小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第四十四話 ギターが弾けるとなんかかっこいい





アカネビーチからの帰り道。俺はガックリと肩を落としていた。


「どうしたカイル?浮かない顔して」


「ああ…バカンスに行ったのに結局また闘ってばっかだったなって…」


ここんとこ俺は戦い過ぎな気がする…それも強え奴ばっかり。
何か呪われてるような気さえする。


「ルーシィ達と関わりだしてからだよな〜。こんなトラブルに巻き込まれまくるようになったの……俺もうフェアリーテイルやめよっかな〜。もう疲れたよ、ラトパッシュ…」


「な!?そ、それは困るぞカイル!!」


「そ、そーよ!!しっかりして!!オキロ!!」


「そこまで必死になるなよ……言ってみただけだって。てゆーかやっぱルーシィは知ってんだな。フランボワーズの犬」


そこそこ有名な小説だ。まぁこいつらといると大変だが退屈はしないからまだまだ辞める気はない。



そんなこんなでギルドに帰ってみると……


「「「「「おおおおおお〜〜〜」」」」」


「これは…」


「うわぁ〜」


「驚いたな…」


「完成したんだ!」


「新しいフェアリーテイル…!」


出来上がっていたのは以前よりさらにデカイフェアリーテイル。


「あのヘタいパースでどうやったらこんな立派なの出来るんだ?」


図案を見ていたカイルは思わず首を傾げる。


「まあ細かいことはいいじゃねえか。中入ろうぜ!」


「あい!!」


意気揚々と入って行く俺たち。だがナツは膨れっ面していた。


「………前と違う…」







中に入ってみると、最初に目に着いたのが、オープンカフェにグッズショップだった。
ちなみにグッズショップには、砂の魔導士マックス・アローゼが売り子をしていた。


「おお、よくで来てんな。俺のもあるじゃん」


いつもの漆黒のマントに背中に剣を背負った俺がマントをはためかせてポーズを決めてる姿だった。
他にエルザと背中合わせに剣を構えてるヤツもある。


「デザインは悪くないが……鎧には本物の鉄を使うべきだと思うぞ」


「流石にそりゃ無理だろう」


「あ、ちなみにキャスト・オフ可能ね」


「キャアァァァァァっ!?」


当人はかなり恥ずかしがっていた。


「カイル!!この人形買っても絶対脱がすなよ!裸が見たければ直接言え。」


「買わないし、言わないから」


呆れるカイルだった。


酒場もけっこう広く、ステージまであった。

「「きれぇ〜!」」


ルーシィ、ハッピーは賛美した。
でもナツがどこか不満そうだ。
しかも酒場の奥にはプールがあったり、地下には遊技場があったりと、至れり尽くせりな環境だな。


「あ、カイル達。帰って来たのね。お帰りなさい!!」


むぎゅっと俺に抱きつくミラ。もうお約束だな。


「ああ、ただいま。それとそろそろ離れろ。あいつらの殺気が怖い」


エルザ、ルーシィ、カナに睨まれてるカイル。
俺悪くなくない?


