小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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Minelでのライブから早1週間。
と同時に次のライブまで2週間を切った。

龍児達は曲数を増やし、セットリストも新しくなった。
次のライブはメロコアバンドが龍児達を含めて2組とハードコアバンドが2組。
ジャンルが近いこともあり、観ることも楽しみの一つだった。

龍児はバスに揺られ、スタジオに向かうため駅に向かっていた。
スタジオは駅から徒歩3分。
龍児の家は町からかなり外れているので、駅へ向かう便はひとつ、1時間おきくらいである。
なので、乗っている客も見覚えがある客が多い。

バスが止まり、乗客を乗せる。
乗ってきたのは小柄な女性。
大工から程近い宮西女子高の制服を着てたところを見たことがあるので高校生ということだけは知っていた。
龍児の前の席に腰を下ろした。

この女性も目的地は駅であり、それから龍児がスタジオと同じ方向へ足を運ぶのである。
つまり、龍児が駅に降りてから進む道のりとまったく同じなのだ。
どこへ行っているのかは分からない。

バスが駅につき、客が降りていく。
龍児もお金を運賃箱に入れ、バスを降りた。
さっきの女性はいつもと同じ方向に向かっていった。
龍児も重たい機材を両手に持ち、スタジオへ向かう。
龍児はいつもスネアとペダルを持参していた。
左手はスネアバッグをかるい、右手はペダルケースをぶら下げて持つ形である。
龍児は携帯で時間を確認し、歩を進めた。

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