小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第二十話 勝手にしやがれ!!


「たとえ我が命尽きるとも…零帝様への愛に偽りなし……」


「死にゃしないわよ!大げさなんだから」


シェリーとの戦いを制したルーシィは突っ込む。ラリアット程度で死ぬわけはない。だがギリギリの戦いだった。勝てた事に心から安堵する。


「アンジェリカ……私の仇を討って……バタッ」


そう言って気絶すると馬鹿でかいネズミが襲いかかる。満身創痍のルーシィによける術はなかった。


(あぁ、どうしよう、あたしここで死んじゃうのかな?



やだなぁ、やりたい事まだまだあったのに……


もっとカイルとお話したかったのに……


もっとカイルと仕事とかしたかったのに)


そんな事を考えながらあたしは来る衝撃に備えて思いっきり目を瞑った。







ドグワシャ!!!











ーーーーーーーーーー









「あれっ?!」


大きな破壊音だけを残し、何も起こらない事を不思議に思って目を開けた。


「よ、無事っぽいな、ルーシィ」


「カ、カイル!!」


ルーシィの前には、剣を肩に担ぎにやっと笑っているカイルがいた。あのネズミは遥かとおくに吹き飛ばされてる。斬られてない所を見ると峰打ちだったようだ。


(カイル……/////王子様みたい!!)


「なんか感動してるっぽいとこ悪いが、何で俺がここにいるか、わかってるよな?(黒笑)」


「あ!!」


そ、そうだ。勝手にS級クエストに来ちゃったんだった!!


笑顔で問いかけてるカイルだったが、黒いオーラを全身に纏わせている。


「え、えーと、その〜。つ、連れ戻しに……デスよね?」


恐怖のあまり敬語になるルーシィ。それもそのはず。目の前にいるのは最強の騎士王なのだ。普段怒らない人が怒るとめちゃくちゃ恐い事をルーシィは知っていた。


「よかったーーー!!ルーシィ無事だったんだ……ね……」


飛んでくるハッピー。しかし途中でカイルに気づく。



「…………………」


「…………………(滝汗)」


にっこり



「!!!」ビューーーン



ハッピーはものっそいスピードで逃げ出した!


「しかし回り込まれてしまった」
















ーーーーーーーーーーー








「で?ナツ達はどこだよ」



無言のハッピー。それに対してルーシィが弁明する。


「カ、カイル聞いて!!勝手に来ちゃったのは謝るけどここの人たち大変なの!!氷漬けの悪魔を復活させようとしてたり、他にも色々!あ、あたしここの人たちを助けてあげたいの!!」


必死で弁明するルーシィ。しかしそこに自分の保身はなかった。ただ純粋に島の人達を思っての言葉だった。


「ふーむ。ルーシィのいう事が確かならほおってはおけねえな」


「!だったら「だがその役目はお前らじゃないはずだ。それぐらいわかるだろ」うっ…」


「まあ今回の件は俺一人で決めていいもんじゃない。エルザと村で合流する手はずになってる。そこで決めよう」


「え、エルザも来てるの!!」


「そ、だからエルザにも今の話もうちょい具体的にしてくれ。俺にはなんか色々伝わって来たからいいけどあいつフワフワした説明とか許さんからな」


「………ハイ」


「んじゃいくぞ。立てるか?」


手を差し出すカイル。もう黒いオーラは消えていた。


「………うん///」


起き上がるのを確認すると、カイルは手を離した。


「あ……///」


「ホラいくぞ。キリキリ歩けぃ。問題児」


「も、もう!////ちょっと待ってよ〜〜〜」









ーーーーーーーーー









「興味がないな」


合流してすぐルーシィ達を縛り、話を聞いたエルザの第一声はそれだった。


「じゃあせめて最後まで仕事を……」


シャラン。



剣をルーシィの喉元に突きつけ、言葉を遮る。


「仕事?違うぞルーシィ。貴様らはマスターを裏切ったんだ。ただで済むと思うなよ?」


(こ、恐い…)


カイルとは比べ物にならないエルザの怒りに怯えている。すると目を覚ましたグレイがテントに入ってきた。


「!!!カイル!エルザ!」


「よ。ぼろ負けしたんだって?」


「だいたい聞いた。お前は止める側だろう?あきれてものも言えんぞ」


「きぃつけろ。グレイ。物が言えなくなったら手が出るのがエルザだごばば!!」


ボディーブローを一発くらうカイル。相当効いたらしく、しばらく立て膝だった。


「だ、大丈夫か?カイル」


「軽いジョークなのに……。それで?ナツは?」


「わからねえよ。多分どっかうろついてんだと思う。ここ村の資材置き場だそうだから。てかよくわかったな、お前ら」


「シルフに探らせたのと」「おいらが飛んで探したんだよ。縛られたまま…」



すっと立ち上がるとエルザはカイルに話しかける。


「ナツを探しにいくぞ、カイル。見つけ次第ギルドに帰る。引き続きシルフで捜索してくれ」


「アイアイさー」


それにつづくカイル。その様子をみたグレイは反論した。


「おい、なにいってんだ?エルザ。ここの現状は見たんだろ?カイルも何でエルザに従ってんだよ…」


「それがどうした?カイルは何を考えてるのかは知らない。こいつは優しいから助けてやろうぐらいのこと思ってるだろうけどな。私は掟を破ったものを連れ戻しにきただけだ。
それ以外興味はない」


「ほっとけっていうのかよ!!」


「正式にS級魔導士が受理したクエストなら止めはせん。だがお前らの行動は明らかに違反行為だ」


「見損なったぞ!エルザ!」


「何……」


流石に反応するエルザ。


「グレイ!!エルザ様になんてことを!!」


いや様て……


ハッピーを無視してエルザは剣を突きつける。


「お前まで掟を破るか…ただではすまんぞ…」


突きつけられた剣をグレイはすででつかむ。手から血が流れるが頓着しないで続けた。


「勝手にしやがれ!!これは俺が決めた道だ!!おれがやらなきゃいけねえんだ!!最後までやらせてもらう!斬りたきゃ斬れよ。」


背を向けて歩き出すグレイ。


カイルが軽く腕を振ると風の刃がグレイを斬った。


「ホントに切る奴があるかぁぁぁぁああ!!」


グレイがカイルの襟を掴みかかる。


「あはん、やめてグレイ。残念だけど俺はノーマル「んな事言ってんじゃねえ!!」


「今の一撃で見逃してやるって言ってんだよ、バーカ」


押し黙るグレイ。手を払うとカイルはエルザに話しかける。


「おめえの負けだ。ここまで言われちゃ引くしかねえ。諦めろ。行くぞグレイ」


「……やっぱカイルは最高だぜ…」


テントから出て行く二人。


しばらく無言だったがルーシィ達のロープを斬った。


「このままでは話にならん。何よりカイルが敵にまわっては勝ち目がない。さっさと終わらせるぞ。だが忘れるな。罰は受けてもらう」


そして四人と一匹は遺跡を目指す。







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