小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「ミカゲ!」
「…なんだ、居たのかスクライア」
「今来たところなんだけど……守護騎士の五人目が出たよ」

 読んでいた本をパタリと閉じて本棚に直す。
‐見るからに落ち込んでいるショタ
‐これだからショタは…

「そうか」
「そうかって……君の予測が当たってたんだよ!?」
「……あれも文献から引っ張り出してきたものだ。俺の予測と言うわけじゃないさ」
「それでもすごいよ!この量の本から正確に情報を読み取ってそれを纏めるだなんて!」
「興奮するな」

 傷が痛む。
‐欠損60%修復
‐日常生活に支障なし
‐一日作業でこれか
‐もう少し効率を考えるべきか
‐魔法も使用できないしな
 興奮して寄ってくるスクライアを抑えて腕を突き出して離す。

「剣、鉄槌、盾、湖、そして虚空。君が書いていた通り現れたよ」
「そいつは、残念なことだ」
「彼と戦闘したフェイトは医務室で休んでるらしいし」
「……そうか」
「心配?」
「心を切り売りする程度にな」

‐フェイトは無事だったか
‐しかしながら、虚空(笑)
‐在って無いモノ
‐少し考えればいいものを
‐移動主体の騎馬みたいな存在だからな
‐虚空(笑)
‐コクウ(笑)
‐コクウサ!
‐乳はお帰りください
 カット。

「お見舞いに行く?」
「いや…遠慮しよう。あまり関わりたくない」
「そっか……」
「……管理局の人間に何か言われたか?」
「ウッ…えーっと……」

 わかりやすいなぁ。
‐ショタは何をしても可愛いな!
‐ショタ可愛いよショタ
‐あれだ、もうペットにして飼おう
‐子供はペットにできません
 カット。カット!

「もしかして…わかりやすい?」
「かなりな。そうだな……喩えてほしいか?」
「いや、いいです……」
「それは残念だ」

 新しい本を取り出して、空中回廊に腰掛けて開く。

「どうして管理局を恨むんだい?」
「恨んでないかないさ。感謝してないだけさ」
「それは前も聞いたけど……ミカゲって管理世界出身?もしかして管理局と関わってたとか?それとも実は、」
「質問が過ぎるな、スクライア。その質問に答えて俺に得はあるのか?否だ。一切ない。わかったら口を噤んで本を開き、新しい情報を得ろ」
「……うん…」

‐やばい、少し落ち込んでるショタが可愛いおぉおおおおお
‐うへへこれはヤバイですワー
‐破壊力が…!!
‐可愛いは正義!
‐可愛いは兵器!
‐見ろ!人がゴミのようだ!!
 カット。

「あー…もう。ひとつだけ答えてやる。それで許せ」
「ホントに!?えーっと、じゃぁ、」
「ごー、よーん」
「え!?時間制限アリなの!?」
「さーん、いーち、」
「2がなくなってる!?えっと、じゃ、じゃあ管理世界の出身なの?」
「残念、俺は管理世界の出身ではありません」
「そうなんだ……なら、その魔法は?」
「そうだな…ふむ、昔隣に不思議な片目のジジイが住んでいてな。ユグドラシルがどうとか、片目を代償に知識を得ただとか言っていたジジイなんだが」
「それ地球の神話に出てくる神様だよ!?」
「おう、意外に博識だな。うむ、お兄さん嬉しいぞ」
「お兄さんって…一緒ぐらいの年齢でしょ?」
「あぁそうだな。さぁ仕事に取り掛かろう」
「うん…………。あれ?もしかしてはぐらかされた?」

 今更気付いたか。お兄さんは悲しいよ。





「これで満足かい、猫耳管理局員」
「……本当に管理局には」
「クドイ、くどいよ管理局員。例えお前らが俺の命を助けようが、金塊の山を持ってこようが、俺は属するつもりはない」
「決意が硬いわね」
「柔らかい決意など、捨てた方がいい」

 前とは違う猫耳だったか。
‐あぁくどい
‐クドイ
‐わふー!!
 カットカット。








◆◆

「どうしてだろう……」

 目が覚めた私は自分の相棒を撫でる。
 リニスが作ってくれて、アリシアがアレンジを加えた、とても大切な相棒。

 インテリジェントデバイスであるバルディッシュがセネターに掴まれた事を思い出す。
 掴まれて、持って行かれそうになった。
 しかし、バルディッシュは行動を起こさなかった。私が反応しなかったから?たぶん、違う。

「バルディッシュ……」
「フェイトちゃん…」
「なのは!?動いちゃダメだよ!?」

 私と違ってリンカーコアを痛めてるんだから!
 私は、セネターが叫んで気がついた。セネターが?なぜ?

