ってからやることが一杯だ。
だが、やることがあるのはいいことだな。
あ、向かう間に国の名前、考えておかないと……………
何にしようかねぇ。
「真紅狼様、転移するみたいですよ？」
「さっそく悪いな、タマモ。じゃあ、ジイサン。行ってくるわ」
「うむ。お主の紡ぐ物語、楽しみにしておるぞ！」
そして俺とタマモは“ゼロの使い魔”の世界に転生した。
―――あとがき―――
“真恋姫”のお話は『over the rainbow 〜にじの彼方〜』で明日投稿しますので、そちらもよろしければどうぞ。