小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第十三話 ナツVSエルザ


ざわざわ、ざわざわ、


ララバイの一件が解決して数日後、約束通りナツとエルザが戦う事になった。
仲間内ではトトカルチョが行われている。


「お前とこうして戦うのは何年振りだろうな」


「あの時はガキだった!だが今は違うぞ!!」


対峙する二人。その丁度真ん中にカイルが立っている。今回の審判を務める。


「私も本気でいかせてもらうぞ。久しぶりに自分の力を試したい」


エルザの鎧が形を変えて行く。


「全てをぶつけて来い!!」


炎帝の鎧。炎に対して絶大な力をもつ。ナツにうってつけの鎧だ。


(まったく大人げねえやつだ。6:4でエルザかな?)


エルザの様子と鎧を見てカイルが分析する。


「やっぱりエルザにかけていい?」


その様子を見たハッピーはエルザに鞍替えした。


「なんて愛のない猫なの!!」


しっかり突っ込むルーシィ。流石だ。


「おいてめえら。用意はいいか?」


「「おう!(ああ!)」」


「ではお互い、尋常に」


右手を高く掲げ、


「始め!!」


振り下ろす。同時に二人共飛び出した。


「だりゃ!!」


最初に仕掛けたのはナツ。猛然と殴りかかる。しかし、エルザは無言でかわし、剣をなぎ払う。


「ちっ!!」


体を捻ってかわすが読んでいたエルザは足払いをしかけた。


バランスを崩したナツに斬りかかるが炎をナツが吐き出す。
バク宙でかわすが、それでお互い距離が空く。仕切り直しだった。


「ふっ」「へっ」


中々の好勝負。二人共楽しんでる様子だ。


「な?いい勝負してるだろ?」


「へっ!どこが?!」


「グレイ、認めるもんは認めねえと強くなれんぞ」


「す、凄い…流石最強の二人…」


ん?それは少し違うぞ?ルーシィ。


「ナツの男気は認めるが、最強は違うぞ。エルザを含め、フェアリーテイルには最強候補が五人いる」


「その中にナツは入ってない。俺は入ってるけど」


「えぇええ!!そ、そうだったの!!」


「カイル!!よそ見してないでちゃんと審判してくれよ!!」


「ああ、スマンスマン。続けろ」


戦いに再び集中したカイルを確認すると再度飛び出す二人。







パアァアン!!



誰かが手を叩き、二人が止まる。


「そこまで!全員その場を動くな。私は評議会の使者である」


ざわめき立つ皆。ルーシィはビジュアルに対して突っ込んでいる。


「先日の鉄の森テロ事件について…器物損壊罪諸々の罪で……エルザ・スカーレットとカイルディア・ハーデスを逮捕する」









「え!?」


「あ、やっぱり?」








………







「何だとぉ!!!!」


ナツの叫び声がマグノリアに響き渡った。

















カイルとエルザは手枷をつけられ、法廷まで連れられていった。


「おっと」「!!!」


途中壁に寄りかかる男がいた。


「よう、久しいな。エルザ、カイル」


「貴様!!」


襲いかかろうとするエルザをカイルが止めた。


「なぜ止める!!カイル!」


「落ち着け、こいつは思念体だ。襲っても無駄だよ」


「その通り、本体はERAにある。扉のむこうのジジイ共も思念体さ。こんな小せえ案件に本物が出向くわけねえだろ」


「そうか…今回の事は貴様の仕業か…くだらん茶番だ」


「心外だな。俺はフェアリーテイルを擁護してやったんだぞ?だがジジイ共は責任問題になるのを恐れ、押し付ける対象が必要だった。」


「早い話がスケープゴートか…奴ららしいな」


「理解が早いな。同じ聖十としてお前とはいつかゆっくり話がしたいよ。まあお前らに会いに来たのは別件だが」


ジーグレインはゆっくりと近づくと


「あの事は言うな。お互いのためにな…」



カイルもエルザも無言だった。それを承諾ととったのだろう。身を翻すジーグレイン。


「でわな、法廷で会おう。評議員の一人として…な」


近くに控えていた下っ端が驚愕している。


「お、お前ら…凄い人と知り合いなんだな」


「悪だ…」「とびっきりのな」






法廷に連れていかれ、裁判が始まった。


「被告人、エルザ・スカーレット。カイルディア・ハーデス。前へ」


証言台に立たされるカイル達。


「おいおっさん。これ一人ずつじゃだめなの?ここ狭いんだけど」


「私語はつつしめ……
エルザ・スカーレットよ。えきの破壊十一件。橋の破壊の容疑がかけられている。間違いないか?」


「はい」


橋はナツだったが、特に弁明はしなかった。


「カイルディア・ハーデスよ。定例会場破壊の容疑がかけられている。間違いないか?」


「んー、ちょっと違うぞ。壊したんじゃなく凍らせたんだ」


「どっちでも良い。認めるな?」


どごぉおおおおん!!!



