小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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‐あの日からテスタロッサはちゃんと我が家で夕食を共にしている
‐いい娘だな
‐あぁいい娘だ
‐料理に惚れ薬が入ってるとも知らずに!
‐嘘乙

「は……は…」

今現在やや息が切れてるのは絶賛ランニング中だからだ。
‐しかしながら惚れ薬とは何なのだろうか?
‐ちょっとした興奮剤では?
‐今の嘘なら
‐薬入り料理を食べる
‐少し興奮する
‐一緒に食べてる人、もしくは料理に不思議な思い入れ
‐普通の料理を食べても何も感じない
‐もしかしてあの人は私にとって特別な人では?
‐パプロフの犬か
‐夕食だけなのも理解させる為か!
‐あざとい、あざといぞ!オレェェェエエエ!!

カット。
惚れ薬とか、ねぇわ。ねぇよ俺。

立ち止まって、少しだけ休憩。その場に眼鏡を置く。
‐鼓動やや低下、安定
‐無駄を省け
‐四肢に魔力循環
‐安定
‐増加
‐痛覚の信号により脳負荷上昇、切断
‐増加

目をゆっくり開いて、脱力。前に倒れる勢いに乗り地面を右脚で蹴る。
景色がずれる。

左脚が接地し勢いを殺さず、右脚を蹴りあげる。振り子のように右脚が上がるが遅い。
‐やはり体勢に難あり
‐蹴りではなく拳では?
‐タイミングを掴めない
‐眼にも魔力を循環させよう
‐負荷ワロタ‐眼に魔力を通した所で動体視力に上下はない
‐ならば脳を強化しよう
‐おいおい、我らがいるではないか
‐めんどくせー



‐やはり誰かに師事した方がいいか
‐だが異端を育てる人間がいるか?
もう少し頑張ってみるか。
‐魔力循環遅滞
‐傷口修復
‐力不足
‐これでは護れない
‐誰をだよ
‐護れなかった人たち
‐痛覚を復元

「ッテェ……」

身体より頭が痛い。第一身体強化でさえ自己流。無駄がありすぎる。
‐無駄ばかり
‐余剰魔力が傷口から漏れ出る程に無駄
‐傷の原因の一つがソレ
‐シャワー浴びたい
‐ソバットにすればあの速度で迫る弾丸にでも成れる
‐距離感を掴めないならヒップアタックだな
‐されたい、女の子にされたい
カット。




『……す、て』

‐幻聴だ
‐ショタボイスが聞こえた
‐嫌な予感がする
‐何をする気だ?
既に予想は出来ているだろう?



華麗にスルーだ。
‐当たり前だな
‐当然だ
面倒事を迎えるなど愚者だ。
‐愚者乙
‐いいおるわ
‐少女が持ってくる面倒事は歓迎
カット。









「…………またか、車椅子少女」
「またや。眼鏡男子」


暇なので出向いた図書館で車椅子に座った少女に捕まった。彼女の名前は車椅 子少女。くるまい スシメ。
きっとそんな名前。

「アホか」
「黙れスシメ。上から本落とすぞスシメ」
「誰がスシメや!なんやアンタはカガミダンゴって名前なんか?!」
「キサマ、なぜ我が名前を……?!」
『館内ではお静かにお願いします』


すいません。
二人で謝り、本を取りに行く。

「で、今日も高い本が取れないのか文学少女」
「そういうことや、頼むで文学男子」
「どちらかと言えば理系なんだけどな」
「そうなん?」
「言ってしまえばどちらにでもなるさ。箱の中の猫みたいに」

首を傾げた文学少女に数冊の本を渡して椅子に座る。
‐半々で生死する猫の話
‐所詮は空想実験
‐確認すれば事象の確定
‐確認しなければ事象は常に動き続ける


「つまり確認してしまったからお前はもうスシメだ」
「誰がスシメやねん!」
『館内では』
「すいません。ホンマにごめんなさい」
「怒られてやがる」

鼻で軽く笑ってやれば、怒って声をだそうとして、止めて百面相したあとに此方を睨む文学少女。
‐ざまぁ
‐ツッコミは弄ると面白いな


「で、カガミダンゴさんは何しにきたん?」
「スシメを弄りに」
「ーーっ、…そ、そっかぁ。うん、ちょっと出よか?」
「怒るなよ文学少女。言葉遊びだろ?」
「粋すぎて、行き過ぎやね」
「遺棄でもすればいいさ。それこそ息をするように」
「微妙」

