小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第四十三話 自由の為に……





エルザを救い出した後、カイルは倒れた……
無茶な精霊王の使役、致命傷以上のダメージ。当然といえば当然の結果だ…



今はアカネビーチのホテルの一室…カイルとナツは仲良く寝ている。


「しっかし良く無事だったな、エルザ」


「ああ、あのまま分子レベルでバラバラになるはずだったんだが……どうやらそうなる直前にカイルに救われたようだ」


それを聞いたルーシィが冷や汗かきながら喋った。


「ホントに命懸けの生還だったんだ…」


「そんな中で生きて帰るなんて流石エルザとカイルだぜ。変なもん喰って眠りこけてるバカとは格が違う」


「今なんつったグレエェエエエェイ!!!!」


悪口を言われたナツは飛び起きた。


「素敵な食生活ですねって言ったんだよ。だいたいてめえふくろう野郎に食われてなかったか?どっちなんだよ食物連鎖ヤロー」


「ぐぬぬぬぬぬぬぬ…ぐかーーーー!!!」


言い返すかと思ったらそのまま爆睡。絡む気ないんなら起きんな!とグレイが突っ込んだ。


「ったく、うるせーな。人が疲れて寝てんだから静かにしやがれ」


「「「「カイル!!」」」」


頭を抱えながら起きたカイルに皆笑顔を向ける。


「いててて、流石にまだ回復しきってはないか…まあレムルス使えばすぐにぃぃいいいい!!!」


座ってた所をエルザに抱きつかれ押し倒される。


「お、おいエルザ?」


「うるさい!!私の事言えないじゃないか!!医者に見せたら普通なら絶対に死んでる怪我だったそうだぞ!!私に死ぬなと言ったくせにお前は何なんだ!!カイル!!」


泣きながら激昂するエルザ。流石に少し焦るカイル。


「わ、悪かったよ……ごめんな、エルザ」


カイルの胸に顔を埋めてむせび泣くエルザを優しく抱き締める。


「「どぅぇええきてぇえる」」


「メラメラ…」


巻き舌で何かほざくナツとハッピー。
ルーシィは黒いオーラを放っている。


「悪りぃが俺はもうちょい寝るぞ。起きるまで起こすな」


「ああ、ゆっくり休め……チュ…」


触れるだけの優しいキス。そのまま俺を押し倒した。限界だった俺は眠りこけてしまった。










〜アカネビーチ〜


ジュビアは、フェアリーテイルに一刻も早く入りたいからとマグノリアに向かった。
ショウ達はこれからの事で悩んでいた。


「行く当てが無いなら、フェアリーテイルに来れば良い」


「「「ええっ!?」」」
「みゃあ、あたし達が!?」
「フェアリーテイルに!?」
「お前達の求めていた自由とは、違うかもしれんが充分に自由なギルドだ」


エルザはショウ達を勧誘した。


「そういや、サラマンダーもそんな事言ってたゼ!」


「元気最強のギルドだーー!!」


「ギルドかぁ、強ぇ連中がいっぱいいるのか!」


「しかしエルザ、良いのか?」


「それにお前達とも、ずっと一緒にいたいしな」

私なりの、精一杯の勧誘だ。
ショウは少し悩んでいた。

「さあ戻ろう。ナツにもお前達をきちんと紹介せねばな」


すると、風と共に、何かが聞こえてきた。





ーーーーーー強くなったな…エルザ…。



「!?(ジェラール!?)」


エルザは後ろを振り向いた。

「(そんな訳…ないか…)」


「どうした、エルザ?」


「いや…なんでもない…」












〜夜〜


あれから色々考えたショウ達はギルドにではなく自分達で生きる道を選んだ……本当の自由の為に…


「それも一つの選択……だな」


目覚めたカイルはナツ達の話を聞き、頷いた。


「エルザ、行くぞ」


「ああ」


「ナツ、グレイ、花火の用意だ。」


「「花火?」」


後ろを振り返り、カイルはにっと笑った。


「俺流フェアリーテイル壮行会だ」










小舟で出ようとしてる所を見つける。そこでショウ達は強い意思を見せた。


