小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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 世の中には信じたくないことが多数あり、その信じたくないことを眼前に突きつけられると人間はそっぽ向く

‐今の俺みたいにな
‐おいおい、入学するならもう少し早く出来ただろ…
‐あれか、罠だったのさ!みたいな
 カット。

「では二人とも自己紹介を」
「アリシア=テスタロッサです!よろしくね!」
「フェイト=テスタロッサです…よろしくお願いします」

 元気よく挨拶したアリシアと緊張しているフェイト。
 そんなフェイトはとある方向に微笑んでいた。
‐向き的に高町か
‐いやはや仲がいいねぇ
‐百合ん百合んしてるのか
‐あれだろ、こう二人でスールとか決めてだな
‐お姉様!
‐カット。どっちがどっちだよ!ハッキリしろ
 カット。そうじゃないだろ。
 
 内心溜め息を吐いて気がついた。
 アリシアの視線がこっちを向いている。そして


ニコッ

‐うわぁ満面の笑みで手を振られたよ
‐反応した方がいいのだろうか?
‐あれだろ反応したら高町に絡まれるんだろ?
‐オメェ何処のシマのもんじゃ、わしゃぁここら一帯を占めとる高町いうもんじゃきに…手ぇ出したらただや置かへんで?
‐キャータカマチサンコワーイ
 よし、スルーしよう。
‐ヘタレめ
‐ヘタレ乙
 カットカット。





「やっほ、やっぱりユウちゃんだったね」
「……アリシアェ」

 最初の授業が見事に彼女達への質問責めになってしまい、先ほどまで隣にいるアリシアはその中心に居たのだが……。

「え、副委員長と知り合いなの?」
「まさか。勘違いとかじゃないの?」

 その輪が俺に向かうのだけは止めてくれ。
‐面倒だ
‐アリシアたん可愛いよ!
‐あれだろ?十年ぐらいしたらペロペロする約束がだな
 カット。そんなモノなかった。

「ユウちゃんを間違える訳ないじゃない。ね、フェイト」
「うん。ユウはユウだし」

 あれか、普段弄ってる仕返しなのか?
 少なからずフェイトは俺がアンヘルだと知ってるんだろ?
‐バレたら高町に粛清される
‐私、ナノハ・タカマチが粛清しようというのだ!
‐若さゆえの過ちだな
‐エゴだよ!それは!
‐この地球資源を守るために、省エネルギーにしましょう
‐エコだよ、それは…

「…御影君?」
「…………あー、なんだ、とにかく落ち着け、落ち着くんだ月村。目が笑ってない、故に怖い」
「じゃあ教えてくれるよね?」
「何をだよ」
「この二人との関係」
「…教えれる時になったら、」
「今すぐに、教えてくれるよね?……ね?」
「アイコピー」

 あははー群がってた子供達も怖がってるんだから、止めてくれ。
‐なんでここまで怖いんだか
‐よくわからないねぇ
‐あれだろ?すずかタンが実は俺の事好きとか?
‐ねぇよ
‐勘違い主人公はお帰りください
‐現実をご覧なさいな

「二人とは…少し前に町の案内をした程度だ」
「ホント?本当にホント?」
「俺が月村含むクラスメイトに嘘をつくと思うか?」
「……そうだよね、うん。ごめんね?」
「ユウちゃんわかったよ。そういう事で話を進めるね!」
「御影君?」

‐アリシアェ…
‐あぁ絶対楽しんでるんだろうなぁ
‐というかスゴい笑顔が輝いてるよ
‐月村は笑顔が固まってるけどな

「その後に夕飯を一緒に食べた程度だ。それ以上は何もないよ」
「………」
「嘘じゃないよ…嘘なら舌を噛みきってやるさ」
「閻魔様も困っちゃうよ……」

 そう言って苦笑する月村。どうやら納得したらしい。
‐というより諦め?
‐諦めてくれるならありがたいさ
‐自分の為にもすずかタンの為にも何も言えない

「いいかしら?」
「騒がせたな。すまないバニングスさん」
「別にいいわよ……なんでアンタが謝ってるんだか」
「君の仕事を奪ったかと思ってね。よければ俺の仕事を奪ってほしいが」
「いやよ。私はアンタ程ひねくれてないもの」
「ひねくれるだけの簡単なお仕事です」
「そんな仕事願い下げだわ」

 ご尤もである。
‐ツンデレがややデレ入ってきたか
‐ツンデレはもうツンだけでいいよ
‐デレだけとか勘弁してほしい
‐デレだけでいいのはヤンデレだけです









「フェイト!アリシア!」

 さて、図書室へ行こう。
‐リンカーコアも集めないと
‐早退してもいいんじゃね?
‐いや、日常を生きなくては

「ユウちゃん。学校案内してよ」
「……」
「おーい、ユウちゃーん?」
「なんで俺に言うかな」
「ユウちゃんに案内された方が楽しそうだからね!」

 にゃはー、と笑うアリシアは本当に楽しそうだ。
‐いや、可愛いんだけどさ
‐可愛いならいいじゃない
‐まぁイケメンがこっちを睨んでなければな

「お前!アリシアを離せよ!」
「との事だが?」
「え?嫌だよ」
「らしい」
「……テメェ!ふざけんなッ!」

 誰かどうにかしてくれ。
‐助けてプレシア様
‐プレシア様が見てる
‐見てない

「ライト、止めてよ」
「フェイト!いいのかよ!?」
「何か悪いの?」
「だって!………いや、なんでもない」
「ならいいよね?行こうかユウ」

 フェイトに腕を捕まれて教室を出される。
‐俺の意思は?
‐お前の意思など美少女の前では無意味
‐圧倒的!圧倒的無意味!
‐ザワ……ザワ……
 カット。





「あー、お前さんらはカルテットと一緒に学校を回るものだと思ったよ」
「なのはちゃんやすずかちゃんやアリサちゃんは可愛いからいいんだけどね」
「母さんからライトに必要以上に関わるなって言われてて」

