小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「つまり…私の家に来てからその後、教えてくれた電話にも出ぇへんかったのは、未知との遭遇をしてたからやと?」
「わたくし、嘘など一切ついておりませぬ!だから、なにとぞ、なにとぞ命だけは…!」
「ならん!お前は打ち首じゃ!」
「ヒェェエ」


「なんや、安心したわ」
「奇遇だな、俺もだ」

あれから数日。俺の生活に大きな変化はない。
‐フェイトが来る前と一緒だ
‐ただ学校にいって
‐帰りに図書館により
‐自宅までに買い物して帰る
‐暇な日常だ
非常に素晴らしい日常だ。

「で、ホンマに大丈夫なんか?」
「何がだよ。ボケの切れが悪いってか?」
「ボケにキレなんて求めだしたら漫才はその場逃れの笑いになるやろ」

‐同意見だ
‐キレるのはツッコミだけでいい
‐キレられるのは困るがな
カット。

「そういうんやなくて、包帯の話」
「……よく見てるな」
「相方が見られへん漫才師なんてテレビの前におるお客さんだけやろ?」
「客を漫才師と同列で扱うなよ」
「笑いを取るという行為においてはライバルであり敵やけどなぁ」

過激な発言ですこと。
‐どうすればいい?
‐もうバラしたらいいんじゃね?
‐なぜバラすし
カット。

「まぁ言いたくないならいいわ」
「言いたくなれば言うよ」
「ほな、そういうことで納得したろ」
「感謝の極み」
「私の為にもっと感謝を鍛えればええよ」
「あざーっす」
「軽いっ!極めた結果軽くなるんか!」

感謝はカンストして最初の方に戻りました。
‐ステータスが一周回って0とか勘弁
‐カンストしてるなら0にさえならないけどな
カットカット。
「で、6月に入ってから2日。お前からの留守電を聞いて来たんだけど?」
「実は……、あれや」
「アレか…」
「なんやわかったんか!?」
「まったく…俺とお前の仲だろ。大丈夫覚えてるよ」
「そっかぁ、うんそうやんな。私と御影君の仲やもんなぁ」
「そうさお前が、」
「私の誕生日は覚えてて当然やんなぁ」
「………………」

誕生日?誰が?いつ?
‐誕生日
‐はやてが
‐……いつ?
‐やばい!ヤバイぞ!
‐偵察兵!今すぐに状況を知らせろ!
‐対象、魔法少女マジカルヤガミンの誕生日が近いです!
‐いつだ!
‐わかりません!
‐バカ野郎!すぐに調べんか!

「……なんやえらいビックリしてるなぁ」
「そんな訳ないだろ?目が白黒なのもいつも通りさ」
「なら、私の誕生日がいつか……言えるよね?」

思考を回転させろ!
‐5日だ!
‐なぜ?
‐いつかって言ってたじゃないか!
‐カット
‐探せ……!
‐電話横のカレンダーの5日に丸がしてあります!
‐これは確定的だな!

「5日だろ?大丈夫、わかってるさ」
「………なるほど、メッチャ視野は広いねんな」
「は?」
「御影君、カレンダーの丸を見て判断したやろ?」
「何を言ってるんだか」
「あれフェイクやで」
「なんだと!?わざわざそんなモノまで準備するか!?」
「フェイク言うても、診察日やから丸してただけやし……で、弁明は?」
「この度は大変申し訳ございませんでした。よければワタクシめにあなた様のご生誕した日を教えていただければ…」
「仰々しすぎひん?」
「わるい、誕生日教えてくれ」
「その方がやっぱりええよ」

クスクス笑いながらはやては赤ペンを握り、俺の右手をとる。
キュキュッと軽い音がなり、俺の手に【6/4】と書かれた。

「二分の三」
「やなくて私の誕生日な」
「あと2日かよ…」
「教えよう思っても御影君は電話にでんし…」
「留守電にでも入れればよかっただろ」
「ほら、こういうのって直接伝えたくならへん?」
「わからなくもないが…あれだろ、下駄箱にラブレターじゃなくて果たし状どころか本人がいる的な」
「ごめん、それはまったくわからんわ」

