「ただいまー」
「やっと帰ってきたのね聖君。イッセー君のご両親は先に着いてるわよ」
「イリナを迎えに行ってたら、イッセーが突然泣き出して遅くなったんだよ。だよなイリナ」
「うん。でも、イッセー君どうして急に泣き出したのかな?」
「なんでだろな」
そりゃイリナ、お前が無視したからだよ。イッセーの場合、イリナのことを男だと思ってはいるが、悲しいかな変態の性というやつで本能では女であると気づいているんだろう。
この年から、本能で女を求めるとかイッセー凄すぎだろ。
実際は、馬鹿だから気づいてないみたいだけど。本能とは恐ろしいものだな。
「お帰り聖生。それより、聖生イッセー君はどうしたんだ?」
「うん?父さんただいま。イッセーなら一緒に来たはずだけど」
っていないだと。どういうことだ。
「イリナ。イッセーは?」
「う〜ん。確か私たちが家に行こうと歩き始めた時も、まだ泣いてたよ。」
おい。イッセーどんだけ心弱いんだよ。
「俺、イッセー探しに行ってくるよ。」
言うが早いか、家を飛び出す聖生
「おーい、イッセー」
名前を呼びながらイッセーを探す
「結局、イリナの家の近くまで来てしまった。」
「イッセーいないな。まさか誘拐でもされたか。」
そんなはずはないよな。あんな変態誘拐する奴いないだろ。でもな、一目で変態だと見抜ける奴はいないか。涙でできた水たまりの跡はあるんだけどな。
「おい、こらガキさっさどけ。」
う〜ん。あっちの方がうるさいな。確かあっちは神社があったよな。
なんだこれは、見えない透明な壁でもあるみたいだな。殴ってみるか。
バキ。
「どうゆうことだ。結界が破られたぞ。」
くそう。奴に気づかれて帰ってこられたら厄介だ引くか。
「おい。そんなわけにいかないだろ。お前らもこんなガキにかまってないで早く忌々しき邪悪な黒き天使の子を殺すんだ。」
なんなんだ。あの男たちは何言ってるんだ。って、あそこで倒れてるのってイッセーじゃないか。
イッセーside
「くっそー、聖生のやつもイリナも俺が泣いてる間に、放置していくとか薄情者め!」
「おい。今日がチャンスだぞ。あの忌々しき邪悪な黒き天使はいないはずだ。」
なんだなんだ。あの集団の大人たちはどこに行ってるんだ。あっちは神社がある方だよな。なんかの行事があるわけでもないしな。ちょっと着いていってみようかな。
ちょうど、林があるから隠れて見るとするか。
「さっそく、結界を張るぞ。ばれると大変だからな。俺たちでは邪悪な黒き天使には勝てないからな。」
結界ってなんだ。さっきから言ってる。黒き天使ってのはなんなんだ。
「きゃー。やめてください。」
「いや!来ないで、母様怖いよ。」
なんか叫び声がしたぞ。行ってみるか。
「その子を渡してもらう。」
さっきの大人たちの数名が、黒髪が特徴的なかわいい小さな女の子とその母親らしき人物を囲んでいた。
「この子は渡しません!この子は大切な私の娘です!そして、あの人の大事な娘です!絶対に渡しません!」
小さな女の子をかばうように母親が叫んでいる。
「なんなんだよ。あの大人たちはなんであんなことしてるんだよ。」
クソ!助けなきゃ。俺は女の子を放ってはおけない。俺を放置していった、聖生やイリナとは違うんだ。
「貴様も黒き天使に心を穢されてしまったようだな。致し方あるまい」
一人の男が刀を抜き放ち、斬りかかった
ガサっ
「おい!お前ら何やってんだ。」
イッセーが林の中から飛び出す
「なに!?奴が来たのか。」
「ハッハッハ なんだ、ただのガキじゃないか。おいお前ら、どうやってここに入ってきたかは知らないがそのガキを始末しろ。見られたからには生かしておけない」
