第十二話 ナツじゃ勝てねえよ
シルフの最大速度で飛行したカイルはすぐにエリゴールを見つけ出した。力尽きたハッピーが谷に落ちそうになっているのを受け止める。
「あ、カイル〜。ありがと」
「お疲れハッピー。休んでていいぞ」
「カイル!!手ェ出すなよ!!」
カイルが来た事に気づいたナツは叫ぶ。カイルはやれやれと言った顔で
「わかった。だが言っとくけどお前らの相性最悪だぞ?」
そして戦いが始まった。始めはナツが優勢だったが、エリゴールがストームメイルを纏ってから攻撃が通じなくなり、一気にナツがふりになった。
「ちくしょおおぉお!!何であたんねえんだ!!納得いかねえ!!」
だから相性最悪何だって。魔力だけでみればナツのが圧倒的に上だが特性をうまく利用されてる。
ナツの全身を炎が包む。滅竜魔導士の魔力は感情で大きく変化する。ナツの怒りのボルテージが上がるほど温度が上がり、気流を生み出すほどになった。
「「あ」」
アイデアを思いついたカイルとハッピーはバカにしたように笑い吐き捨てた。
「「無理、ナツじゃ勝てねえよ。グレイに任せよ」」
「何だとぉおぉおおおお!!!!!!」
ナツの怒りの炎が上がり、エリゴールのストームメイルを剥がしとった。
「俺が倒してやるよぉおぉおおおお!!!」
「ば、バカな!!此れほどの超熱魔法。まさかいたのか!!滅竜魔導士の使い手が!」
「火竜の剣角!!!」
ストームメイルがなくなったエリゴールはナツの敵ではない。滅竜魔法をモロにくらい、気絶した。
「どうだ!!ハッピー、カイル!!」
「あい、流石サラマンダーナツです」
「50点ってとこだな」
「お前ら闘ってる最中なんつった!!」
「猫の記憶力はショボいので」
「あい」
伸びてるエリゴールの頭を掴み問いかける。
「俺じゃこいつに勝てねえからエルザがどうとか言ってたろ!!」
「「うわ〜、猫よりショボい記憶力」」
呆れた顔をするカイルとハッピー。伸びてるエリゴールも心なしか、え〜といった顔をしている。
「でもナツは勝ったよ」
「……フン!」
間もなくエルザ達も追いついた。て早!!あのバカあれだけ言ったのに…
「う、嘘だろ!あのエリゴールさんが!!」
驚愕するカゲ。流石だとつぶやくエルザ。グレイはけっと面白くなさそうにしている。
降りて来たエルザにカイルが歩み寄る。
「な、何だ…」
「………コラ!!」
軽くエルザをチョップするカイル。
「な、何をする!!」
頭を抑えて抗議するエルザ。だがカイルは少し怒っていた。
「てめえ俺の話聞いてなかったのか!!無茶な運転すんなっていったろうが!!もう魔力残ってねえじゃねえか!!」
「そ、そんな事はない!!まだ私の魔力は残っている!!」
それを聞くとカイルはエルザの手を握り、目を瞑る。
「/////////」
「いいなぁ……」
しばらくして目を開けたカイルは怒った。
「やっぱり残ってねえじゃねえか!!なんでお前はこう無茶するかね〜」
「だ、だってカイルが……相棒失格みたいなこと言うから……」
「言ってねえ!!」「言った!!俺と組んで何年だ。普通気づくだろって!!」
エリゴールの作戦に気づかなかった事を恥じているらしい。カイルはため息をつくとエルザを抱きしめた。
「な、な、な、な、/////」
真っ赤になってカイルの胸の中に顔を沈める。
「あのな、それはただ叱咤する為に言ったんであって別にお前を責めたんじゃねえよ。俺がお前を捨てるわけねえだろうが。お前はたった一人しかいねえ俺の大事な相棒だよ」
「………すまない……」
「わかればよろしい。帰りは俺が運転する。文句は言わせんぞ」
「うん……カイル、私は足でまといか?」
「足でまといじゃねえよ」
「チーム…解散したりしないか?」
「しないしない」
「私は……お前の相棒か?」
「ああ、そうだ」
「……カイル……」
抱き合う二人。完全に蚊帳の外のナツ達。
「それはそうとナツ。こんなのに苦戦しやがって。フェアリーテイルの格が下がるぜ」
話を変えるべくグレイがナツに文句を言う。
「苦戦?どこが?圧勝だよ。な、ハッピー、カイル?」
「微妙なとこです」
「まあ何はともあれ一件落着だ。ついでにじーさんとこ行って報告も済ませちまおうぜ」
エルザとの抱擁を解いたカイルが提案する。後ろでエルザが名残惜しそうにしているのは余談だ。
「そうね、クローバーは目と鼻の先だし」
ルーシィがそこまで言うと魔道四輪が急に動き始めた。
「うおっと!あぶねーな!動かすならそう言えよ!」
「つーかなんであいつも乗ってんだよ?」
「はははは!油断したなハエ共!ララバイはここだー!」
魔道四輪を飛ばし、クローバーへと向かうカゲ。
「あーーー!!せっかく助けてあげたのに!!」
「と、ともかく追いかけんぞ!急げ!!」
あとがきです。今回は少し短かくなってしまいました。次回はもっと長く行きます。コメントよろしくお願いします