小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第二十一話 デリオラとグレイの闇



遺跡へと向かう最中、俺たちはグレイからリオンの目的を聞いた。


「は?てことはなに?リオンはそいつを倒したいわけ?そのために復活させる?わけわかんねえな」


「倒せなかった物を倒す。死んだ者を超えるにはその方法も一つの手段ではあるか……」


「んなもん手段になるかよ。ケンカってのはてめえとてめえの拳でやって初めて白黒つくもんだろ。個人で相性とかもあんだし俺に言わせりゃ意味ねえの一言に尽きる」


「違う。リオンは……あいつは知らないんだ!ウルはまだ生きている!」


グレイの一言に全員が驚愕する。だがカイルはいち早く理解した。


「まさか絶対氷結、アイスドシェルか!?」


「カイル、何だそれは?」


「己の命を代償に絶対溶けない氷の檻に閉じ込める魔法だ。」


「その通りだ。あの氷は……ウルなんだ!!」







〜10年前〜



家族をデリオラに殺されたグレイは魔導士になるべくウルに弟子入りした。彼女は優秀な氷の造形魔導士で、グレイとその兄弟子のリオンに造形魔法をどんどん教えていった。


「もっと強い魔法を教えてくれよ!」


「もう教えてるだろう?造形魔法はその者のイメージに呼応してどんどん強くなる」


そんなある日、デリオラが再び現れた事を聞いたグレイはウルの静止を無視してデリオラに挑みに行こうとした。


「行くな!グレイ!行ったら破門にする!!」


「したきゃしろよ!!俺は行く。もし俺が死んだら強い魔法を教えてくれなかったあんたを恨む…」










戦いに行ったグレイはあっけなく倒され、気絶した。目を覚ましたらデリオラと闘っているウルの姿があった。


「何で……俺は破門になったんじゃ……」


「可愛い弟子を見殺しには出来ん」


グレイが視線を下に向けるとそこには驚愕の光景があった。


その様子をみたウルはにこっと笑い


「素晴らしいだろ?造形魔法は。脚一本吹き飛んだが気にする事はない」


脚がなくなっていたのだ……代わりに造形魔法で作った氷の義足をつけていた。


「ウル……何あんな化け物に手こずってるんだよ…早く倒せよ……ウルは最強の魔導士なんだろう?」


ボロボロのリオンがウルにすがる。己の師匠を最強と信じ、超えるために修行していたリオン。そのウルが敗れることは彼にとって裏切りに近かった。


「私は最強などではない。西には私など比べ物にならない使い手がいる。私を超えたら今度はまた上を目指せばいいだろう?」


「何を弱気なこと言ってんだよ……もういい、あんたがやんないなら俺がやってやる」


腕を交差し、魔力を集中する。白い光にリオンは包まれ凄まじい魔力が渦巻いた。


「そ、その魔法は!!リオン!あの本を見たのか!!」


「あんたがいつまでも強い魔法を教えてくれないからな。ずるいよ、こんな強い魔法を隠していたなんて」


「リオン!その本最後まで読んでないだろう!!ええい!!」


リオンに無理やり近づき、気絶させた。


「私がやろうとしていた事を……だが奴を封じるにはこれしかないのも事実だ」


リオンと同じように腕を交差するウル。グレイが叫んだ。


「おい!何する気だよ!!」


「絶対氷結、アイスドシェル。己の命を代償に絶対溶けない氷となる魔法だ。」


「そんな事したらウルが!」


「私は死なないぞ、グレイ。デリオラを封じる氷となるだけだ。だがリオンには死んだという事にしておいてくれ。あいつに真実を話せば氷を溶かすのに一生を使ってしまうかもしれん。お前達には広い世界を見て欲しい………」





ーーーーーーーーーー








ウル、なに子供連れてんの?旦那もいないのに……あんた充分若いんだからまだいけるでしょ?












「そんな不幸そうなツラしてるつもりはないんだけどね。だって日に日に成長するお前達と一緒にいるんだから……安心しろ、グレイ。お前の闇は私が封じよう」



氷となったウルはデリオラを完全に凍らせた。リオンには約束通り死んだと伝えた。


二人とも涙がとまることはなかった……














〜現在〜


「そんな事が……」


「だがリオンは本当に知らないのか?グレイもその本読んだんだろう?あいつが読んでねえ保証はねえだろ」


「だとしたらこんな真似はしないはず」ドォオオオオオオン!!!!!



凄まじい破壊音がしたと思ったら目の前の遺跡が傾いていた。


「え、えーーと、どういう事?」


「ナツだ。恐らくムーンドリップの光がデリオラに届かないようにする為にぶっ壊したんだろう」


「あいつがそんな事考えたのか!?」


「ああ見えてナツは頭の回転は悪くねえんだぞ。発想も柔軟だしな」


茂みから突然刀剣が飛んできた。カイルとエルザが全て叩き落す。


「見つけたぞ!フェアリーテイル!零帝様の邪魔はさせん!!」


「ここは任せろ、お前はリオンと決着をつけにいけ!!」


それを聞いたグレイは遺跡の中へとかけて行く。それにカイルもついて行った。


「カイル?来てくれんのはありがてえがエルザ達の援護しなくていいのか?」


「まああの程度の雑魚なら問題ねえだろ。それより気に入らん魔力を中から感じてな」


首を傾げるグレイだが、カイルには確信があった。


(いるな……ウルティア)





















あとがきです。最近ラブが書けない……デリオラ終わったぐらいには書けるかな〜?書きたいな〜。ウルさんかっこよすぎですね。それではまた次回。コメント宜しくお願いします

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