やるしかない。思いっきり体当たりしてやる。
「ウオォォォォォ」
勢いよく地面をけり体当たりを行う。体格差は明らかで、こちらに向かってきていた男に当たり弾き返され。地面に後頭部を強打し失神してしまった。
「やっぱただのガキだな。ぶつかってきて気絶してら。さっさと始末するか」
聖生side
「おい!お前ら、俺の友達に何やってんだー!」
叫びながら、男に体当たりを行う聖生。イッセーとは違い男は後ろに大きく飛ばされ10mほど離れた刀を持った男にぶつかり転げる。
大人の男が、先ほどのイッセーとほとんど変わらぬ、少しほど背が高い少年に、ぶつかり負け飛ばされるとは誰も考えておらず、目の前の光景にただただ驚いている状況であった。
「おい.....どういうことなんだ.....ただのガキじゃないのか....」
周りの男たちも驚きの声を上げる。
「なんなんだ...俺にこんな力があったのか...」
聖生自身も、今の自分の小さな体にこれほどの力が備わっているとは思わず驚きを示す。
「クソガキ!ただのガキじゃなかったのか、お前も邪悪な黒き天使の仲間か!結界を破ったのもお前だな!お前から先に殺してやる!」
刀を持っていた男が立ち上がり聖生を見据え叫び、刀を振るおうと走り寄る。聖生はただ驚き動けずにいる。刀が聖生に届く寸前「グアッ」と叫びを上げて男が横に倒れる。
「朱璃!朱乃!大丈夫か!」
声のする方を見た聖生は、空に浮いた背中から黒き翼を生やした男を見る。
「クソ!奴が来たか。逃げるぞ」
辺りにいた男たちは、我先にと逃げていく。
「逃がすと思ったか。全員死ね。」
黒き翼を生やした男がそう告げ、片手を空に上げると光が集中しているような多くの槍が作られる。そして、男が上げた片手を下げるとその光の槍が逃げ惑う男たちに突き刺さり、
男たちは血飛沫と叫び声を上げて絶命していく。
「マジか...」
その光景を見て唖然とし、極度の緊張が抜けたせいか聖生はバタンとその場に倒れ意識を手放す。
???side
「なんだ。何かよくないことが起きそうなそんな胸騒ぎがする。すまないアザゼル少し家に帰らせてもらう」
「どうしたんだ!何かあったのか?」
「いや特にはないが、何か嫌な予感がするんだ」
「そうか、なるほどな。嫌な予感ってやつは得てしてよく当たるもんだからな....無理言って来てもらったのはこっちだ早く帰りな」
「ありがとうアザゼル」
「気にすんな早くいったいった」
しかし、この胸騒ぎはなんなんだろうよくないことが起こってなければいいのだが。そう思って家に近づくと複数の人の気配がする。
「しまった!もしかすると俺のことをよく思っている奴らに朱璃と朱乃が襲われているのかもしれない!無事でいてくれよ、朱璃!朱乃!」
俺が、家に到着すると刀を持った男が見たこともない子供に刀を振り下ろすところだった。
思わず光の槍を刀を持った男に振り下ろす。
どうにか、子供は無事のようだ。
すぐに、朱璃と朱乃を確認し、声をかける。
無事な姿を確認し、逃げ惑う襲撃してきた男たちを光の槍で一人残らず貫く。
「朱璃、朱乃無事でよかった。怖い思いをさせてごめんな」
朱璃と朱乃の元に降り二人を抱き寄せる。ふと先ほどの少年の方に目を向けると倒れているようだった。近づいてみると先ほども少年の他にもう一人少年が倒れていた。
「父さま、この子たちは大丈夫なの?」
首をかしげながら朱乃が聞いてくる
「ああ、大丈夫みたいだ。特に傷などはないしただ気絶しているだけだろう。家に入れて起きるまで布団に寝かせておいてやろう」