「大丈夫だよ……、ライト君にも無理するなーって言われちゃったけど」
「もう…本当にダメだよ……」
「にゃはは…わかってる。わかってるんだけどね…」

 なのはの顔に影が差す。
 リンカーコアから魔力を取られたことじゃなくて、ライトが怪我をしたからだ。
 怪我、といっても件のセネターみたいに貫かれたワケでもなく、収束魔法にやられたらしい。

「ライト君、私のせいで落とされちゃった……」
「なのはの所為じゃないよ…」
「ううん…ライト君が私に守護魔法を分けてなかったら落ちてたのは私だけだったし、あの仮面の人も」
「なのは!」
「……ごめん、ごめんね」

 泣きそうな声で謝るなのは。
 そんななのはの手を握り締める。握りしめて、安心するように頭を撫でてあげる。

「ライトは大丈夫だよ」
「本当に?本当?もし、ライト君がいなくなっちゃったら、私、ワタシ」
「なのは。大丈夫だよ、大丈夫」

 胸になのはを抱きかかえ、ポンポンと背中を叩いてあげる。一定のテンポで優しく。

「ライトがなのはを置いてどこかに行くと思う?」
「……ううん」
「なら、ライトを信じよう。大丈夫だよ。なのはが泣いてたら彼が悲しむよ」
「うん……うん」
「私たちはまだ、弱いよ。何も助けられないかもしれないし、救えないかもしれない」
「……、うん。まだ弱いよ…」


「強くなろう」
「強く、なろう」

 私たちの小さな誓いは誰かを助ける為にした、私たちの為の誓い。
 こんな誓いを聞いたら彼は何と言うのだろう……。
 不毛だと言われそうだ。
 そんな彼に言ってやろう、お互い様です、って。

 そんな苦笑をなのはにひた隠しにして、私はなのはを布団に引き入れ、ぬくもりを感じながら寝るとしよう。
 反省も後悔もした。次は、負けないし、助ける側に。




**********************************************

〜虚空の騎士:セネター
 予め夕君が提出した報告書に紛れさせた、可能性の一つ。闇の書の過去の事件も報告時に僅かに改変して、その事件は無限書庫の奥深くに埋められました。
 存在しないので虚空

〜コクウ(笑)
 厨二乙。必殺技は相手を異次元に閉じ込めるディメンション・ディストラクション・デス(D・D・D)だ!相手は死ぬぞ!

〜可愛いは正義
〜可愛いは兵器
 語呂合わせとネタ。可愛ささえあれば国の一つ程度滅ぼせるはずだ

〜片目の神様
 神様に珍しく老人で書かれることの多い存在。ちなみに自身の周りに戦う乙女達を侍らすハーレム志願神様……うらy、けしからん

〜クドイ
 つまり、お前がうなぎパイに食われてしまった訳だ

〜リンカーコアを痛めたなのはちゃん
 結局スメラギ君は彼女を守りきることはできませんでした。自身の守りを全てなのはに託せば守れたというのに……。アレは原作に沿う為に、そして原作を改変しハッピーエンドになるために頑張ってます

〜落ち込んでるなのはちゃん
 ちょいヤンデレ……というか、依存度がヤバイ。救済、というか元に戻すための布石でもある

〜誰かの為に誓った、自分の為の誓い
 所詮、助けるなんて他人が出来る訳がない。その事を理解してなお、彼女達は知らない誰かの為に誓いを






〜アトガキ

なのはとフェイトが一緒の布団で寝てる
 誰か、カメラ!早く!急げ!ハリーハリー!!時間は有限で黄金のりんご寄り価値があるんだから!それ以上に価値のあるこの二人の寝顔を早く!誰か!





……………あ。

 えっと、CLAN、いやスランプ、あぁ猫毛布です。
 いつの間にか40頁も書いてるんですねぇ。と感慨深く思ってしまいました。
 そういえば、以前の場所では書いていたのですが、サブタイトルはいりますか?
 ここの表示形式だとちょっと目障りかなぁと思って全部消してるわけですが……


 あと、闇の書事件が終わったら、言っていた様に『IF騙り』を載せます。文字数多いから分割しようか考え中ですけど…。
 あとは、はやてIFも書いてるんですが、TSになってるテヘペロ。男になってないから許してね。言われたら書き直しますけど
 え?すずか様IF?結構爛れた性活を描写しないといけなくなるから怖いんですけど?エロエロどころの話じゃなくて、もうなんていうか、ドロドロ?主にモン娘的な…前々から言ってますが、彼女を書いてると血を吸われながら***、とかそんな事を本文中に書いてしまう私がいるので、本当に怖いんです。すずか様の御手をぺろぺろしたいです。
 どこをどう書いても男受けでした、本当にありがとうございます。

 この作品は迷走してるなぁ。とホトホト思います。書こうと思ってた場所を思いっきり飛ばしてますし。後付け設定余裕でした。ワロタ。殺される。DDDされる。

-40-
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