小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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8月8日。
Junkers初のオリジナルがついに完成した。
曲のタイトルは未定。

「さて、順番はどこにぶちこむかな!」
海斗のテンションはいつにも増して高い。
「最後から2番目に入れるぞ。今回のライブはこれが一番の勝負だからな」
「分かってるよ、んなこと!」
海斗の言葉に、2人も気合が入った。

次のライブは相手は全員社会人バンド。
アップルライスの人気は未だ健在。
ライブハウスはぎゅうぎゅうに人が入り、窮屈になることが予想される。

あの時みたいなライブが出来れば。
龍児はバスに揺られながらあのときのライブを思い出す。

箱全体が揺れるような錯覚。
勝手に沸き起こるモッシュやダイブ。
観客から伝わるエネルギー。
自分達が出すエネルギーをしっかりと受け止めてくれる観客。

そんなことを思い出しながらいつものバス乗り場バスを降りる。
トコトコと5分ほどで帰宅する。
龍児は家に入り、機材を自分の部屋に置く。
すると、居間のドアが開いた。
「おかえり!」
明日香が来ていた。

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