2人は少し駅からはずれた小道のベンチに腰を下ろした。
龍児の手には焼きとうもろこし、明日香の手にはわたがしがあった。
「こんなに人が多いなんてなあ・・」
龍児はとうもろこしをかじりながら言う。
「そ、そうだね・・」
明日香は何か様子がおかしい。
「どうした?」
龍児が心配になり様子を伺う。
明日香は龍児の顔をまっすぐ見た。
「龍児君、好きです」
突然の出来事に龍児は困惑した。
明日香はじっとこちらを見据えている。
明日香とはずいぶんと仲良くなった。
最初は少し緊張していたが、今は自然に話せるほどになった。
小さな体が可愛らしく、心が癒された。
バイトで疲れた体も、明日香と話すことで、気持ちが安らいだりもした。
練習に行くバスに明日香が乗ってこない日ももちろんある。
その日は少し寂しくなったりもした。
今じゃ、居なくてはならない存在になっている。
俺はこの人が好きなんだな。
「こんな俺でよかったら・・よろしく」