急に二人の後ろの扉がぶっ壊される。もわもわと白煙が上がっている。


「何事だ!!」


(この感じは……もしかして)



驚愕に包まれる法廷。その白煙の中から現れたのは……









「俺がエルザだくらぁ!!!」


エルザと同じ髪の色のヅラをかぶり、鎧をきたナツだった。



「何の罪だか言ってみやがれ!!」


「「「「「「……………」」」」」」


空いた口が塞がらない一同。


「はぁぁぁ〜」


ため息をつくエルザ。だが一人だけまったく異なるリアクションをしていた。



「ぶわははははは!!ナツそれエルザのつもりか!だが特徴は捉えてるな。ハハハハハ、や、ヤバイ腹痛え、死ぬ、笑い死ぬ。はははは!」



「そいつはギルドマスターの命より重い罪なんだろうなぁ!!」





「さ、三人を牢へ」


「申し訳ありません//カイルもいつまで笑ってる!!」


「いやだってよ、くくくくく。何か似てるような気になってきた」


「エルザ!!こんな奴らに謝る必要ねえ!!あ、俺がエルザだ!」








牢に入れられた後、ナツをエルザがボコボコにし、カイルも笑い過ぎと一発殴られた。


「ほべんらはい」


人相が変わった顔で正座して謝るナツ。


「まったくお前には呆れて言葉も出ん」


「なるほどだから手が出たと…すみません冗談です」


睨まれたカイルは謝罪する。


「これはただの儀式だったのだ」


「儀式?」


「評議会は取り締まりやってますよーってアピールするための形だけの逮捕だったんだよ」


「だから今日にも帰れたんだ!お前が何もしなければな!!」


「そ、そうだったのか。すまねえ」


「まあまあいいじゃねえか。何だかんだで嬉しかったろ?エルザ」


それを聞くとエルザは少し照れながら


「ふふ、まあな」


「そっか…へへ!良かった!」











「なあ、カイル」


「ん?」


「お前はまだジェラールの事を…弟だと思っているか?」


「……多分な」


「そうか…強いな、お前は…」


「甘いだけさ」


「違うぞ、お前は優しいんだ」


カイルの肩にもたれかかるエルザ。


「今日はこのまま寝ていいか?」


「……好きにしろ」


「ん」


そして二人とも眠りについた。
幼い頃共に戦った仲間といつかまた戦わなければならない。それは遠くない未来の事だと思いながら……







明くる日、俺たちは釈放となったが、俺だけは残るように言われた。同行するとエルザ達は言ったがカイルは先に帰ってろと言った。


「聖十大魔導士カイルディア・ハーデスに依頼を頼む。」


「今回の件の代償か?まあいい、何だよ?」


「霊峰アストラルで事件が発生した。その解決に当たって欲しい。そこでは黒い龍の形をした魔力が暴れていて並の魔導士では入る事すら出来んらしい」


(黒い魔力……まさかあいつか?となると俺がいかなきゃならんな)


「わかった。ちなみにクエストの種類は?」


「10年クエストだ」


それが聞こえたのか、扉がいきなり開け放たれる。


「受ける必要はない!カイル!」


「いたのか、エルザ。帰ってろっていったろ?」


「お前は二年前それを受けてどうなったか忘れたというのか!!」


必死の剣幕で引き止めるエルザ。二年前にも確かに似たような無茶な依頼を評議会に押し付けられた。その時はギルドにたどり着いて一週間寝込んだほどに憔悴していたのだった。


「心配すんな、この俺がそう簡単にやられるかよ。おっさん、受けてやるが今後はやめろよ。そん時は俺聖十やめるからな」


「承知した。ではたのんだぞ。最強のローレライよ」





















あとがきです。黒い魔力とはいったい……次回はオリジナルです。コメントよろしくお願いします。















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