‐ダメ出し食らってやがる!
‐下手糞め
‐糞め
‐流れろ
‐こんな話流そうぜ
‐糞だけにな

「で、自称理系男子は何読んでるの?」
「基礎量子力学〜イエローモンキーでも理解できる量子力学!これで貴方もニガーから卒業〜」
「アホォォォォオ!!!なんてモン読んでるんや!タイトル自体アウトや!!」
「黒に限りなく近い白だよ。グレーだよ。セフトセフト」
「黒に限りなく近い黒や!ブラックや!アウト過ぎるわドアホ!」
『館内ではお静か』
「知るか!この図書館なんやねん!むしろよく出版できたな!それ!」
「まだ書き上げてないから出版はちょっと…」「自作かい!あ゛?アンタはなんてモノ書いとるんや!世界中の非差別団体を敵にして何をしとるんや!」
「執筆作業」
「!‐、‐………はぁ」

何度か口を【あー】だか【うー】だか【いー】だかの形に変えたあと積もった息を吐いて文学少女は落ち着いた。
こっちはこっちで司書さんに軽く頭を下げて対応している。


「……もうええわ」
「ありがとうございましたぁ」
「漫才かい…」

ツッコミにキレが無くなったな。
‐疲れたんだろ
‐あの程度で疲れるとは…この先やっていけるか不安だな
‐疲労困憊
‐不安昏倒

「で、足の調子は?」
「相変わらずやわ」
「そうか。困った事があるなら言えよ?」
「おおきに。今のところ大丈夫やから」
「今ならお前のお休みからおはようまでをサポート出来る」
「仕事せい」
「寝顔の観察」
「………」
「冗談だから、その持ち上げた本を下ろしてくれ。司書さん睨んでるから」

またも溜め息を吐きながら本を机の上に置く。短気だな。

「こんな美少女いじめて楽しいんか?」
「至極楽しい。ところで、聞き間違いではなければ美少女って言った?微少女だろ?」
「あぁ美少女や」
「そうか微少女か」
「……………」
「………ごめんなさい」
「よろしい」

‐美少女怖い
‐美少女に睨まれるとか
‐ビショウジョ の にらみつける▽
‐ユウ の ナニかががくっとさがった▽



「別段、御影君に構われるから今のままでも構わんけどなぁ」
「…お前ってバカだったんだな八神…」
「なんやて…?」
「ゆーあーバカ」
「余計イラつくなぁ…」

だって仕方がないだろ。
俺がお前の何かが変わった所で嫌う訳がない。

「足が治ってもいじり倒してやるよ」
「なんか違う!」
「司書さんすいません。もう叫ばないから。角が出てるよ司書さん!」

それが何故かと問われれば、
‐ツッコミがいないとボケは寂しいだろ?
‐初めての友人だからな
‐美少女だからだよ
‐なんでだろうな

さぁ?
本心はひた隠しにするべきだ。

カット。


************************************************
〜目の強化
強化したところで動体視力はあがらない。画像処理をする脳を強化した方が効率的

〜カガミダンゴ
眼 鏡男子

〜箱に入った猫
毒薬の入った箱に入れられて半々の確率で生きてるか死んでるかの思考実験に巻き込まれた猫。シュレディンガーの猫より

〜イエローモンキー
〜ニガー
差別ダメ。絶対。

〜美少女
ヤガミハヤテ ミタイナ カワイイコ
〜微少女
可愛くも綺麗でも醜くもない例えがたい普通よりも普通な女の子

〜もうええわ。
〜ありがとうございましたぁ
漫才でおなじみ。


〜司書さん
図書館最強の戦士。彼女が闘いに赴くとすべてが平伏するので図書館に封印されている。館長さんが近付くと顔を真っ赤にして逃げる

〜館長さん
おそらく劇中には出てこない。司書さんに逃げられるので嫌われてると思ってる



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