小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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学校に着いたのは10時半少し前。
そろそろ2限が終わる頃か。
2限が終わるまで裏でタバコをふかした。



「お、龍児おはよー」
「龍児また社長出勤かよ」
見渡す限り男ばっかり。
工業高校として当然の風景である。

「バンドは順調?」
こいつは高校で最初にできた友達の三村達也。
小学校から高校まで野球を続けてきた野球一筋高校球児。
「おう、ライブも決まってマジ楽しいよ」
「そっか、よかったなお前ホント」
心から言ってくれているのが分かる。
「お前も野球夏の大会近いだろ?がんばれよ」
「ああ、三年生のためにもがんばらないと。つかライブ見に行くよ」
部活で忙しいのにわざわざ金を払ってきてくれるっていうのか。

俺はなんとなく部活生から金をとるのは嫌だ。
俺みたいなちゃらんぽらんならバイトはいくらでもできる。
でもこいつらは俺なんかより一生懸命汗水流してがんばってる。
バイトなんて暇があるわけがない。

「まじ?じゃあタダにするよ。ドリンクは200円だけど買わなくてもいいから」
「ホント?じゃ実質無料じゃん!助かるわー。何人かつれてくからそいつらのは割り勘で払うよ」
「3人までなら俺が負担するよ。それ以降はノルマ外だから勘弁な」
こういう奴になら心から来て欲しい。

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