小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第二十四話 忍び寄る幻影の影




「ええ!!依頼料はいらない!?」


クエストを無事達成し、報酬を渡そうとした村長にカイルとエルザはいらないと断った。


「今回は一部のバカが勝手に動いて勝手に解決しただけだ。ギルドが正式に受理したクエストではない。依頼料を受け取る資格はない。」


「し、しかしですな!!」


「こ、これだけ苦労して何もなしかよーー!!」


「で、ですがこれで我々が救われたのは事実。これは報酬ではなく、友人へのお礼という事で受け取ってくれませんか?」


懸命に頼み込む村長。いい人だな〜。七百万がタダになるってのに…


エルザは仕方ないといったふうに首を振り、


「そう言われると拒みづらいな」


「まあ、こんだけやっといて何も受け取らないじゃ、こいつらがいたたまれんだろう。追加報酬の鍵くらいは貰ってもいいんじゃないか?」


「カイル……ふっ、そうだな。ギルドの理念に反するが、気持ちとして鍵だけは受け取っておこう」


「「いらねーーーー!!!」」


「いるいる!いるわよ!!」


ナツ達には意味のないものだから、不満だだ漏れだった。

黄道十二門の一つである人馬宮のサジタリウスを受け取り、ルーシィに渡した。
この金の鍵は全てで十二しかないかなりレアな鍵だ。ルーシィにとっては今回の報酬はかなりのものだろう。


「じゃあ帰るか……」


「おい、船はどうすんだ?」


「私達が強奪した海賊船がある。アレに乗っていくぞ」


「エルザ……事実だけどもうちょいオブラートに包めよ……」


「ええええ!!海賊船!!いや!乗りたくない!!」


「泳ぐなら付き合うぞ?」


船に乗りたくないナツは泳ぐ気満々だった。腕をぐるぐる回している。


「それも嫌!!」


「贅沢言うなルーシィ。ほらいくぞ。あ、泳いでもいいけど」


「カイルの鬼ーーー!!」


結局皆で船に乗り込む。動き出して数分でナツはグロッキー。


「バイバーーイ!!フェアリーテイル!!また来いよ!!」


「本当にありがとう!!フェアリーテイル最高ーーー!!」


見送りをしてくれる悪魔達。その様子を皆嬉しそうに見ている。


「ばいばーーい!!みんな!元気でねーーー!!!」


島の影が見えなくなるまで彼らの見送りは続いた。



















ガルナ島からマグノリアに戻り、今はギルドへと続く道を歩いている。


「帰ってきたぞーーー!!!」


「来たぞーーー!!!」


「しっかしあれだけ苦労して報酬は鍵一個か…」


「ばかたれ。あのクエスト俺が受けるつもりだったのに。こっちは七百万丸々損だ。てめえら帰ったらなんか奢れよ」


「まあ、正式に受理したクエストじゃないんだ。これぐらいでちょうどいい」


今回の結果に不満を言うグレイに文句を言うカイル。だがルーシィだけは上機嫌だった。


「そうそう!文句言わない!!」


「得したのルーシィだけじゃないか〜〜」「自分さえよければそれでいいタイプだよな〜ルーシィは。どこのお嬢だっての」














「「売ろうよ、それ」」


見事にハモるカイルとハッピー。


「なんて事言うドラ猫かしら!!言っとくけどこの黄道十二門の鍵はめちゃめちゃレア何だからね!!」


「「……………へぇ」」


「あんたら信じてないわね………」


「あのカニやメイドが〜〜」



全員嘘だ〜といった顔をしている。それにルーシィが激昂する。


「あたしがも〜〜っと修行すれば絶対あんた達より強いんだから!!」


「ほう、なら是非俺と戦って欲しいモンだな。手加減なしで……」


「ご、ごめんなさい……」


カイルの戦おう宣言に一気にビビったルーシィ。


「ま、それは半分冗談として」「半分!?」


「なんて言う鍵なんだ?それ」


「人馬宮のサジタリウス」


「人馬!?」


グレイの頭にケンタウロスの逆バージョンが浮かび上がる。


「いや、それ逆じゃない?」


「………ワクワク」


ナツの頭には何かもうわけわからん生物が浮かび上がる。


「なにそれ!!もう生物じゃないわよ!!」


「…………おお!」


カイルの頭には全身を漆黒とところどころに金をあしらった鎧と兜に身を包み、銀の盾と槍をもち、見事な青毛の馬に乗った騎士を思い浮かべた。


「そ、それはカッコよ過ぎかな〜」


「……………////」


エルザの頭にはカイルの想像した格好をし、兜を取り、微笑むカイルの姿が頭に浮かび上がる。


「それまんまカイルじゃない!!(でもかっこいい。あんな格好カイルにして欲しいな///)」


それぞれしっかり突っ込むと、エルザがおもむろに口を開いた。


「さて…早速だがギルドに戻ったら貴様らの処分がある」


「うぉ!!忘れかけてた!!」


いやいや忘れてただろ?ナツ。


「私もカイルも概ね海容していいとは思ってるが、決めるのはマスターだ。私達は弁護する気はない。覚悟しておけ」


「ままままさかアレをやらされるんじゃ!!」


「ちょっと待て!!アレだけはもうやりたくねえ!!」


「え?あれって何?」


ルーシィだけは着いていけない様子。ま、無理もないが。


「大丈夫だって。ジッちゃんならよくやったって言ってくれるさ」




「……いやアレはほぼ確実だろう。ふふ、腕がなるな」


「あそっか。今回は俺とエルザがやることになんのか。アレってやる方も結構大変なんだけどな〜〜。まあ面白いからいっか←(ドS)」









ーーーーーーーーーーーーーー



ーーーーーーーーーー



ーーーーーーー




ーーーー


ーー













「イヤだ〜〜!!アレだけはイヤだ〜〜!!」


逃げようとするナツの首根っこをエルザがひっつかみ、引きずって行く…



「………ふふふ、さあ、逝くぞ」



「おい、バカ二人、キリキリ歩け」


後ろでこの世の終わりのような顔をしているグレイとハッピーの肩に腕を回し、歩くカイル。



「だ、だからアレって何〜〜〜〜!!!」














しばらく歩いていると何やらヒソヒソと話し声が聞こえる。どうやら俺たちを見て話しているようだ。



「カイル、街の様子がおかしい」


「ああ、やな予感がするぜ」


ギルドに到着する直前に曲がる角がある。そこを曲がるとそこには驚愕の光景があった。



「な!!何!!」


「こ、これは!!」


「お、おいら達の……」



「俺たちのギルドが!!」



巨大な鉄に串刺しにされているギルドの姿があった。



「この鉄は……ただの鉄じゃねえ。オーフィス、これは」


【ああ、滅竜魔法の鉄じゃ、奏者】




また一つ、大きな戦闘が近づいていた……
















あとがきです。ファントム篇スタート!ここで提案です。マカロフはやられたほうがいいですか?それともなんらかの原因で少し戦えなくなったと言うほうがいいですか?もし反応がなければ筆者の独断で進める予定です。よろしくお願いします。後、辻堂さんの純愛ロードで連載しておりますのでそちらもよろしくお願いします。


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