第三十二話 受け付け再開!!結成!!新最強チーム!!
〜評議会〜
寝ながら判決を受けたマカロフは刑を軽くしてくれたヤジマと呑んでいた。
「感謝すろよマー坊。ワスも弁護してやったからな」
「感謝しとるわいヤン坊。今度好きなもの奢っちゃる」
「なら妖精ラーメンチャースー十二枚のせで」
「十二枚はのせすぎじやろ!!」
理不尽?な要求に突っ込むマカロフ。
「ワスが弁護すなかったら今頃……」「あー!!わかったわかった!!二十枚でも三十枚でも載せてやる!!」「チャースーは十二枚じゃ」
こだわりなのか……十二枚にこだわるヤジマ。
「笑い事ではないぞマー坊。ワスらはもう若くないんじゃ。このままではいずれ潰れる。はよう後継者を決めた方がええ」
「……………後継者……………か」
〜フェアリーテイル〜
「皆〜今日から仕事の受注を再開するわよー!」
ミラジェーンの明るく元気な声が響き渡る。
本日より、仮設受付カウンターだが仕事を受注できるらしい。
いつもは飲んだくれている皆だが、久しぶりで嬉しいのか沢山の人が依頼板に群がっている。
「皆変なの〜。あ、ロキいないかな?」
「何だ?遂にルーシィもロキの毒牙にかかったか?」
「その方が私としては嬉しいけどね」
「違うわよ!!それにあたしが好きなのは………何でもない……」
俺を横目で見たあと、仮説カウンターに突っ伏すルーシィ。
へぇ、好きな奴いるんだ。ナツとグレイのどっちかかな?
「で?何でロキ探してたんだ?」
「んー?あぁ、鍵見つけてくれたみたいだから一言お礼したいなーって」
「見掛けたら伝えておくわ。それより、星霊に怒られなかった?鍵落としちゃって…」
「そりゃもう…怒られるなんて騒ぎじゃなかったですよ…」
アクエリアスに落とすなっつったよな!?ああん!!
とムチで尻を叩かれまくったらしい。
思い出しただけでお尻がズキズキ…とルーシィが嘆く。
「冷やしてやろうか?」
「セクハラ!!」
「ルーシィー赤いお尻見せてー」
「もっとヒリヒリさせたらどんな顔すっかなー」
堂々とセクハラをしようとするハッピー。
ナツに至ってはS丸だし。面白そうだが←(お前もだ)
そんな会話をしていると酒樽が飛んできてナツに直撃した。
「もういっぺん言ってみろ!」
「「エルザ?」」
なんだ?と目を向ければ、エルザが誰かに怒鳴り掛かっていた。
あれは…、ラクサスか?
「この際だ、はっきり言ってやるよ。弱ぇ奴はこのギルドに必要ねぇ」
そう言ってラクサスは、まだ怪我の治っていないジェットやドロイに目を向ける。
「ファントムごときにナメられやがって。つーか、お前ら名前知らねぇや」
出たよ……一度シメとこっかな?
今度はルーシィに目を向ける。
「元凶のてめぇ、星霊使いのお嬢様よぉ。てめぇのせいで…」
「ラクサス!もう全部終わったのよ」
ミラはキッとし、ラクサスを諭す。
「誰のせいとか、そういう話だって最初からないの!戦闘に参加しなかったラクサスにもお咎めなしと、マスターも言っているのよ!」
「そりゃぁそうだ。俺には関係のねぇことだ。ま、俺がいたらこんな無様な目には合わなかったがな」
「…貴様…っ」
「うらぁぁ!」
エルザが飛び出すよりも早く、ナツがラクサスに飛び掛かる。
だがナツの拳は、雷と化したラクサスの速さの前に届かない。
「っ〜ラクサス!俺と勝負しろ!この薄情モンがー!」
「フハハハッ俺を捉えられねぇ奴が何の勝負になる?」
「てめぇ……っどわ!」
「…あん?」
席を立ったカイルが、吠えるナツの頭をグッと押さえ込む。
「っ何すんだよカイル!」
ナツの抗議の声を無視し、ラクサスを見やる。
「あんま調子のんなよ?ラクサス。何もしなかったお前にとやかく言う資格はねえ。フェアリーテイルの為に、皆必死で戦ったんだ。ミストガンでさえ、ファントムの支部を一人で潰して来た。お前だけじゃねえか、何もしてねえのは」
「何だよ、ヤケに突っかかるじゃねえか、カイルディア。聞いたぜ?今回もほとんどお前一人で闘ったようなモンらしいじゃねーか。お前ほどの強者が何故こんな雑魚どもを庇う?」
周りの皆が押し黙る。ジュピターを受け止め、シェイドの大半を駆逐し、ジョゼを倒したのは全てカイルだ。事実カイルなしではどうなっていたかわからない。
「あほか。ジュピターの次弾発射阻止。エレメント4の討伐。全てナツやエルザ達がやったことだ。ここにいる奴ら誰一人欠けても今回の件は解決しなかった。俺は最後に少し闘ったにすぎん」
「そーゆー所が俺との差だって言ってんだよクソの騎士王!!いつまでもあめえ事をベラベラと!!この際だ、俺がギルドを継いだら弱ぇ者(もん)は全て削除する!そして歯向かう奴も全てだ!最強のギルドを作る!誰にも舐められねぇ史上最強のギルドだ!はははははっ!」
