小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第五話 ケム・ザ・レオンの秘密。愛する息子への最後の魔法!




エバルー達を倒し、本を手に入れた俺たちはカービィの屋敷へと戻っていた。




「どういう事ですか?コレは?私は破棄又は焼却を依頼したはずですが?」


「まあまあ焦るなって、カービィさん。もう手元にあるんだから慌てる必要ないだろう?焼却ぐらいあんたでも出来る」


それを聞いて激昂したカービィは本をルーシィからひったくった。


「なら私が燃やします!!こんなもの……見たくもない!!」


「だから焦るなって、ケム・ザ・レオンの息子、カービィ・メロン?オヤジの話を聞いてから燃やしても遅くねぇだろう?」


「な、なぜその事を…」


「あなたはケム・ザ・レオンの息子。だからこの本の存在が許せなかった…そうですね?」


「はい、父が言っていました…駄作だと…」


ナツはそれを聞くとカービィに飛びかかろうとした。


「だから燃やすってのか!父ちゃんが書いた本なんだろ!!」


「ナツ落ち着け。理由があんだよ」


「理由??」


「ルーシィ。話してやれ」


あの後俺も読み、解読できたため、俺が説明する事もできたが、ルーシィに任せた。この本の秘密に気づけたのはルーシィのおかげだ。もし彼女がいなかったら俺はこの本をただ燃やして終わりだったろう。


「お話しします。あなたの父が残した最後のメッセージを」






〜過去〜


バタンッ!


何年も黙って消えた父が急に帰ってきた。


「今までどこに行ってたんだよ!!何の連絡もなくいなくなって!!」


カービィの怒号にゼクアは何の反応も示さず、キッチンから包丁を持ってきた。
紐で自分の腕を縛った後こう言った。


「私はもう終わりだ……私は……作家を辞める!!」






数日後




ゼクアは病院に連れていかれ、何とか一命は取り留めた。


「何で……あんな仕事受けたんだよ…」


「………」


カービィの質問にゼクアはなにも答えない。答えられない。


「絶対後悔するって言っただろ!!」


「……金が良かった……」


「ッ!!最低だよ!あんた!!何年も一体なに考えてたんだ!!」


カービィの怒号に対し、ゼクアは諦めたように薄く笑い


「いつもお前の事を思っていたよ」


「あんたは最低だ。作家どころか、父親としても失格だ」




〜現代〜




「そして父は間もなく死にました。そういう心の弱さも嫌いだったのでしょう。しかしなぜあなた達がそんな詳しい事を?その事は私と妻しか知らないはず」


「ですからその本の中に書いてあったんです。ケム・ザ・レオン、本名ゼクア・メロンはこの本に魔法を施しました」


ルーシィがタイトルのアルファベットをなぞるとデイ・ブレイクのタイトルが変わった………ディア・カービィに……


「彼が作家を辞めた理由は駄作を書いてしまったのと同時に……最高の傑作を書いてしまったからかもしれません」


本の中から文字が飛び出し、踊るように宙を舞い、本へと戻った。
ナツは面白がって文字をつついていた。


「わ、私は父を全く理解できていなかったようだ」


新しく生まれ変わった本を見て、カービィは涙を流していた。それを見てルーシィはニッコリ笑い


「当然です。作家の気持ちがわかってしまっては、本を読む楽しみがなくなってしまいますから」


「ありがとうございました。この本は燃やせませんね」


そしてカイルは立ち上がり、ルーシィ達に呼びかけた。


「帰るか。この仕事はもう終わりだ」


「ああ!そうだな」


「え?ち、ちょっと待ってください!依頼料を…」


なにももらわず帰ろうとするカイル達を焦って呼び止めた。しかしカイル達は歩みを止めず答えた。


「依頼内容は本の破棄又は焼却だ。俺たちはそのどちらも成功しなかった。報酬は貰えねえよ」


「し、しかし!依頼内容以上の事をしてもらったのに!!」


「そうよ!気持ちだけでももらいましょうよ!」


納得のいってないルーシィとカービィは引き止めた。


「何だルーシィ。せっかく良いこと言ってたのにね」


「幻滅だな」


カイルとハッピーはげんなりした目でルーシィを見る。せっかく見直したのに…


「あはは、いいって!だからメロンも帰れよ。自分ちに」






〜シロツメ〜


「あーあ、二百万が〜」


「まだ言ってんのか。達成出来てないんだからしようがねえだろ」


「そうだけどさ〜。あんなに苦労したのに……ところでナツよくわかったわね。あれがカービィさんの屋敷じゃないって」


そう、あの屋敷はカービィのものではなく、金持ちだと見せかけるために借りたものだったのだ。


「だって匂いが全然違ったろ?すぐわかった」


「いやわからないわよ!!!」


「あ〜ルーシィ無駄だ。そいつの嗅覚犬以上だかな。そういやルーシィ小説の事やたら詳しかったな?何で?」


先ほどからずっと気になっていた事をカイルは尋ねた。するとルーシィは急にもじもじし始めた。


「え?そ、それは、あの、その」


なかなか答えない。どうやら答えにくいようだ。


カイルがふとルーシィのカバンを見ると、原稿用紙みたいなのがチラチラ見えていた。


「何だコレは?」


素早く抜き取るとそこには文章が書かれていた。


「あーー!!ち、ちょっとカイル!返して!!」


真っ赤になってルーシィが慌てる。それを見たカイルとナツはある事に気づいた。


「「コレ自分で書いたのか…」」


それを聞くと、さらに赤くなってカイルに飛びかかる。しかしカイルはシルフの力を使って空へと飛んだ。


「えーと、なになに?昔城の中に閉じ込められたお姫様が?うわー。ベタなはじまりだね〜」


「カイル!俺にも読ませてくれ!」


「やめてー!!まだヘタクソなのーー!!」


ルーシィの悲鳴がシロツメの街に響き渡った。
















あとがきコーナーです。やっとエバルー篇終わりました。次はいよいよエルザ登場!カイルのハーレムが加速する!!と思う……コメントよろしくお願いします。

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