小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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LyricPandaの2回目のMC。
1回目も客から声援や笑いが飛び交った。
「それじゃ最後の曲です、これから出てくるバンドもよろしくお願いします」
そういってギターの音が入る。
最後の曲はOVER ARM THROWの「A STORY」。
全体を通して優しい音色で、単純な曲調で進み、時折見せるスローテンポ、最後にピッタリといえる曲だ。

曲が終わり、音が消える。
「ありがとうございました」
そういって手を振りながらステージを後にした。
観客は手を挙げて歓声を上げた。

3人は休憩室でLyricPandaを迎えた。
「お疲れ様でーす、すっげー盛り上がってましたね!」
「海斗君が暴れてるの見えたよ、ホントやりやすかったし楽しかった」
海斗は人付き合いが得意で、すっかり仲良くなっていた。
「じゃ行くか」
雄大がステージに向かった。
「行ってらっしゃい」
「がんばれよ」
LyricPandaの後押しを受け、海斗と龍児も続いた。

ステージに姿を見せると客は歓声を上げる。
龍児はすでに組み立ててあったツインペダルをすばやく取り付け、スネアの位置を調整する。
弦楽器の2人も準備が整ったようだ。

スポットライトが照らされた。
客席が盛り上がりを増しピィーという指笛の音が聞こえる。
3人は目を見合わせた。
雄大がピックをゆっくりと、弦のほうに持っていく。

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