小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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4曲目も盛り上がりを維持し、5曲目。
locofrankの「Gift from the sky」。
ドラムは特に目立つ部分はなく、バッキング的役割だ。
主役はボーカル、次にギターという感じ。

海斗の声は安定していた。
客も動きが和らぎ、見守るように見ている。
静かに左右に体を動かしていた。
雄大も時々目をつぶったりと、音の世界を楽しんだ。
最後をしっかり決め歓声があがる。
右手を振り上げ、観客を沸かせた。

2回目のMCに入る。
「今日はホントにありがとうございます、観客皆さんの歓声が力になりました」
盛り上がる客席。
「あと2曲で終わりなんですが、これからの2バンドもこの勢いでがんがん盛り上がっちゃってください」
雄大はそう言い放ち、ギターをならす。
龍児はカウントを取り、連打から曲が始まる。
曲はdustboxの「Break Through」。
いかにもメロコアらしいといえるイントロ。
ギター音がなんとも心地よく、ドラムとベースもそれをしっかり支えた。
客席が波を打つように盛り上がる。

ブレークから音が出るタイミングにダイブが見えた。
間奏が始まると便乗した人たちが続々とダイブを始める。
モッシュも消えていない。
客席には人が作った嵐が起きていた。
前のほうの客は時折人が振ってくるのを楽しむように前へ持ち運んだ。
弦楽器の2人はこの光景に興奮し、ストロークを激しくする。
縦横無尽に動き回る2人。
龍児も時間を忘れて演奏を楽しんだ。

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