小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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真剣な眼差しをしていた明日香の表情が和らいだ。
「ホ、ホントですか?」
龍児はコクリとうなずく。
すると、明日香は人目をはばからず抱きついてきた。
「え、ちょ、あす・・・」
あわてる龍児だったが、気持ちを落ち着かせ、抱き返した。

ベンチに座ったまま抱き合う2人。
抱いてわかった。
顔も小さく、肩幅も狭く、腕も細い。
自分の胸に顔を埋める明日香。
守ってやらなければいけない存在なんだと。

10秒ほど抱き合い2人は離れる。
「す、すみません・・うれしくって・・」
明日香は少し涙目になりながら言う。
「あ、ああ・・・」
龍児も今になって恥ずかしくなった。

パン パン

花火が上がっている。
建物が少し邪魔だが、十分綺麗に見えた。
「わあ・・・きれい・・・」
「きれいだな・・」
明日香が龍児に寄り添った。
「龍児君、大好き・・」
明日香は顔を龍児の肩に寄せ、花火を見つめている。
「俺も・・」
龍児は明日香の手の上に自分の手を乗せた。

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