「帰って来たかバカたれ共」


「その言い方はねえだろうじーさん。こちとらとんでもない闘いの後なんだぜ?」


「話はヤー坊から聞いとる。よく戻ったな。それより新メンバーのジュビアちゃんじゃ。か〜わええじゃろぉ」


「よろしくお願いします!!」


「ははっ、本当に入っちまうとはな!」


「えーと、この子誰?」


「ああ、カイルはまだ会ってなかったか…」


「はじめましてカイル様!!私、ジュビアと申します」


「あ〜!!フェントムにいたあの子か」


「ジュビア、妖精の尻尾に入ることにしました!」


「そりゃ気の毒に。このバカ共には手を焼くぞ?これから大変だぜ?覚悟しとけよ」


手を差し出す。はい!と元気よく返事して握ってきた。


「カイルディア・ハーデスだ。カイルでいい。よろしくな」


握手してるとエルザが割り込んできた。


「アカネでは世話になったな」


「皆さんのおかげです!ジュビアは頑張ります!!」


「よろしくね!」


「…恋敵…」


「違うけど!?」


ふふ、グレイも罪な男だ。


「そしてもう一人の新メンバーじゃ。ホレ挨拶せんか」


「他にもいるの?」


「誰〜?」

皆が新入りの方に向けた。
そこには、

「ええっ!?」


「おいっ、嘘だろ!?」


「じーさんも思い切った事をする…」


ファントムロードのエース、鉄竜(くろがね)のガジルだった。

「あ゛ん!」


「ガジル!?」


「何でコイツが!?」


「待って、ジュビアが紹介したんです…」



「…ジュビアはともかく、コイツはギルドを破壊した張本人だ!」


「…フン」



マスターも一応その辺の事は理解した上で仲間にしたそうだ。


「まあまあ、済んだ事でいちいち目くじらたてんじゃねーよ。あの事はもうしっかりケリついたろ?カイルさんは気にしないよ?」


「…………お前は本当に怒るということをしないヤツだな…」


「…わ…私も…全然気にしてないよ…」

そんなテーブルの下に蹲りながら言ってもどうかと思うよレビィ。
つかドロイとジェットがガジルを睨んでるな。まぁ無理もない。ガジルの最初の犠牲者だからな。
ナツがガジルの事で反発してる様だ。


「なんか居心地が悪いなぁ…「パッ」んっ!?」

突然明りが消えて真っ暗になった。
そして、ステージに明りが付いた。
ステージにはミラが居た。


「……ん?おい、ミラだ!」


「おぉ本当だ!」


「今日はナツたちの無事と、新築祝いに歌いまーす」


ミラの声に、いいぞー!、最高!、と酒場は最高潮の盛り上がりをみせる。


『貴方のいない〜、机を撫でて〜、影を落〜とす〜、今日もひ〜とり〜、星空〜見上げ〜、祈りを〜か〜けて〜、貴方は同じい〜ま空のし〜た〜、涙こらえ震える〜時も〜闇に挫けそうな時でも〜、忘れな〜いで〜、帰る場〜所が〜、帰る場所があるから〜、待ってるひ〜とが〜〜、いるから〜〜〜♪』

ミラが歌い終わると、拍手喝采を浴びた。


「ハハッ次は誰だー?」


テンションが上がったマカオが次の出し物を促す。


すると、ライトに照らされ、ある人物がステージに立った。


次にステージに立ったのは、白いスーツでばっちりと決めたガジル。



「俺が作った曲だ。“BEST FRIEND&quot; 聴いてくれ」



「聴くかそんなもん!」

「ってか、何スーツで決め決めなんだ!?」


飛び交うツッコミの嵐。
だが、ガジルはそれを無視し、堂々と歌い出す。



カラフル カラフル
シュビドゥバ
恋の旋律 鉄色メタリック
トゥットゥットゥ シャララ
シュビドゥバ シャララ
ガジッと噛んだら 甘い蜜
シャラララララ
シュビドゥバ


耐えきれず爆笑するカイル。

ククッ…っガジルって、こんなキャラだったか?
良いキャラしてんな…っぷ、ハハッ



「おぉー!やるじゃねぇか!」

「頑張れガジルくん!」

「「「いいぞー!」」」


周りの反応は賛否両論で、もっとやれー!、と促す者とふざけんなー!、と物を投げつける者。

ナツに至っては耳を塞ぎ、苦しみ悶えていた。



「こんな酷ぇー歌、初めて聴いたぞー!…ぶべっ!?」


ナツの言葉に怒ったガジルがギターを投げつけ、投げつけられたギターはナツの顔面を捉えた。

これをきっかけに、二人の大乱闘が始まった。



「やんのかコラー!?」

「シュビドゥバー!!」

「何すんだテメェ!」

「シュビドゥバーだ!コノヤロー!」



そんな中、殴り合う二人目掛け、グラスが投げつけられた。



「うごっ…!…っ物投げたの誰だー!?」


グラスはナツに直撃。
投げた犯人は二人に苛立ったグレイ。


「っ!?わ…、私の…苺ケーキが…」


立ち上がった拍子にグレイの肘がエルザに当たり、食べようとしていた苺ケーキが床に落下してしまう。
ショックを受けるエルザ。
だが更に、乱闘を見て燃え上がったエルフマンが苺ケーキを踏み潰すという追い討ち。
…妖精女王が遂にここでキレた。



「〜っ!やかましいーっ!!」



ナツとガジルが始めた乱闘はギルド全体を巻き込み、更に激しさを増していった。


それに合わせてミラがロック系の音に切り替える。


「それじゃあロックでいくわよーー!!」

「俺も混ぜろよ、ミラ」


そこにカイルもロックミュージシャン風の服をきてドラムを叩いて参戦する。


ナツの炎が柱を破壊し、ガジルの鉄がカウンターを破壊する。
怒り狂ったエルザは周りにいる者を威圧し、マカロフは壊れていく新築のギルドにただただ、涙していた。


「なんで後一日じっとしておられんのじゃーー!!貴様らはーーー!!明日は取材の人が来おるのにーーー!!」




「「「「「「えぇえええええええええ!!!!!」」」」」


また波乱の予感だぜ…


-48-
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