小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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番外編 王と神再び…



「ん〜。ようやく着いたか……」


今回カイルはS級クエストを一人で受け、港町に来ていた。依頼内容は海洋の怪物リヴァイアサンの討伐。
といっても天然モノではなく、キメラの失敗作を地元の人間がそう呼んでるだけらしいが…


道案内を町長に頼む。途中でどのような怪物かもレクチャーを受けた。


「しかしたったお一人で挑まれるのですか?」


五十人がかりで倒せなかった化け物だ。黒の騎士王の噂は聞いてはいるが不安は拭えないだろう。
だがカイルは快活に笑って答えた。


「俺は一人で戦った事なんてねえさ…精霊王達はみんな俺の仲間で友人で……共犯者さ」











大陸の奥の海にそれは現れた。大きさは恐らく三階だての建物くらいはあるだろう。氷の魔力も持っているらしく、吐息が凍りついた。


「いっちょやるか、リート」


【氷溶かすのはいいけど水に当たらないようにしてよ。奏者】












グォアアアアアアアアアア!!!!!





絶叫と共に倒れ伏す。思ったより手こずった。ゴーストの状態での本気を使ってしまった。


「ま、S級の依頼だしこれぐらいは当たり前か…さてと。帰る…」


振り返ってみると気配を感じた……以前一度味わった気配……これは恐らく……


「アルテミス…」


「あらぁ…憶えててくれたのぉ…?感激だわ」


そこには女がいた……腰まで届く豊かな金色の髪。滑らかな白磁の肌。豊満な胸が申し訳程度の薄布で覆われた扇情的な肢体。琥珀色の瞳を宿し、初対面なら……いや知人であろうと釘付けになるであろう蠱惑的な美貌。純白のマントを纏った美女……そしてもう一人のローレライ。


「貴方がここにいるってたまたま聞いてね。精霊の力も感じたし間違いないって思ったわけよ。運命的だと思わない?」


「思わん。で?何のようだ?また斬られたいのか」


「荒っぽいのは好きよ。せっかくだしやりましょうか」


「「来たれ炎の精霊王(神)。我が契約に従いてその姿を現せ……」」


「イフリート」

「スカーレット!!」


全身から炎が噴き出る赤髪の美男美女が現れる。


「「ローレライの名の下に我が剣となりて具現せよ!! 」」






「レーヴァテイン!!(神をも焼き尽くす紅蓮の剣)」「プロミネンス!!(王殺しの炎閃)」


二人の手に炎の大剣が具現する。ほとばしる魔力はお互い凄まじい。並の魔導士ならそばにいるだけで消し炭になるだろう。


「さあ、待ち望んだ再戦よ」


同時に跳躍し、刃を合わせる。


「同時展開はしないの?」


「おまえがやったら考えるよ」


斬戦が煌めく。剣の腕もお互い上がっているようだ。


「はははっ!楽しいわぁ!!」


「ちっ!ムカつくが同感だな!」


剣も魔力も互角の相手。そんなモノは滅多にいない。もう一人精霊王を呼び出して闘う事は出来なくはなかったがこいつとは対等な条件でやりあいたかった。


剣閃が激しくぶつかり合う。同時に放たれる同じ精霊魔術。
あたりが消し炭になり、まるで戦争が起こったかのような状態が巻き起こる。


「はぁっ……はぁっ……しつこい…」


「決着つかないわねぇ…どうしましょ…」


お互い其れなりに消耗している。カイルに至ってはS級の化け物と闘った後だ。これ程のレベルの闘いはそう長くは続けられない。


対峙しているにも関わらず、二人はふっと右を見た。するとあたりには魔導士の大群。


「何だあいつら」


「へへっ!俺たちは六魔将軍傘下の闇ギルド連合。黒の騎士王の首。もらいに来たってわけよ」


トップ六人を倒したカイルに復讐に来たというワケらしい。
普段なら一笑に付しているところだが今はかなりまずい。


「仕方ないわねぇ。休戦しましょうか」


「……手伝ってくれんのか?」


「だってあんな雑魚にやられちゃったらつまらないモノ。貴方を殺すのは私よ」


純白を着た美女が妖艶に微笑む。黒を着た騎士王も苦笑気味に口角を歪めた。


「足手まといになったら殺すぞ」


「こちらのセリフよぉ…」


王と神の共闘が始まる……











数分後、死屍累々の雑魚達と立っている二人の戦士。
流石に二人ともボロボロで、アルテミスに至ってはほとんど裸だった。


「ほらよ」


マントを創造してかけてやる。色々と目の毒だ。


「あら。優しいわね」


「惚れるなよ」


「いけないかしら?」


妖艶に微笑みながらカイルを見上げる。この手の輩を相手していてはこちらがバカを見る。
剣を背中に直し踵を返した。


「続きはヤらないのかしら?」


「興が削がれた。別にお前とやる予定はなかったし」


「ふふ、なら別の事ヤらないかしら?」


豊満な胸を押し付けるようにカイルに抱きつくアルテミス。
正直言うとヤってしまいたい気持ちはもちろんあったのだが…


「フェアリーテイル以外の女は抱けないんでな」


「あらぁ。残念ね。でも私はいつでも良いわよ。愛しいあなた」


顔を無理やりアルテミスの方に向けさせられるとそのままキス。舌を使っての濃厚な…
だが意外とキス魔のカイルは己の舌技を持って逆に相手を蕩けさせた。


「……はっ……ふふ、すごく気持ちいい。癖になりそう」


「そのうちやみつきになるぜ。じゃあな」


手を差し出す。好敵手への挨拶だ。
アルテミスもぎゅっと握る。


「また戦おう。必ず……次はもっと刺激的に」


「ええ……必ず…」


その時こそ……決着の時だ……



再会を誓って王と神はそれぞれの道を歩き出す……
その道が交わる事を願って……
























あとがきです。アンケート完無視してすみません。どうしてもこの話思いついて書きたくなっちゃって……
次回から本編戻ります。それではコメントよろしくお願いします。因みにアルテミスのイメージは髪の長いアルクウェイドです

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