小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「人型触手系【アンヘル】だぁ?」
「えぇ城主がそう呼んでいたので」
「……チッ、やっぱりバグか」
「虫程度と同じにされると頭に来ますね」

触手を伸ばしスメラギ君を攻め立てる。
‐スフィア多重展開
‐防御結界準備完了
スメラギ君が虚空から剣を取りだし、迫る触手を切り落としていく。
‐意味はない
‐痛みもない
‐虚空から剣?剣製でも得たか?
‐ならば剣を捨てた事は正解だ
‐収束砲安定
‐バインド準備完了
‐転移魔法確認
‐チェック

‐チェック

「雑種がぁぁああああああ!」
「プロトタイプ故純血種な訳がない」

触手の勢いを強めてスメラギ君を壁に押し付ける。
‐あの物量を剣で防いでいた事は評価
‐評価したところでマイナス面である事は変わりない
カット。
触手を押し込み更に圧力をかける。
‐殺そう
‐接近してきてるな
‐殺したところで悲しむのはコイツに惚れてる奴だけだ
‐魔力弾展開
‐チェック

‐速いな…

「ウォォオオオ!」
「な、なにー」

少し力を弱めた触手からスメラギ君が脱出する。
‐迫っていた魔力弾を寸で回避されたか
‐スフィア展開
‐遊び心は忘れずに
‐さて児戯を終わりに近づけよう
‐劇にはちょうどいい配役とセリフだ

「貴方にはそんな力残ってなかった筈…どうして」
「ハッ!俺がテメェみたいな化け物に負けるわけがネェよ!」
「しかし…まだ甘いですね!」
「なっ!?」

‐チェーンバインド発動
‐捕獲
鎖に四肢を縛られたスメラギ君は此方を睨み吠える。

「離しやがれ!クソッ!」
「まだ時間はあるな…」
「なに言ってやがる!」
「ジャラジャラとウルサイですね。少しはお黙り下さい」

‐収束砲解放
朱色の光の奔流がスメラギ君を飲み込む
‐たーまやー
‐かーぎやー

‐そろそろ来るぞ

「ッざけんな!俺がここで気絶したら何も助けられないじゃねぇか!」
「貴方如きが何を助けると言うのです」
「全部だよ!プレシアも、アリシアも、フェイトも!俺が救、」
「ふざけるなよ」

‐魔力弾総射

「お前に何がわかる…娘を救うために自分を犠牲にしている彼女の気持ちの何を知り得る?」
「それでも…!フェイトだって娘だ!アイツだって生きてるんだ!認めさせてやる!俺が、ここで救って!家族を助けてやるんだ!」

そういう事を言ってる訳じゃない。
‐仕方がない
‐助ける為に壊したのに
‐魔力弾接近
‐防御結界展開

黄色い魔力弾が結界に当たり弾ける。
ようやく来たと言うか。来てしまったと言うべきか。

「フェイト…!大丈夫なのか?」
「うん。バルディッシュも頑張ってくれた。行けるよ」
「どうして来たのか、非常に聞きたいね」
「私は……母さんと話したいから」
「それを彼女が望んで無くても?」
「うん…だから、通してほしい」

フェイトは此方を真っ直ぐ見る。
‐照れるなぁ
‐フェイトを守るなら戦うしかない
‐フェイトを守るのにフェイトと戦うのか


「私としては城主の願いが一番君を守れると思いますが」
「それでも…私は…母さんに会いたい。会って伝えたい!」
「……はぁ……


……もう一度問おうか。お前を守る為に…お前の願いはなんだ?どうすればお前を守れる?フェイト……お前が言うなら、俺は全てを守ってやる」
「私は…拒絶されても、母さんに会いたい…でも母さんは…」
「考え過ぎるなよ。素直に言ってみな」
「私は母さんと…アリシアと一緒に幸せになりたい…例えこの命が作り物だったとしても」

最初からそう言ってればよかったのだ。
‐無理だと思う方がおかしい
‐願いは聴いたぞ
‐大切なモノだ
触手を戻し、展開していた魔方陣を全て霧散させる。

「それが願いだというなら、叶えましょう」
「ありがとう。ユウ」
「…?ユウ?」
「あれのコピーです。私の名称はアンヘルです」
「なら、ありがとう。アンヘル」

惚けたように言えば、明らかに気づいて苦笑しているフェイト。その隣にいるスメラギ君は名前の違いに首を傾げていた。

「さて、では行きましょうか。揺れが激しくなって来ましたから、急ぎましょう」
「うん」
「お前が仕切るんじゃねぇよ!」
「五月蝿いですねぇ。雑魚のクセに生意気ですよ。鶴嘴でも用意しましょうか?」
「ハッ!あれが本気だと思うなよ!」
「ならそういう事にしておきましょう」




「ところでフェイト様」
「どうしたの?」
「城主の研究資料がどこにあるか知ってます?」



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〜雑魚のクセに生意気だ
〜鶴嘴でも用意
ダンジョンに入ると一歩目に普通に強いスライム千体ほど循環してるクソゲー。王様から「世界を救え」と言われた勇者を数人操り、地下にいる魔王を連れてくるのが目的のゲーム

〜分割思考による魔法行使
この文のモノならマルチタスクでもたぶんいける。問題は主人公に一切の補助が入らずに高速演算を繰り返して多重に魔法を行使していることだと思う。
こいつデバイスっていう計算機がないんだぜ…

〜真面目戦闘
初戦闘。描写の薄さと胸熱感が一切出ない戦闘。主人公は一般的な“強い人”ではないので分割思考で高速思考して軽い未来予測をしながら相手の動きを徹底して潰しにかかるスタイルになる。
予備動作を無くす移動練習は悟られない奇襲と牽制と逃走の為。

今回の主人公は動かずにスメラギ君を触手にて圧倒した。

〜スメラギ君
ちらちらと彼の願いの片鱗が現れている。次回にほぼ判明、確実に明記するのは皆が待っているスメラギ君主体の話で

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