小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第十六話 死闘の果てに


「待ちくたびれたぞ。当代のローレライよ」


まるで俺が来るのをわかってたかのように喋る。事実わかってたのだろう。魔力を消して来るといった真似はしなかった。こいつの狙いは十中八九俺だからだ。


「そうか?依頼を受けてからはすぐ来たつもりなんだがな」


「待ったさ…700年以上待った。妾を使役できる可能性を僅かでも持ったローレライを」


「なるほどそういう意味ね」


「だが正直たった二年で呼び出す事ができるとは思わなかったがな。貴様の成長速度には感心するばかりじゃ」


「俺だって努力するさ。天才だという自覚はあるが、それでとどまるつもりはない」


己の才覚だけでは限界がある。俺は天が与えた才を超えて見せる。


「ところでここまで派手に騒いだのはやはり俺を呼び出すためか…」


「うむ。使い魔をやる事も考えたがな。この方が早いと思ったのじゃ……

お喋りはこの辺でよいじゃろ。そろそろ始めるぞ」


「ああ、だがちょっと待て。この辺まだ生き物の避難がすんでねえ。後!」


俺の言葉はそこで遮られた。オーフィスが右腕を刃に変えて襲いかかってきたからだ。すんでのところでエクスカリバーで受け止める。


「始末してからにしろ、それぐらい言わせろよ」


「もう700年以上待った……もう待てん」


蹴りを放ち距離を取る。【千の顔を持つ英雄】でアスカロン(龍殺しの聖剣)とデュランダル(絶世の名剣)を創造する。


「ほう、エクスカリバーではないのか」


「同じ轍を踏む気はねえさ。お前に光系魔法が効かない事は知ってる」


オーフィスはありとあらゆる滅竜魔法を扱うことができる。今の右腕を刃に変えた力は鉄竜のものだ。


「それで妾の天敵であるアスカロンと段違いの斬れ味を持つデュランダルか。それ程の武具を創造できるとは…まぁそれでこそ、だがな」


「行くぜ」「来い」


剣を十字に構え、突進する。元々俺の専門は二刀流なので、この方がしっくりくる。


オーフィスが放った炎のブレスをアスカロンで斬り裂き、デュランダルで斬りかかった。が鉄竜の力で防がれる。


「いくらアスカロンとはいえわがブレスをこうもたやすく斬りさくとは!!」


「今の俺に滅竜魔法は通じないぜ!!」


「そうかな!?」


地面に手を着いたと思ったら一気に凍りついていく。飛び下がってかわすと空中にいる俺に向かって滅竜奥義を放った。


「紅蓮爆炎刃!!!」


斬撃を纏った炎が俺を襲う。しかし俺は動じる事なく対処する。


「絶剣技 参の形 焔斬り!!!」


炎を剣に纏わせるかのように切り裂く。着地し、氷の上を駆け抜ける。


グレイ、技を借りるぜ


地面に剣をつきたて氷を纏わせ斬りかかった


「氷刃十六連舞!!」


グレイは七連だが俺は十六ぐらいまでならいける。バッチリの手ごたえだ。


(ちったぁ参っててくれよ…」


「忘れていたよ……その時代の最強の魔法剣士のみが扱う事を許される秘奥の絶剣。そなたはその後継者であったな」


何事もなかったかのように立ち上がる。いや、ダメージは食らっているようだが、それを表に出してない。それだけでも驚異的なことだった。


「瞬時に体を鉄に変えたか……効いてんのはアスカロンの斬撃だけだな」


「デュランダルを受け止めるのは相当きつかったがの。しかし主二刀流の姿似合うの。今まで一刀の姿しか見たことなかったが、そしてこの強さ。妾にダメージを与えた者などいつぶりか…偏屈の精霊王共が魅入られるワケじゃ」


「俺は元々二刀流の剣士なんだよ。もちろん一刀でも戦えるがな」


そのゆがんだ自信ぶった切ってやる。

重力に身を任せ、前に倒れこむ。その寸前で位置エネルギーの力と俺の突進力を利用して駆け抜ける。


「絶剣技 初めの形 紫電閃!!」


神速のデュランダルがオーフィスを襲う。デュランダルなら受け止められると思ったのだろう。体を鉄に変えて迎え撃って来る。だがそれは誘い。


「斬鉄閃!!」


竜の鉄はタダの鉄ではない。たとえ本物の鉄を切る技倆があったとしても通常切ることは出来ない。だが俺は別だ。最初デュランダルでお前を切らなかったのはこの為の布石。


オーフィスに初めて大きな傷が入る。立て続けにアスカロンを振るう。


(これで、チェックだ!!)


