小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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「ライブまで1週間切ったな」
「いよいよって感じっすね」
海斗と龍児は興奮を抑えられない。
「この前詳しい日程聞いたから」
リハが昼の3時からでOPENが5時、ライブが始まるのが5時半。

「俺客2人しか呼べてないんだよね」
「中退するとそうなるよな、俺が結構呼んだから大丈夫」
「自分も4、5人ですね」
雄大の友達は客席で激しくノってくれるらしい。
あいつら、ついてこれるかな・・・

少しずつ近づくライブが待ち遠しかった。
ライブで金が減る。
そろそろ本格的にバイトを決めないとまずい。

家に帰り、求人情報誌を開く。
居酒屋、今から電話しても大丈夫だよな。

「はい、居酒屋いろりです」
「あ、あの・・求人見て電話したんですが、バイトしたいんですが」
「少々お待ちください、雇用担当に変わります」
意味もなく緊張する。
「はい、変わりました。えーっと、厨房、ホール希望ありますか?」
「厨房がいいんですが」
「はい分かりましたー。今週の日曜、空いてますか?」
空いてない。ライブの日だ。

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