小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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久しく帰ってきた家の郵便受けがパンクしてた。
何を言ってるかさっぱりわからないと思うが、俺にもさっぱりわからない。
ただ言えることは新聞でパンクしたんじゃなくてエアメールでパンクしたって事だ。

「……………つまり、どう反応すればいいんだ?」

‐嘆けばいいさ
‐絶望した!理不尽な郵便屋に絶望した!
‐新聞もしっかり刺さってるというのに
‐まったく、どうにもならなかったのか

溜め息を隠さずに、落ちてしまっている手紙を拾いもう一度溜め息を吐く。
鍵を刺して回す……。

「………?」

鍵が開いている。
空き巣だろうか。別段盗まれて困るようなモノは本ぐらいしかないんだけど。
‐テレビもねぇ!
‐パソコンもねぇ!
‐携帯電話すらねぇ!

ガチャリと扉を開ければ

「「おかえりなさい」」

………………。

バタン。


え?つまり、なにもなかった。
うん。あるわけがない。
‐さてとリンカーコア集めに行こうか
‐いやぁ、今日は凄く集まりそうだ
‐金髪天使が二匹いたぞ
‐もう瓜二つどころの話じゃねぇよ

「なんで閉めるの?」
「信じられない事にフェイトが分身した………あれか、単細胞生物だったか」
「フェイト…単細胞だったの?」
「違うよ!?アリシアも話をややこしくしないで!」
「まぁ落ち着きなよフェイト」
「そうさ、とりあえず家に入れてくれ」
「あ、うん。ごめんね」
「さぁ入ってよ」
「なんで私たちの家じゃないのにアリシアが先導してるの?」

その辺りは気にしない。
‐しかしながら似てる
‐瞳の色が違う程度?
‐性格は結構違うみたいだけど

「殺風景な部屋だな」
「言われてるよフェイト」
「あ、ごめん……ってココはユウの家だからね!?私に言われてもどうしようもないよ!?」
「…なかなか面白いな」
「私の妹だもん、当たり前よ」
「否定してよ!妹が弄られてるんだから助けようよ!」
「………ヤメナサイヨ!」
「ワカッタヤメルヨ!」
「……………」
「わかった。マジでやめるから、な?」
「そうよフェイト、落ち着いて、まずは落ち着いてバルを下げて」

黒い鎌を下げたフェイトがブスゥとしてるなか、もう一人のフェイト擬きに向く。

「こうして会うのは二度目になるが、初めまして。御影 夕だ」
「こうやって会うのが初めましてなんだから、初めまして。アリシア・テスタロッサよ」
「……なんか聴いてた印象と違うんだけど?」
「貴方のレポートは何回か読ませてもらってるから、ちゃんと挨拶しようと思って」
「無理してるなら止めてくれ」
「うん。じゃあよろしくねユウちゃん」
「…………え?」
「私の方が年上なんだから、ちゃん付けでも構わないよね?」
「……こう、一応、お前さんの妹の面倒をみてたんだが」
「うん、知ってるよ。ありがとうユウちゃん」

もう、なんというか、いいわ。
‐名前なんてなかった
‐あり得る訳なんてなかった
‐シニカルユウリンが…
‐触手少年!ミラクルユウちゃん!
カット。






「で…なんでいるんだ?」
「えっと、手紙着てる筈なんだけど」
「…………」

冷たい目で見られながら、エアメールで一番新しい日付のモノを探して開く。

『しかしながら、私の娘達が天使ならばこの世界が救えると思うの。むしろ救って当然ね。その為に私は神を殺しにかかるわ。あんな幻想と人間の思考の産物なんて、全て計算で証明してやれば存在否定が』

これじゃなかった。

「詳しい事は言えないんだけど、またこっちで住む事になったんだ」
「フェイトは嘱託魔導士として、私は技士見習いとしてだけどね」
「それは、また…」

‐管理局が関わってきた?
‐さすがにやり過ぎたか
‐もう少し慎重に動くしかないか
‐闇の書と決まった訳じゃない
‐しかし管理局が近くにいるのは確かだ

「面倒そうな事に巻き込まれてそうだなぁ」
「でも、アリシアがいるし」
「なのはちゃんやライト君も居るからね」
「……そいつは、そうかい」
「ウン。好きな事してる時にちょっかい掛けて来ることを除いたらいい子なんだけどねぇ」
「あはは……ライトは仕方ないよ。この前なんて仕事ギリギリ…というか遅刻してリンディさんに怒られそうになってたし」

親バカ二号に怒られそうって…。
‐聞いてた限りは優しそうな人間だったけど?
‐仕事面では厳しいのか

「で、お母さんから伝言なんだけど」
「口を開かずに今すぐ自宅に帰りなさいな」
「レポート提出遅れてるんだけど嘗めてんの?だってさ」
「ハイ、すぐに送らさせていただきます」

クスクスと苦笑する二人の声が暗い影を背負った俺の耳にやけに残った。








「……………、ん」
「起きたか」
「あぁ、蒐集は?」
「今終わった。シャマルから伝言だ」
「どうせ、無茶するんじゃありませんってやつだろ?」
「…最近いつ休んだ?」
「今しがた休んでただろ」
「……それも数分だろう、いざとなれば俺が捕縛魔術を掛けてでも休ませる」
「すぐに解くさ」

バキバキとなる関節の音を聞きながら呼吸を深くする。

「そういえば管理局の連中と戦ったか?」
「……いや…どうかしたのか?」
「管理局がこっちに来てるから注意しておけ」
「…忠告感謝しよう」
「出来るなら、戦うな」
「………我らは負けないさ」
「それは信じてるが、関わらない方が得さ」

そう言いながら、錠剤を二つほど口の中に放りこんだ。



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〜アリシア
どちらかというと知能派。元気で人見知りしない性格に礼儀も加えられた非天然。
妹であるフェイトとの仲は良好。フェイト可愛いよフェイト。可愛いと苛めたくなるS。現在は技士見習いで経験を積むのとバルディッシュのメンテナンスも踏まえてアースラに乗艦。


〜時系列
原作ではフェイト達が着たのはヴィータ襲撃中だったが、英雄さんのお陰で先回り出来ている。
どうせ描写しないから書くが、VS守護騎士は原作通りの結果。少し違うといえば高町なのはの代わりに英雄が犠牲となった。

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