「!!!!」
そうだよ。
その通りなんだよ。
それだけが気になって、こんなことまでフリーさんに聞いたのは、確かに僕自身だ。
みるみる顔が真っ赤になっていく。
僕は僕の考えを見透かされた恥ずかしさで、何も言えなくなってしまった。(それでも、ベースを弾く手を止めないのは、もはや病気なのかもしれない)
フリーさんはそんな僕を見て、楽しそうにけけけと笑っている。
『少年、随分報われない恋してんじゃねーか』
「うっ、うるせぇよ!!」
『それで悶々として、家帰ってくるなり速攻俺を呼び出したわけね、ふーん。若いねぇ』
「………」
ごもっともだ。
でも仕方ないじゃないか。その位、魅力的な女だったんだ。
あんなヴィジョンを見たのは生まれて初めてだったし、それ以上に、あんな綺麗な女を見たのも、生まれて初めてだった。
僕は、自分自身でもわりと枯れてるなぁと思うほど、女の子に興味のない人間だと思っていた。
実際、ここ5年くらい、彼女もいなかったし、恋という恋をしていなかった。
でも、バンドも楽しかったし、親元を離れてする一人の生活も楽しかった。
最近では、俺自身がスランプなのは置いておいても、バンド自体はすごく軌道に乗っていたので、恋愛のことなんて考えもしていなかったくらいだ。
でも、たった一瞬で、そんな俺の心を掻っ攫っていったんだ。あの女は。
自分が一番びっくりしているんだと思う。
こんなにドキドキして、気になってしかたなくて、モヤモヤする気持ちが自分にあることに。
思い悩んでる僕を尻目に、フリーさんが思い出したようにぼそっとつぶやく。
『あのLove suckって曲、お前が思うにどんな曲よ。俺は、俺なりの解釈があるけどな』
「…どんな?」
『あれは、性欲のカタマリだな』
「…えぇぇ?」