小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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バンドが始まって早一ヶ月。
順調に曲をこなし、ライブのセットリストも決まった。
最初のライブはこの町で一番小さなライブハウス「Minel」。
前にバンド経験のあるギターの雄大のツテで決まったライブだ。
ノルマは1バンド5000円と格安。

スタジオ練習が終わって外で座り込んでいた。
スタジオの名前は「Peace full」
機材はボチボチ、少し狭い分料金も低めのAスタ1h1000円Bスタ1h750円。
Bスタは3ピースには丁度よく、3ピースバンドが多く利用するスタジオだ。

「そういやバンド名、まだ決めてないな」
確かに話にすらのぼっていなかった。
「とりあえず仮の名前で出ませんか?」
「それが無難だな」

1分後に「CROWN」に決まった。
話してるときに前を車のクラウンが横切ったから。
はっきり言って俺達は無名中の無名。
0からのスタートだ。

龍児と海斗はライブは初めて。
龍児はどちらかというと気弱な方だった。
海斗はやる気満々、明日でもいいと豪語した。

「明日バイト9時からか・・・」
海斗がうなだれた。
中退してからガソリンスタンドでバイトをしている。
「大変すね」
龍児がたばこを捨て踏みながら言う。

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