当たり前だ。俺にもわからん。
‐どうせ黒髪のポニテ巨乳が日本刀持ってんだろ
‐胴着ってこう…非常にいい形してるよな
‐袴しかりな
‐剣道、弓道は本当に最高だ
‐さすが俺だなよくわかってる
‐当たり前だろ俺

カット。

「それなら…そうだな、ここに来て料理でも作ってもいいか?それなりに上手いつもりだけど?」
「ホンマか!いやぁ楽しみになって来たわぁ」
「安心しろ。最近、暗黒物質の作り方を覚えたところだ」
「どこに安心できる要素があるんやろ…あれか?NASAに捕縛される姿がサプライズなんか?」
「グレイもびっくりだな」

‐大人に連れられたガキか
‐見方によれば誘拐だよな
‐ちゃんと力を抜いて引き摺られろよ
‐足が磨り減り過ぎて無くなりそうだ


「で、ホンマは何やと思ってたん?」
「あー…怒らない?」
「怒らんよ。第一、一回家に来た人間が私の誕生日を知ってること自体がおかしいと思ってたんやし。御影君との会話で誕生日は一切言うてないし」
「それ俺にとって絶望的じゃね?」
「でも応えてくれるんやろ?」
「そうだけど……なんか釈然としないというか」
「で、何やと思ったん?」
「……あの本達の返却だと思ったんだよ…」

手提げ袋のライフをことごとく減らし続けた、あの本達。
‐はやてだけだと返すのに苦労するしな
‐車椅子は大変だな

「あぁ、ソレやったんか」
「そうソレ」
「つまり、今日呼んだ理由やね」

‐え?
‐落ち着け、落ち着くんだ

「返却は今日やから呼んだんよ」
「あー…わかったがわからん」
「何が?」
「……一重にいえば乙女心?」
「そんなん男がわかった所で仮初めでしかないからわからんでええよ」
「そうだな。山の天気を予想する方がまだ簡単らしいし」

そう思いながら、俺は手提げ袋のライフを減らしていく。
‐もう止めて!
‐離せ!
‐もう手提げ袋のライフは0なのよ!
‐AIBOぉぉおおおお!
‐なぜロボットの話になったんだろう
カットカット。







「そういえば、誕生日プレゼントとか至極面倒且つ鬱陶しいモノは必要か?」
「その言い方で頼むとは言われへんねんけど?」
「日数を考えたら、面倒になった。サプライズとかなかった」
「サプライズは……まぁ考え方によっては鬱陶しいだけやからなぁ」


じゃあ無しの方向でいこう。
‐二日で俺が用意できるモノなんて少ないしな
‐乙女心は雨ではないようで
‐雨でも地は固まらないし
‐地面は火山灰で出来ていた
カット。
四日はついでに本を数冊持っていこう。
それなら乙女心も大丈夫だと思う……たぶん。



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〜八神はやて
天使

〜右手に書いた【6/4】
はやてさんの誕生日。右手に書いたのは手のひらがまだ包帯をしていなかったから

〜現在の包帯事情
左腕(指先から肩まで)、左足(付け根から足首を過ぎた)、右腕(肩から手首、手首部分はまだ薄い)

〜擬態魔法
前々回行使した魔法。使った数秒後魔力過多により対象を破壊する本来の目的とはかけ離れた魔法。完成すれば包帯生活ともおさらば

〜暗黒物質
ダークマター。宇宙の60%程を占める成分。未確定な部分が多く、確かようやく地球にての研究が始まってたはず

〜NASAとグレイ
宇宙といったらNASA。連れていかれる時は宇宙人よろしく


〜なんか安心した
〜奇遇だな
メタ発言っぽいけど違うよ!ただ心配してただけだよ!






〜ボツネタ
赤ペンを取り、俺の手のひらに【6/4】と書かれた。

「約分してないぞ赤ペン教師」
「気付くか試したんよ」

〜赤ペン教師
大概美人。いまだに、きっと美人なお姉さん的教師が赤ペンを握っていると妄想している

〜ボツ理由
主人公の目の前にはもっと可愛い赤ペン教師がいたから
決して赤ペン教師が実在してしまう事を危惧した訳じゃない。彼女達はみんなの心の中で叱咤激励してればいい

2012/10/08
家に着た→家に来た
乙女心め→乙女心も
に訂正。誤字報告感謝。

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