小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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明日香たちは隅っこで少し怯え気味の様子だ。
「大丈夫か?」
龍児が駆けつけた。
「あ、龍児君、お疲れさまぁ」
ホッとしたような明日香の顔。
「怪我とかない?」
「うん、少しびっくりしたけど、それより龍児君、その・・すごいね」
明日香は尊敬の眼差しのような目で見てきた。
「かっこよかったですー」
周りの女の子も声を掛けてくれた。
「あ、ありがと」
龍児は恥ずかしくなり、そう言い放ち客席の前の方へ向かった。
「明日香、龍児君超かっこいいね」
「う、うん」
明日香はステージでドラムを叩いていた龍児を思い出す。
「ホント・・・かっこよかったね・・」

ステージ上ではアップルライスの演奏が始まっている。
最前線で暴れまわる海斗。
雄大と龍児は、前の右隅の方で手を振り上げながら見ていた。
やっぱり演奏はうまかった。
客席は龍児たちのライブと同様の盛り上がりを見せていた。
「海斗・・あいつも好き勝手暴れまわりやがって」
雄大があきれたように言う。
「海斗君らしいっすね」

こうして龍児達の2度目のライブは終わった。
海斗と雄大は終わった後に何人かに次のライブも見に行きますと言われたらしい。
海斗はすっかり対バンの皆と仲良くなり、アップルライスに次のライブを誘われた。
ライブハウスを出たのは10時を過ぎていた。

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