冬の夕方は、あっという間に街中を真っ暗にしてしまった。
雪はどんどん降ってきて、そりの中にも積もってきた。
「よいしょ、よいしょ!」
「いそげ、いそげ!」
ナオキ君とお兄ちゃんは一生懸命そりをひっぱる。
まるで、まるで、雪と真っ暗闇と戦う勇者みたいに。
あたしはそりに乗っかって、お姫様になったみたいだった。
なんだか、ナオキ君のこと、真っ直ぐ見れなくなって、青い長靴ばっかり見てた。
心のなかでは、本当は、ナオキ君かっこいいなーって思ってたんだ。