 二人して顔を見合わせながら苦笑してる。
‐なるほど納得
‐こいつら本当に似てるなぁ
‐双子より似てる二人

「しかしなんで俺かね」
「さっき言ったよ?ユウちゃんなら面白そうだから」
「なのはとライトを除くと知り合いはユウしかいないし」
「そいつは恐悦至極」

 あぁ消去法の結果か。

「本当に仲が悪いね」
「誰と誰が?」
「ユウちゃんとライト君」
「ユウが嫌われてるのは、なんとなくわかるけど」
「おい。それを本人の前で言うのか?」
「だって自覚してるでしょ?」
「自覚してないわけないことない筈がない」
「つまり自覚してるね」

 むぅ、ノータイムでの切り返しか。
‐フェイトたんも慣れたモノだね
‐フェイトはワシが育てた
‐プレシア様にぶっ殺されそうだ

「ユウはどうしてライトが嫌いなの?」
「嫌いではないさ。それさえも考えてない」
「意識するのも嫌なんだ」

 さぁどうだろうか。
‐そうだろう
‐別に嫌いじゃないけどな
‐好き嫌いでは言えない関係

「で、アリシア」
「ん?」
「解ってたとは思うけど俺が魔法関係者だって言うなよ」
「なんで?普通に優秀じゃない」
「面倒が増える」
「好きでしょ?面倒」
「嫌いだよ、面倒」
「ねぇユウ!ここは?」
「平和だ」
「平和だね」
「え?何が?」

 さてさて、案内を再開することにしよう。
‐あぁフェイト可愛いよフェイト
‐プレシア様の電波受信した
‐否、プレシア様に電波発信した
‐次の宛先へのメッセージはエラーのため送信できませんでした
‐宛先を再確認してからもう一回送りなさい、坊や
‐あれ?届いてない?

 カット。





*******************************

〜百合ん百合ん
 高町さんとテスタロッサさんを見てると、気づくと背景に白い百合が咲き誇ってた。
 何を言ってるかわからないと思うが、俺にもわからない。ただ、どう考えてもなのは攻めが俺のジャスティス

〜スール制度
 漢字で書くと姉妹制度。ちなみにどこかの学園では黄色い薔薇様とその妹様がちょっとした喧嘩をしたらしい

〜プレシア様が見てる
 天使の親が見てう。怖い。鞭怖い。どこかの学園ではプレシア様じゃなくて聖母マリア様がちゃんと見ておい
でです

〜お姉様!
 どう考えても妹様攻めでお姉様をにゃんにゃんしてる姿です、本当にありがとうございました。

〜私、ナノハ・タカマチが粛清しようというのだ!
〜若さゆえの過ち
 両方とも同じ人が言ってる言葉。時系列的には逆

〜エゴだよ!それは!
 突如として現れたラスボス機を量産機で相手できる化物の言葉。

〜アイコピー
 宇宙関係のお仕事の方々の【了解】の意だった筈。 You copy? I copy.

〜ドSアリシア
 彼女は楽しい方向に動くようです。Sの人ってちゃんとした思考を持ってるなら本当に優しい人。今回はユウ

ちゃんを弄りたかったようだ

〜双子天使と光
 スメラギ君の地道な活動により、なんとか意識されるレベルへ。しかしながら、お母様の印象がヤバイので完全に落ちてはいない。フェイトが言っていたように、よくても友達止まり。友達同士を仲良くさせたいので、二人は頑張る道に行きました

〜送信エラー
 送れる訳がない。もし送るならば映像付きで送ってこい と通信会社でおなじみのP.T通信から業務報告がだな

〜ざわ…ざわ…
 引き分けにしようぜ

〜わしゃぁここら…
 極道少女ヤーサン†なのは。自身の友達を守るために界隈を全て殲滅及び傘下に置いたとある少女の話。実際彼女は極道の道を進みたくなかったが、いつの間にかそういう流れになっていて、いつの間にか女の身でありながら「姉御!」ではなく「兄貴!」と慕われるようになってしまった。可哀想な娘。
 ちなみに別の組も存在していて、そこでは彼女は「魔王」などと呼ばれていて、非常に憤りを感じている。その噂のおかげで近々、隣界隈の組である【八神組】が殲滅させられる予定。しかしながら、【八神組】には秘密兵器【触手のユウ】という謎の男がいるので今回も簡単には済みそうにない。
 
 頑張れ!ヤーサン†なのは!!次回!
 【勉強させたろか、ワレェ!!】
 それでは次回も!テメェの命を全力全壊!

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