小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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リバウンドが電ドラとまったく違う。
龍児は器用に指を使い調整する。

スラッシュビートもしっかりできた。
音を合わせるのがこんなにも楽しいとは。
いつの間にか緊張は忘れていた。

ただこの時間を楽しんだ。
フィルが少し詰まった。
テンポは崩れない。
それは家での練習量の多さを物語っていた。

(こんなハイな気分で叩くのはじめてた)
連打のスネアの音が電ドラとは別物。

男のほうを見るとものすごくノっていた。
アクセントが入る度にしなる体。
だがパワフルかつ安定感のある演奏だった。
この人にしか出せないグルーブだ。

あっという間に曲は終わった。

「君みたいなドラムがいるとはな・・」
手を顎に添えて何か考えていた。

「ウチにきてみる?」

龍児の人生を変えた一言である。

-9-
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