小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

Minelの時と同様、Eを6弦から1弦にゆっくり滑らせた。
ストロークが早くなり鼓動が高鳴る。
音がなりやむ頃合を見て、龍児がカウントを取った。

最初の曲はHi-STANDARDの「ENDLESS TRIP」。
ベースラインを主軸としたメロディからハネる雰囲気のメロディへ。
明るく前向きで、元気が出るような曲。
イントロで客席が騒ぎ始めた。
テンションがどんどん高ぶる。
客と自分達の一体感。

間奏の雄大のアレンジに観客が沸いた。
人の波が大きくなる。
雄大は綺麗に決め、飛び跳ねた。
それにあわせて海斗も体を反らせて飛ぶ。

1曲目が終わり、音が切れないうちに龍児は2曲目のイントロを叩き始める。
2曲目はlocofrankの「from eighteen」。
激しいギター音に動き回るベースライン。スラッシュビート主体の超攻撃的な一曲。
連打も多く、なんといっても見せ場は間奏。
裏から入った間奏はギター音が前に出て激しく弾き、ベースもガツガツ前に出る。
ドラムは2連のダブルからクラッシュの裏打ちなど、高度な技が要求される。
だが、龍児はこの2人の音を頼りに、そして観客の出すエネルギーを力にして、パワフルに叩く。

客席の前列のステージから見て右側のほうが渦を巻きだした。
モッシュがはじまったのである。
何人かが手を振りまわし周り客を押しまくっていた。
龍児は楽しくてたまらなかった。
海斗はヘドバンをしながら客席を煽った。
曲の終わりに行くにつれてモッシュはあちらこちらで見えるようになった。

-47-
Copyright ©Dissonance★ All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える