小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第六十二話 俺は……強い!!



「常闇奇想曲(ダークカプリチオ)!」


「しゃらくせえ!!」


激しい闘いの音が絶えず鳴り響く1番ラクリマ。
カイルとゼロが闘っているのだ。


放たれた螺旋の攻撃を雷速でかわし、背後から攻撃しようとするカイル。
だが、突如現れた闇のベールがガードした。


速さでは圧倒しているが、ヤツはカイルの速さに対応出来ている。


ーーーーーガードがかてえ!!最後の一線を中々割らせてくれない!!


「ブレインのものと一緒にするなよ?」


「ッ!!チィ!!」


地面を突き破り、真下からの攻撃がカイルを襲った。
ブレインのものとは桁外れの威力、そして追尾力を持った攻撃が何度もカイルに襲い掛かる。


「こざかしいわぁあああああああ!!!」


拳を螺旋の弾丸に側面からぶち当て、遥か彼方に弾き飛ばした。


「ハハッ!流石だな。壊しがいがある!!」


「今度はコッチの番だ!完全雷化!」


一際大きな雷が辺りに響く。


目にも止まらぬ速さで繰り出されたカイルの突進はゼロの腹部に減り込み、そのままゼロの体を吹っ飛ばした。
壁に突っ込み瓦礫に埋まるゼロだが、すぐに起き上がり、カイルに攻撃を放つ。


―――――が、


「…な、!」


「うおおぉらぁ!」


「ぐああァぁあッ!ッ…くおぉ!」


カイルはいとも簡単にゼロの攻撃を片手で薙ぎ払い、一気に距離を詰めて連撃を叩き込む。
ゼロも負けじと蹴りや拳を繰り出すが、カイルの攻撃で再び壁へと吹っ飛ばされる。


「はっ、はっ、はっ、…………まだまだぁあああああああ!!!」


雷速を維持したまま跳躍する。それを阻むかのように闇の波動がカイルを包んだ。


「しゃらくせえって言ってんだろ!!」


そのまま突進し、波動を打ち破る。


だがゼロはそれによって出来る一瞬の隙が欲しかった。
翳すように腕を振り上げる。


「ダークグラビティ!」


「ーーーぬぉっ!?」


突如として体が重くなる。ゼロの重力のような力を喰らい、床を破壊する。
カイルは崩れる床に足を取られる。


「無理はしない方がいい。通常の三十倍の重力が貴様を襲ってるはずだ」


「……………だから……………しゃらくせえって言ってんだろ……ぉおおおおおお!!!」


無理やり立ち上がるカイル。そして現在の状況を冷静に分析していた。


ーーーー流石に魔法のバリエーションが多い。速さでは圧倒してんのにたいして攻撃が当たってねえ……
技ではヤツは上回れない……なら俺の唯一の能力的アドバンテージ………魔力容量!!


次の瞬間何百何千の雷で編み上げたデコイを召喚する。


その防御壁ごと物量で押し切る!!


「いくぜぇえええええ!!!千体雷囮結界!!からの〜チハヤブルイカズチ!!」


千体の雷天大荘のカイルがゼロに突進する。
雷鳴と轟音が辺りに響き渡った。


「やったか………と思いてえが……そう思った時は大抵やってねーんだよな…」


案の定煙の中からゼロが現れる。
もう時間がない……はやいとこ決めちまわねーと……


ゼロも手にこの闘いが始まって以来の最高の魔力を手に宿している。


「これで終わりだ……黒の騎士王……ジェネシスゼロ!!」


「千の雷!!」


世界を覆わんばかりの闇の波動にたいして極大の雷の塊がぶつかり合う。だがゼロの放った技は雷ごとカイルを飲み込んだ。


「俺の勝ちだ。破壊されろぉおおおおおお!!!」


「ぐっ、ぐぉぁあああああああ!!!」


カイルの世界が何もない…闇すらない無に包まれる…
何もなく、無色で、冷たくて、力も入らない“無”の空間。





ーーーーーー俺は……負けるのか………


雷天大荘の反動に加え、アヴァロンの創造をしている時点で魔力的限界はきていたのだ。
カイルは今指先一つ動かす事すら難しい。


不意にカイルの脳裏に映像が浮かび上がる。だがそれは走馬灯などではない。自分をなんの疑いもなく信じ切っているバカたちの笑顔だ。


………そうだよな……俺が諦めてどうする………
俺は……皆が最強と信じてくれている……カイルディア・ハーデスだ!!


カッと目を見開き、口元に笑みを浮かべ、全身から雷を放出した。


「っな、何…!?」


勝利を確信したゼロの目の前で空間に罅が入り、眩い光が溢れ出す。
そして光は爆発するかのように輝いたかと思えば突然金色の雷を放った。


「俺は……俺が支配者なんだよ……俺が支配されてたまるか……!!」


両の手に再び魔力を宿す。それらを一つにする。


カイルが地を蹴り、ゼロの顔面に拳を叩き込んだ。
呆気なく吹っ飛ぶゼロに見向きもせず、カイルは構えを変えながら魔力を高める。



「全魔力解放…」


カイルから放出された雷がフロア全体を包み込み、巨大な魔法陣が足元に広がった。

「術式統合!!雷神槍ティタノクトン(巨神殺し)」


ラクリマとゼロが直線上に並ぶ一瞬を見逃さず、カイルが創り上げた槍を投擲した。


「ッぐああぁぁアァぁァァッ」


カハッと肺に残った空気を吐き出すゼロと、音を立てて砕け散るラクリマ。


動きを止め、崩壊しながら傾いていくニルヴァーナ。
グレイが、ルーシィが、一夜が、エルザが、ナツが…、同じタイミングでそれぞれ六つのラクリマを破壊した。
これでニルヴァーナが止まるのだ。


「ティタノクトン解放!千客万雷!!」


本当に落雷したかのような轟音がなり響き、ニルヴァーナ全体を揺らす。
魔神すら倒す必殺の一撃。それがカイルの雷系最大奥義だ。


「っ…たく……手こずった……だが……」


拳を高々とあげ、叫んだ。


「俺は………強い!!」


そして次の瞬間カイルが先程いた場所に馬鹿でかい瓦礫が降り注いだ。

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