「…その強い意志があれば、お前達は何でも出来る。安心したよ」


エルザは式典用の鎧に換装した。
カイルも煌びやかな格好に換装する。


「だが!フェアリーテイルを抜ける者には、三つの掟を伝えなければならない!心して聞け!」


「「「えっ!?」」」


「みゃっ!?」


「ちょっ!?抜けるって入ってもねぇのに…」


「いいから聞けって…俺たちが仲間に贈る言葉だ」


皆が驚き、ウォーリーが抗議したが、これから彼らに言わなければならない事がある。



「一つ、フェアリーテイルの不利益になる情報は…一切他言してはならない!」


「そんなの知らねえって…」


「二つ、過去の依頼者に濫りに接触し…個人的な利益を生んではならない!」


「いねえってそんな人…」


次からが本当に言いたいこと……カイルも加わった。


「「三つ、例え道は違えど…強く力の限り生きなければならない!決して…自らの命を…小さなものとして見てはならない!」」


エルザやショウ達は涙ぐんでいた。カイルは凛として言葉を続けた。


「「愛した友の事を…生涯忘れてはならない!!」」


エルザは両の目から涙を溢れさせる。


そして俺たちはは旗を掲げた。


「フェアリーテイル式壮行会、始めぇ!!」


「「「「おう!!」」」」

花火の準備をするナツ、グレイ、ルーシィ、カイル。
ナツは口から炎の花火を打ち上げた。


「心に咲け…光の華!」


グレイが氷の花火を、ルーシィは星の花火を、そしてカイルはショウ達の目の前で光の花火を上げた。
ショウ達はその光景に感激していた。


「私達だって本当は、お前達とずっといたいと思っている。だが…それがお前達の足枷になるのなら、この旅立ちを祝福したい」


「逆だよ〜エルちゃん!!カイル兄ちゃん!!」


「俺達がいたら、エルザとカイル兄は辛い事ばかり思い出しちまう…」


「だから俺達は…離れなきゃいけねぇんだ!」


ミリアーナとウォーリーとショウは泣きながら言った。

「「どこにいようと…お前達の事を忘れはしない。そして、つらい思い出は明日への糧となり、私達を強くする。人間にはそう出来る力がある!強く歩け!私(俺)も強く歩き続ける!この日を忘れなければまた会える。」」


「元気でな」


「別れは言わん、また会おう」


「姉さん兄さんこそ!」


「エルザ〜、元気でな〜!」


「バイバイ、エルちゃ〜ん!カイル兄ちゃん!!」


「またいつか会おう!」


「絶対また会おうゼ!約束だゼー!」


「「約束だ!」」


ショウ、ミリアーナ、ウォーリーはエルザとカイルに別れを告げ、旅立った。
フェアリーテイルの皆に祝福されて……


























深夜の浜辺……俺は酒瓶一つと盃二つをもって来ていた…
月を見ながら二つの盃に酒を注ぐ。


「あんときはガキだったから水だったよな、ジェラール」


俺は洞穴の中、二人で話していた時を思い出していた。











ーーーーふーん、お前は家族いないのか〜。



ーーーーーうん、お前はいたのか?



ーーーーーまあな、殺されたけどさ…でもそれじゃお互いさみしいよな…








「なあ、ジェラール。知ってるか?」









ーーーーー盃をかわした男同士は兄弟になれるんだ!!






「俺の名は……カイルディア・ハーデス」







ーーーーーー俺の名はジェラール・フェルナンデス…





「俺たちは……」






ーーーーーこの先……






「何があっても………」






ーーーーーーー【【兄弟だ!!!】】























あとがきです。楽園の塔終了しました。さて次回は番外編。メインはミラにする予定ですがリサーナがいなくなる前と後どっちがいいですか?アンケート取りたいと思いますのでコメントよろしくお願いします。

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