小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「……」
「…………」

話があると言われ、無理矢理に部屋に侵入してきた四人。
‐守護騎士勢揃いで
‐深夜なのはどうしてだ?
‐深夜にしか出来ない話なのか?
‐……おいおい、ザフィーラまでいるのは趣味じゃねぇよ
‐ア゛ー!
カット。

「茶はいるか?」
「あ、お構い無く」

冷蔵庫から取り出したペットボトルを直す。
リビングに四人を通して、向かい合うように座る。
‐むぅ、全員が騎士甲冑か
‐ザッフィーのはもう甲冑とはいえなくね?
‐ロリータも一緒だろ

「さて、こんな深夜に何用だ」





「…………主はやての症状が変わった」
「………つまり、どういうことだ」
「…あの時に守ると誓った我らが、主を侵している」
「………………」

‐カット
‐カット

「闇の書があることではやてちゃんの足の麻痺が徐々に上に上がってるの」
「このままじゃはやてが…」
「すまん……我らの責任だ」
「カット」
「…?」
「カットカットカットカットカットカットカットカットカット」

一度深呼吸する。
‐カット
‐カット
‐こいつらがいるからはやてが、死ぬ?
‐カット
‐カット
考えるな。可能性を捨てるな。

「………その闇の書が完成すればはやてはどうなる?」
「おそらくだが…助かる」
「アレが闇の書による症状ならば少なからず止まる」
「なら…やることは決まったな」
「……お前を巻き込む気はないぞ」
「なんだ?手前らはココに自身の不義理を許してもらいに来たのか?
なら死ね今死ねすぐ死んではやてを解放しろクソども。手前らが死んだ所ではやては治らんだろうがその辺りは俺がどうにかする。どうにかしてやる。
手前らは何をしにここに来た?少なからず俺にこの話をすればリンカーコアから魔力を得れると思ったからだろう?予想は的中してるさ」
「……スマン」
「謝んなよ。テメェは騎士としての行動をした。俺は友人としての行動をするだけだ」

目の前の四人を殺してはやてが守られるなら、そうする。選択肢などない。
‐しかし、それは否だ
‐殺したところで意味はない
‐落ち着け
‐はやては助かる
‐助からないなどあり得ない
そうあり得る訳がない。

「適当にサクサク抜き取ってくれ」
「お前、バカだろ」
「ロリータに言われたかねぇよ」
「死ぬんだぞ!?リンカーコアが抜き取られたら、お前は死んじまうんだぞ!?」
「そうだな。ふむ、辞世の句でも読んだ方が…」
「ちげぇよ!そういう事じゃねぇよ!バカ!」

ヴィータの頭に手を置き、溜め息を吐く。
‐優しいガキだ
‐はやての周りにいないといけない奴だ
‐さすがはやての家族だ

「俺が死んだ所ではやてにはお前らがいる。俺の命がはやての足しになるなら、随分と価値のある命さ」
「…………やっぱり、バカだ」
「バカなのは承知さ」

ぐしゃぐしゃと髪を撫でてやれば手を叩かれた。スゴい痛い。

「安心しろ、リンカーコアから魔力を蒐集するだけだ。死にはしない」
「マジか、それは良かった」
「ただし、しばらく眠る事に」
「いや、魔力を奪われるだけなら大丈夫だ。すぐに起きるさ」
「……その左腕ね?」
「気付いてたのか?」
「あなたを治療したのは誰と思ってるの?」

‐これは失礼
‐まぁ本質は知らないだろうし
‐シグナムにバレてなければ大丈夫

「湖の騎士様には頭が上がらないね」
「その魔力の塊から最初は貰おうと思ったんだけど」
「無理だった?」
「ええ、闇の書が拒絶して」
「なら仕方ないさ。さぁ、サクサクと開始しよう」

闇の書と呼ばれた本が目の前に開かれる。
‐無地だ
‐無字だ
‐魔力によって文字が書かれるのか
‐炙り出しの文字のようだ

「蒐集」
『蒐集』

力が抜けていく。
魔力が抜けていく。
落ちる


落ちる




落ち













「………ぁ」
「あ、起きたのね」
「…今しがたな。何日寝てた?」
「時間にして18時間、完全には回復してないからまだ安静にしてね」
「他は?」
「シグナム達はリンカーコアを集めに行ったわ。私は広域探索とアナタを看護」

布団を退けて、関節を確認する。
‐正常
‐魔力循環に不備あり
‐アンヘルから魔力を譲渡

「布団…てことは部屋に入ったのか」
「ええ。あんな所でよく寝れるわね」
「片付けは?」
「そんなに余裕はないわ」
「なら良かった」

‐魔力循環完了
‐不備なし

「よし、じゃあ俺も行くかね」
「許しません。夕くんはちょっとした病人なんですからね!」
「大丈夫、治ったさ」

‐長距離転移陣展開
‐リンカーコアの摘出技術はどうにかなる
‐アンヘルに食べられないか不安だ

「治ったって…そんな訳ないでしょう」
「あるんだって。とにかく、シャマルははやてを頼む。俺もなるべくバレないように立ち回るし……あぁあと栄養剤とか準備出来るなら準備しといて」
「………無茶したらはやてちゃんが怒りますよ?」



「はやての死が回避出来るなら、それもまた構わないさ」


************************************************
〜ア゛ー!
いいのかい?こんな小説を読んでて、俺はノンケでも
カット


〜「カット」
自身の思考を断ち切る為に態々自分に解る形で脳に伝える方法。



〜アトガキ
後書きにて失礼します。猫毛布です。

こんな感じで御影君にはリンカーコア集めと学業、さらにはやてとの会話を全て並行してもらいます。
容易く命を捨てようとするのにも、彼自身のトラウマというか業というか罪が作用してるのですが、明記しません。


私自身は書いてて全くわからないのですが
「はやての為なら、命を持っていけ」
的な言葉をしっかりと重く書けてるか不安です。
「はやての為なら死ねるぜ!」
みたいに軽く見られたら、御影君はピエロですね。
しっかりと伏線を張れば大丈夫なんでしょうが……いやはや、各も心の描写と言うのは難しいです。普通の描写すらまともに出来ない私にすれば、当然ですね。

この調子で行けばA'sは黒い話と明るい話との差が恐ろしく開きそうで纏めるのが非常に楽しそうです。
皆様に楽しく読んでもらえるかは不安ですが、適当適度に適合して頂けるとありがたいです。


では、失礼しました

-26-
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