小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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‐シグナムの解析結果
‐ザフィーラの解析結果
‐どちらもそれほど差がないということは他の二人も似たようなものか
‐夜天本体を解析しないことには答えは出せないか
‐一致しているところから逆算して一部の解析は?
‐可能だが、確実でない
‐やはり夜天の書を壊すのが一番早いか
‐しかし、夜天の防衛機能が暴発すれば?
‐カット
‐夜天の意思があるならば
‐二人の付近に転移確認
‐転移数2

 カット。
 瞼をあげる。どうやら結構休んでしまったらしい。
 首をバキバキと鳴らして息を吐く。

「おぅ…眼福」

‐シグナムさん、触手で縛られる趣味があるなら言ってくれればいいのに
‐私を触手で縛れる者はおらんのか
‐ここにいるぞ!
 カット。
 助けたほうがいいか。
‐そして、俺の触手で縛ればいい
‐お巡りさん、こいつです
‐こいつお巡りさんです
‐公僕はお帰りください。
‐まぁ死ぬことはないだろうが…
‐転移の内一つから魔力反応

 あー…、なんだ。
 目の前を覆い尽くすまでの黄色い雷。それは剣となってムカデモドキに刺さっていく。

‐まずくないか?
‐いや、擬態魔法も行使してるし
‐リンカーコアが採取できなくなる
 それは面倒だ。
‐痛覚遮断
‐強化魔法行使

 足に力を入れて、地面を蹴る。
 何度か足を付きながら連続して直進する。
‐到着
‐リンカーコア摘出
‐摘出完了
‐あ、
‐どうした
‐レヴァンティンの範囲内だ!
‐俺死ぬんじゃね?
 たぶん、きっと。ほら不可抗力だし。
 別に下から上を眺めてシグナムさんの絶対領域を覗きたかった訳じゃないし。
‐アウト
‐黒に限りなく近い黒だ
‐応、あれは…黒だ!
 やめてくれ。











◆◆



『フェイトちゃん!助けてどうするの!?捕まえるんだよ!』
「あ…ごめんなさい」

 つい、助けてしまった。
 捕まえるとかそれ以前に助けないとっていう思考で埋めつくされていた。

「礼は言わんぞ、テスタロッサ」
「お邪魔でしたか…?」
「蒐集対象を潰されてしまった」
「まぁ、悪い人の邪魔が私の仕事ですし」


「これだから公僕は嫌になるねぇ」
「え?」

 突然聞こえた声は先ほど倒した原生生物の上に胡座で座っていて。
 声の持ち主はニヤニヤと笑っている。

「そんな公僕を裏切るのがオレッチの役目だからねぇ」
「なんだ、起きてたのか」
「オイオイ、そりゃぁねぇぜ姉御。さすがに有れだけデカイ目覚まし時計が鳴りゃぁオレッチだって起きるさ」

 シグナムと仲良さげに喋る褐色の肌で軽薄そうな男。
 そんな男はこっちを向き、ニッコリと笑顔を作る。

「グーテンモルゲン、お嬢ちゃん。オレッチの名前はセネター。気軽にセネッチとでも言ってくれれば嬉しいよ」
「セネター…少し黙れ」
「姉御は怖いねぇ。お嬢ちゃんどうにかしてくれないかい?」
「え、えーと……」

 セネターは楽しそうに笑い、シグナムは疲れたのように溜め息を吐き出す。

「さって、姉御。リンカーコアは摘出しといたぜ」
「ッ!?」

 サンダーブレイドを掻い潜って、瀕死状態から摘出したというのか。
 雷を避け、一瞬で…。

「警戒が増したねぇ、お嬢ちゃん……ベッドでの運動を申し込もうと思ったけど時すでに遅し、ってことか」
「セネター…」
「トゥート ミア ライト。睨むなよ。漏れちまう」
「セネター!」
「アーハイハイ、黙りますよー黙ればいいんでしょ」

 ブツブツと何かを愚痴りながらセネターは原生生物から降りて、この場から離れようとする。

『フェイトちゃん!』
「待ってください…えっとセネッチ?」
「ブハッ」

 吹かれた。
 言ってた本人に吹かれた。吹き出された。
 しかも、爆笑されてる。腹を抱えて笑うを体現しているセネターに少し怒りを覚えた。

「バルディッシュ」
ーThunder Smasher
「うへぃ。危険だねぇ」
「え?」

 セネターの顔が逆向きで映る。そして腕が上に吊られていく…いや、違う!バルディッシュがもっていかれている!

