小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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龍児は簡単な8ビートやフィルを叩く。
ドラムの音しかなってない箱内。
この空気に押され、バスが乱れた。
今のでなめられただろうか。

次に3人で音を合わせる。
曲はFOUR GET ME A NOTSの「Beginning」。
女のギターボーカルということもあり、キーが高い。
龍児はライドをカラカラとならす。
2人の声と、音があるだけでやりやすかった。
スラッシュビートに入ると、音のすごさに驚いた。
この音が、今日来る120人に届く。
そして明日香とその友達にも。
母親にも。
本当は龍児も歌うパートがあるのだが、2人に任せている。
メロコアは基本、ドラムが一番大変である。
まだボーカルをできるほどの余裕がない。
ちなみに龍児は歌は下手である。
さっき一人で叩いたときとは比べ物にならないものが叩けた。
音を止め「ありがとうございました」といってステージを降りる。
社会人バンドの人達がこちらを見てニコニコしている。
「お疲れ様」
優しさに溢れた人たちだった。

2番目を譲ってくれたLyricPandaがリハを始めた。
龍児たちと同じく、コピーらしい。
locofrankの「START」を演奏していた。
弦楽器の音作りが少しあらく、ドラムも小さなミスが2、3つあった。
ただ、気持ちはしっかりと伝わってくる。
迫力もあり、メンバー達も楽しそうに演奏していた。

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