ハハハッと高らかに笑い、ラクサスは稲妻となって消えた。
「あんの野郎ぉ!」
「もういい、あいつに関わると疲れる……そしてすまかったな、カイル」
「ん?何がだ?」
「悔しくはあるが、ラクサスが言っていた事は概ね事実だ。また私達はお前に頼りきりになってしまった…」
それを聞くと皆頭を下げ、口々にすまねえとか言い出した。
「やめろバカども!!礼言われるような事してねえよ!!仲間助けんのは当たり前だろうが!!次頭下げたらフリージアで全員凍らせるからな!!」
一斉に頭を上げ、怯える皆。
いや冗談だって……
「継ぐって、何ぶっ飛んだこと言ってるのよ…」
ムッとしながら不機嫌そうに腰を下ろすルーシィに、ミラは苦笑する。
「それがそうでもないのよ」
「ラクサスはマスターの実の孫だからな」
「えー!!!」
知らなかったのか……まああんま似てないしな。
「…だからマスターが引退したら次のマスターはラクサスの可能性が凄く高いの」
「……それは嫌だな…。仲間のことをあんな風に思ってる人がマスターになるなんて…」
「うん、だからマスターもなかなか引退できないんじゃないかっていう噂なの」
確かにラクサスがマスターになるのは俺も嫌だな。
でも、あれでも昔は素直な奴だったんだよな…
何であんな風になっちまったのか…
“マスターの孫"がそんなにアイツを苦しませるのか…?
「まああいつはあいつで色々あんのさ。気長に見てやろうぜ?あいつもフェアリーテイルの仲間で、俺たちの家族なんだからよ」
「………カイル………」
あんな事を言われたのに笑っているカイル。
その器の大きさに皆感嘆する。
「カイルの方がよっぽどマスターに相応しいな」
「確かに」
「おめぇだったら、喜んで付いて行くぜ!」
「よせよ。責任ある立場とか苦手なんだから」
口々にカイルを褒め称える。
流石に照れ臭くなった俺はそっぽをむいた。
「盛り上がった所でどうだろう、仕事でも行かないか?私たち5人で。あぁ、ハッピーいれて6人か」
話を切り替えるように、エルザが提案する。
「もちろん、ナツとグレイとルーシィも一緒だ」
「「えっ!?」」
「はいっ!?」
「アイゼンヴァルトの件から、常に一緒にいる気がするしな」
「まあ確かに……」
「今頃かい…」
「誰がどう見たってそうだったろうが、ちゃんと自覚して無かったのか?」
「さすがエルザ…」
ワカバ、マカオ、カナの順で苦笑した。
「ふふ、この際6人でチームを組まないか?」
「てことは銀の妖精王は解散か?」
「馬鹿者!!そんなわけないだろう!!S級クエストにいけるのは私達だけだ」
ナツとグレイがげんなりする。
「「こいつとチーム?」」
「嫌なのか?」「「いえ、嬉しいです」」
「わあっ、でも…あたしなんかでいいのかな?」
「なんかじゃねぇ!」
「!?」
そう言ってナツはルーシィに近づいた。
「ルーシィだからこそ良いんだ!」
「あい!」
「まあユルキャラも必要って事でな」
「…えへっ」
ルーシィは笑顔になった。
「フェアリーテイル最強チーム、正式結成だね!」
「こりゃ良いや!」
「つか、ルーシィ最強か?」
「俺はアクエリアスを出されたら、勝てる気がしねえ!!」
「突っ込みもすごいしな」
「色んな意味で最強」
確かにツッコミは必要だ。グレイではどうも物足りん。
「さっそくだが仕事だ!ルビナスの城下町で暗躍している、魔法教団をたたく!行くぞ!」
「「「「「おおーーーー!!!」」」」」
〜SIDEマカロフ〜
「んぐっ、んぐっ、ぷはぁっ…引退か…」
マカロフは工事現場を見渡した。
「…ギルドも新しくなる。ならばマスターも次の世代へ。
…ラクサス…あやつは心に大きな問題がある。
…ミストガンは、ディスコミュニケーションの見本みたいな奴じゃ。…だとすると、まだ若いが……カイル……もしくは少し番付は落ちるがエルザ……」
この二人が適任か……二人で協力してマスターをやってくれれば問題なさそうじゃが……
「マスタ〜!こんな所にいらしたんですか〜?」
「ん?」
「またやっちゃったみたいです」
「はぁ!?」
嫌な予感がしたマカロフ。
「カイル達がルピナスの街全壊!!半壊じゃなく全壊だそうですよ〜〜!!」
それを聞くと一気にしおれるマカロフ。
「引・退・なんかしてられるかぁあぁああああああ!!!!!!」
夜空に泣きながら叫ぶマカロフであった。
あとがきです。アクセス数五万超えました。やったぜ!!
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