小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第十四話 最強候補と旅立つローレライ





解放されたカイル達三人はギルドに帰っていた。


「シャバの空気はうめえなぁ!!」


勾留した張本人はのんきに騒いでいる。しかし、勝負が途中で終わっていた事を思い出し、エルザに突っかかった。


「エルザ!勝負しろ!!」


「よせ、疲れてるんだ」「俺もごめんだ」


無視して戦おうとしてきたがエルザがほぼ無意識に吹き飛ばして終了。


「へ〜、ナツがエルザの格好をしてね。それは是非見たかったわね」


「傑作だったぞ。あんなに笑ったのは久しぶりだった。」


「ふふ、でもナツらしいわね」


「ああ」


カウンター越しに談笑するミラとカイル。


「どぅえぇきてぇる」



「(ふふふふ、いいんだ。昨日私はカイルの肩を借りて眠ったんだから、少しぐらい…)」


「……いいなぁ」


女性陣がそれぞれやっかんでいるとマカロフの様子がおかしくなった。


「どうしたんですか?マスター?」


いち早く気づいたミラが問いかける。


「ん、いや、眠い」


「?」


「ああ、なるほど」


「奴じゃ」


「あ」


それでミラも気づいたがすでに遅く、眠ってしまう。


「よっと」


倒れそうなところをカイルが受け止めた。マカロフとカイル以外は皆眠ってしまった。


「ミストガン」


「おかえり〜」


「……ああ」


「何でカイルには返事してワシには返事せんのじゃ!」


無視してリクエストボードから依頼をとって出かける。


「行ってくる」


「こらっ!眠りの魔法を解かんか!!」



「アナザーとか気にしねえと思うぞ?皆」


「……すまない。五、四、三、二、一」


カウントダウンと共に出ていった。それとほぼ同時に皆目が覚める。


「この感じはミストガンか?!」


「相変わらずすげえ強力な眠りの魔法だ!!」


「ミストガン?」


事情を知らないルーシィは疑問符を浮かべる。


「フェアリーテイル最強候補だよ………!!」


そそくさとルーシィから距離をとるロキ、


「何でかは知らねえがすがたを見られたくねえらしく仕事に行く時は皆眠らせちまうんだよ。ミストガンの顔を知ってんのはマスターとカイルだけだ」


「いや、俺は知ってんぞ」


グレイの説明に上から付け加える……ラクサスだ。


「ラクサス!!」


「いたのか!!」「めずらしいな」


「ミストガンはシャイなんだ。あまり詮索してやるな」


タバコを加え、見下ろすように言う。


「ラクサスーー!!勝負しろ!」


意識が完全に覚めたナツがつっかかる。


「やめとけ、エルザ如きに勝てねえ奴が俺に勝てるわけねえだろ」


「それはどういう意味だ…」


如きと言われたエルザが青筋を立てる。


「まままま、落ち着けエルザ」


きれかけたエルザをカイルがなだめる。


「降りて来い!!この野郎!」


「てめえが上がって来いや」


「上等だ!!」


二階に上がろうとするがじーさんに止められる。


「二階に上がってはならん……まだな」


そうだ、ナツにS級は早すぎる。足りないものがまだまだある。


「はは、怒られてヤンの」


「その辺にしとけ、ラクサス。ナツを煽るな」


「何だぁ?カイルディア。優しいね〜。流石はクソの騎士王様だ」


「貴様!!「よせ!!!エルザ!!」くっ!!だが!!」


「好きに言わせとけ、気にしてねえよ」


仲間内で争っても意味はない。カイルは激昂するエルザを止めた。


「くっ!!」


「はははは!そうだ!黙ってろ!最強の座は誰にも譲らねえよ。エルザにもカイルディアにもミストガンにも……あのオヤジにもな……俺が!最強だ!!」


そう言い残し、奥へと消えていった。







「なあにあれ!!ムカつく〜」

「全くだ!!」


その後、ルーシィとエルザはヤケ酒をしていた。


「まあまあ、起こるだけ損だぜ?ルーシィ、エルザ」


「でも!カイルは悔しくないの!?」「そうだ!カイルもカイルだ!たまにはお前も怒っていいんだぞ!!」


「ん〜。俺怒るって嫌いなんだよね〜。無駄にエネルギー使うし、何より不快だし。それにさ」


「「それに?」」


「エルザが怒ってくれたろ?それで充分だよ、俺は」


「あ/////」


顔を紅くするエルザ。飲み始めるカイル。ルーシィは二階の意味をミラに聞いているようだ。


S級魔導士しか上がれない階で行けるのはカイルとエルザ、ミストガンにラクサスだけだと教える。自分を含めなかったのは謙遜かね。


「まあS級なんて目指すものじゃないわよ。命が幾つあっても足りないから」


「はははは、デスよね〜」


冷や汗かいてるルーシィを尻目にマカロフが手紙をカイルに持ってくる。


「カイル、評議会からじゃぞ」


「!!!」


事情をある程度知っているエルザは目を見開いた。


「来たか…思ったより早かったな…」


何だなんだと皆が集まる。手紙の内容は10年クエストにいって来いとの事だった。


「な、なにこれ!!」


「評議会め!またカイルに無理難題を!!」


一斉に不満を言い出す皆。だがカイルはすべて無視して旅支度を整えた。


「待って!!カイル!行かないで!!こんなの行く必要ないわよ。あなたは何も悪い事はしてないわ!!」


「そーゆー問題じゃねえんだよ、ミラ。評議会の依頼だ。断れねえよ」


「行くなよ!カイル!二年前と同じ目に会いてえのか!!」


「あの頃より俺は遥かに強くなってる。心配すんな、グレイ」


「気をつけるんじゃぞ」


「すまんなじーさん。苦労をかける」


「謝らねばならんのはワシじゃ。すまんのぉ。尻ぬぐいばかりさせてしもうて」


「いいって…じゃ行ってくる」


出て行こうとするカイルにミラがすがりつく。


「やめて!行かないで!お願いよ、カイル。リサーナにいなくなられて、あなたにまでいなくなられたら…私…」


「私も行くぞ、カイル。私達は銀の妖精王:シルバリオ・ティターニア:私達はチームだ。」


「ダメだ。エルザ。今回のはマジでヤバイんだ。おまえを連れてくわけにはいかない」


「そんな危険なところにおまえ一人送って私はここで待っていろというのか!!」「そうだ」


そこまで聞くと、エルザは剣を抜き、カイルの前に立つ。


「ならば行かせるわけにはいかない!!斬ってでも止める!」


「ここで無駄な魔力は使わせないでくれ。頼むよエルザ」


「しかし!……うっ……」


次々と眠って行く。カイルが眠りの魔法をかけたのだ。ミストガンほどではないが充分に強力な魔法だった。


「さて、行くか…皆にはすまなかったって伝えといてくれ」


「自分で言うんじゃ、カイル」


「……わかったよ」


出て行こうとするカイルにラクサスが怒鳴りつける。


「カイルディア!!俺との決着はどうすんだよ!!」


「一年前につけたろ?俺の圧勝で」


「あの時と一緒にすんじゃねーよ!!」


「帰ったらいくらでも相手してやるよ」


そこまで言うと今度こそ出て行った。















どもどもキッド三世です。一人で死地に赴く事になったカイル。そこに待っている黒い龍の魔力とは……

次回もお楽しみに!!

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