アスカロンがオーフィスの体深くに刺さる。だが、切り抜く事は出来なかった。


(なに!!アスカロンで斬ったのに!)


ニヤリと笑うオーフィス。そうか……こいつも俺と同じ事を……


「零距離滅竜奥義 不知火型 紅蓮鳳凰剣!!」


炎の大剣が俺を貫く。デュランダルで受けたが、受けきれるものではなかった。
だがオーフィスもかなりのダメージらしく、撃った後、倒れた。


大の字になる両者。しかしゆっくりと二人とも立ち上がった。


「てめえ…今の殺す気で撃ちやがったな」


「お互い様であろう?」


「へへ、まあな。お互いもう細かいことぁ出来ねえだろ?」


「そうだな…」


身構える二人。次の一撃に全てを注ぎ込むつもりだ。


「絶剣技 終の型 三十連 烈火螺旋剣舞!!」


「滅竜奥義!!天空穿!!」


遠距離型の滅竜奥義がカイルに襲いかかる。なす術もなくもろに受けた。
カイルの姿はなく、跡形もなく消え去った。


「飛び道具を使わんとは言ってないのに……まぁかなり楽しめたがな」「そうだな…俺もそれなりに楽しめたよ」


オーフィスの後ろで奥義の構えを取るカイル。きづいた時にはもう遅い。


「零距離!絶剣技 終の型 三十連烈火螺旋剣舞!!」


全方位から注がれる一撃必殺の斬撃。その三十連撃。完全に油断していたオーフィスは一太刀も防げず喰らいきった。
今度こそ倒れこむオーフィス。カイルは剣を支えにしてだが何とか自分の足で立っている。


「バカな……手ごたえはあった…幻覚の類ではないはずじゃ。一体どうやって…」


「【千の顔を持つ英雄】だ。それで俺のデコイを作った。幻覚じゃなく実体があるんだから手ごたえがあって当たり前だ」


「武器だけを創造できる魔法ではなかったか……完敗だ」


負けを認めた。オーフィスの周りを淡い光が包み込む。カイルは指を少し斬り、オーフィスに血を捧げた。


「汝、魔を滅する龍の精霊王よ。我が血を受け取れ。我契約文を捧げ、ローレライの名の下に汝と永久の契約を結ばん。オーフィス!!」


契約文を捧げ、完全に契約を完了した。オーフィスが俺の体に取り込まれていく…


【700年以上待ったかいはあった。ありがとう。感謝するぞ。当代のローレライ。我が奏者よ…】


完全に契約が完了し、俺は倒れこんだ。もう立っていられない。先ほどの滅竜奥義、少し食らっていた。あれ程広範囲だとは思わなかった。


【やりきったわね。流石歴代最強のローレライ】


「よせ、ギリギリもいいとこだ。俺は今から気を失うぞ。魔獣の類が現れたらおめーらでなんとかしてくれ。変な事したら殺すからな」


そこまで言い終わるとカイルは意識を手放した。


【本当にオーフィスを取り込んじゃうなんてね。流石私達が見込んだ男】


【今はゆっくり休ませてあげましょう。7年後、奏者はとんでもない試練を受ける事になる。オーフィスを取り込んだんだから確実にね】


【そうね。それにしても……】


疲労困憊し、完全に無防備で眠っているカイル。普段凛々しい顔は今は少し幼さを残した無邪気でかわいい寝顔をしている。


【【【【かわいい……///////】】】】(きゅーーーーん)


ゴクリとツバを飲み込む精霊王達。しかしカイルに釘を刺されたので何も手を出す事が出来ない。もし破ろうものならとんでもない目にあうだろう。


【【【【生殺し〜〜〜〜!!!】】】】


それぞれ頭を抱える彼女ら。そんな精霊王達の苦悩も知らず、カイルは眠りこけていた。




















あとがきです。龍の試練篇しゅーりょー。戦闘描写は難しいです。あまりコメントがないのでこの小説面白いのか?読んでくれてる人いるのかな?と不安になる今日この頃です。もしつまんねえよ!という人がいれば教えてください。速やかに消え去ります。大丈夫だよ!という方も教えてください。とても励みになります。それでは次回まだ続いていればお会いしましょう。

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