「まったく、危険なものばっかり持って!お嬢ちゃんはこんな鎌じゃなくて花籠かもしくはマッチでも売ってればいいんじゃないか?」
「離せ!」
「おー怖い怖い」

 バルディッシュを引けば容易く持っていた手を離すセネター。
 まるで楽しむように、そしてコチラを馬鹿にするように嗤う。

「そのくらいにしろ」
「ヤー…姉御が言うなら黙ってるよ」
「ならば最初からそうしてくれ」
「最初からするならするわけねぇべ」

 そしてまた一人ケタケタと嗤う。あぁ、頭が痛い。

「すまんな、テスタロッサ」
「……いえ」
「姉御が謝ってんだから許してやれよ!!」
「……」
「トゥート ミア ライト、静かにしてる、睨むな」

 両手をあげて降参の意を示したセネターはまた嗤い、すこし遠くに転移…いや、あれは移動か。速い。

「お前の方が私より速いのだ…逃げられないなら戦うしかないな」
「でも、セネターの方が速そうですけど……」
「……アレは特殊だ。それだけに特化しているだけだ」

 まるで苦虫を噛み潰したようにシグナムはセネターを横目で見て、溜め息を吐く。
 とうの本人は胡座をかいて欠伸をしている。

「あずけた勝負の決着は、今しばらく先にしたいが、そうはいかんのだろう?」
「はい。そのつもりで来ました」

 意識を集中させる。
 ここにいるのは私とシグナムだけ。
 息を吸い。
 一度溜めて、吐く。

 瞼を上げて、そこにいるのは打ち倒すものだ。
 そこにいるのは倒すべき敵だ。
 そして、越えなければならない壁だ。


「行きます」
「あぁ…来い!!」



****************************

〜黒
 眼福である

〜リンカーコア摘出技術
 一人で色々試してたらいつの間にか成長していた

〜ここにいるぞ!
 ワシを倒せるものはおらんか!!

〜痛覚遮断
〜強化魔法
 御影君の肉体強化魔法は効力がイイ代わりに痛みが酷いのでマトモに考えるなら失敗魔法なのだけど、痛覚の処理を排除して痛覚さえ感じず回復魔法を行使し続ければ優秀な強化魔法。
 ただし、行使中は痛覚の遮断の為に思考の断絶は使えない。全文使ってないはずたぶん。

〜二人の付近に…
 既にサーチャーは解析してたので、解析魔法込の観察用

〜セネター
 御影君の偽名2。前回のアンヘルは自分の左手に寄生した触手。今回はリッター達の名前からテキトーに御影君が作った
 キャラ的には「軽い、ウザイ、エロイ」が基本。別に公然とセクハラ発言をしたかったわけじゃない

〜バルディッシュ
 セネターに掴まれても主を守らずに為すがままだったデバイス。彼は悪くない。しいて言うならば、御影君が賭けで勝ちをもぎ取った



ドイツ語関係
〜グーテンモルゲン
 おはよう
〜トゥート ミア ライト
 ごめんなさい
〜ヤー
 はい



〜アトガキ
 どうもです。
 前回と今回は少しばかり急ぎすぎた感があります。夕君主体で書いていると出来事が何もなさすぎてヤバイです。
 この時点で裏で終了していることの中に、はやて様とすずか様の出会いが有るわけですが、夕君は関与してません。時期は明確に出ているのですが、スメラギ君にも出会いを関与させる意味もなさそうです。というか、はやて様を怒らせたスメラギ君はめげずに頑張れるのかなぁ…いや、頑張ってもらわないと困るんだけど。
 相変わらず、終盤が近くなってくると真面目回が続きます。仕方ないですけど、どうにか喜劇に繋げたい…しかしながら闇の書終盤に差し掛かるとスメラギ君空気だなぁ。裏で色々動かしてるんですけど、夕君の目に止まらないから仕方ないです

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