小説『つぶやき』
作者:あさひ()

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神の顔には2つある

1つは優しさに満ちた顔

1つは般若のような恐ろしい顔



人は神に似せて作られた生き物

それならば、

時に人は鬼のようになることもあるだろう



逃げ惑う悪人をとっ捕まえて煮て焼く

あたかもそれを当然のことと思っているかのように



悲しみなんて拭い去って

心の飾りなんて取っ払って

雷を落としてやることも時には必要



そしてあとでふと人間に戻ってみたときに

悲しみが込み上げてくる

それでも人生を憎みはしない

それは愛する誰かに優しさを示すことができる証なのだから

なんの感情も持てないようじゃ、

生を与えられているという実感がなくなってしまうのだから

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