小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「人間の脳には使われていない66%があるらしいな。まぁフェイトなら33%の使っている脳内で楽勝さ」
「そうだねー」
「うぅ…」
「イヤーサスガフェイトダワー、コレデ日本語モ完璧ダワー」
「ソウダネー」
「うわぁー!!」

‐ついに突っ伏したか
‐まったくこれだからゆとりは
‐ゆとりっぽい人生は歩んでないけどな!
 カット。
 放課後の教室で美少女と勉強会。
 教える人、俺。
 教えられる人、美少女(妹)。
 弄る人、美少女(姉)。
 その他、美少女の友人美少女三人。あと一名。
‐ワオッ、カラフルじゃないか
‐金三人に茶色と紫と黒か
‐もう少し明色がだな
‐銀とか?
‐アーヒツヨウダローナー

「おい!フェイトを虐めんなよ!」
「あー、悪かったな。じゃぁこの勉強会はお前らでしてくれ。俺は帰るわ」
「ちょっと待ちなさいよ!」
「離せ、いや、離してくださいバニングスさん」
「あんたが先生に頼まれたんでしょ!」
「テスタロッサ妹の勉強だけな。お前らは別だ」

 国語の成績が著しくないフェイトの対応として、なぜか俺に役割が回ってきた。
 ツンデレは成績トップだし、フェイトとも仲がいいし、俺いらなくね?いらないよな?

「ダメだ。俺の必要性がまったく見当たらん。自宅で本を読んでる方がまだ生産的だ」
「何も生産してないじゃない」
「知識から何かを生成出来る可能性を増加させるために本を読むのさ、ご理解?」
「いちいちウザったいわね」
「それは恐悦至極」
「おい、アリサに手を」
「御影君?」
「おーけー、睨んでくれるな月村。俺の血液が凍る」
「……それはそれで、おいしそう」

 なぜ美味しそうと食べ物の話に?
‐あれか、すずかタンに食べられるのか
‐カニバリズムの性癖でもあったのか
‐おいおい性癖って決め付けるなよ
‐でもすずかタンに指先からゆっくりと食まれるのは、なかなか
‐ロリコン乙
‐同い年だから問題など、なかった!
‐今のうちに色々仕込むべきなのか?
‐いや、未来なんてないんだし誰かの為に仕込むとか勘弁だわ

「おい!俺を無視するなよ!」
「…あー、なんでお前が居るんだ?」
「俺も成績優秀者だからな!前のテストでは満点だったぜ!」
「スゴーイ、オレトカイラネージャン」
「そうだ!お前なんていらないんだから帰れよ!!」
「ということだ、帰る」
「はいはい、席に着きなさい」
「俺の席ねぇーから!」
「立って、挨拶したのだから、次は着席でしょ?」

 ツンデレに無理やり座らせられた。まぁ、いいんだけどさ。
‐はぁ
‐ヘァ!
‐一人用のポッドでも探すか
 グシャってされそうだ。

「で、フェイトはどこがわからないんだ?」
「えっと…どうしてこんな問題が出てるのかなぁ、と」
「それは…あれだ」
「なに?」
「そういうモノなんだ!」
「…うわぁ」

 思わず漏れてしまった声。俺じゃなくて、アリシアから。
 俺も漏れそうだったけど我慢した。思わずアレと仲がいいらしい高町に向くと苦笑してるし。
‐あれかフェイトは日本語不全とかじゃなくて、考えすぎなのか
‐当然の疑問だよな
‐既に死去した人間の気持ちなんぞ、文面から読み取れだなんてなかなかオカシナ話だからなぁ

「そのあたりはどうなのよ、御影先生?」
「俺より優秀なバイリンガルガールに聞いてください」
「その人間があなたの意見を聞きたいのよ。言え」
「強制ですね、わかります」

 溜め息を一つだけ、わざとらしく吐いた後にフェイトに向く。

「実際、その類の問題文は【筆者の心境を答えよ】だが、答えは多岐に渡る。数学みたいに答えが一つじゃないんだ。つまり正解はない」
「じゃあ問題を出す意味ないよ?」
「読書感想文と一緒さ。本を読み、思ったことを書く。その行動は子供の読解力、文章作成力、あとは想像力を高める。これを宿題、もしくはテストとして出しているのは【強制されている】事が大切だからであり、自主的に出来る人間からはかなり違和感を感じるんだよ」
「えっと、つまり?」
「テストでいい点取りたきゃ、難しいこと考えずに波線の前後を読め。問題の意図が知りたきゃ問題製作者に、本の内容が知りたきゃ図書館に。なぜ【強制されてる】かが気になったのなら大人の日本人を観察しろ」
「わかったような、わからないような」
「フェイトが疑問に思ってることは大人になれば理解するさ。まぁ日本人のいい部分と悪い部分だからな」
「イイ部分?悪い部分?」
「伝統を重んじる、相手任せな、自主性の欠けた、スバラシイ大人だ」

 そんな人間に育って欲しくはないので、わざとらしく悪く言ったわけだが、どう転ぶかはわからない。どうでもいいか。
 椅子に深く座り話は終わりました、と言わんばかりに本を取り出す。

「うーん…ユウが言う感じの大人にはなりたくないかな」
「フェイト、たぶん成れないだろうから大丈夫よ」
「そうなの?」
「うん。もしなりそうなら、私とお母さんが止めるから」
「それは、無理そうだ」

 金髪二人はクスクス笑い、机に向かう。
‐あぁ、面倒な演説だ
‐あぁ銀色の視線がうぜぇ
‐金髪しまいがイチャイチャしてるよ!
‐成長しても仲良さそうだな
‐成長したら、肉体的にはプレセア様の血族だからだな
‐あれか、マシュマロが四つになるのか!
‐おいおい見ろよ…圧倒的だろ
‐これは早急に作成を急がねば
‐赤黒い色だけでどれほどデザインに凝れるかが、勝負!
‐上下セットでショーツも作成するかな
 カット。

「図書館なら、私よく行くよ?」
「そうなんだ。今度連れて行ってよ!」
「うん、図書館で出来た友達も紹介するね」
「へー読書仲間か…いいね!」
「とってもいい子だよ。…今は入院しちゃってるけど」
「…そっか…どこか悪いの?」
「足が悪いらしくて…でもとっても元気な子だよ」

 図書館で、足が悪くて、元気な子?
‐でも入院はしてないだろ?
‐最近会ってないからわからんがな
‐シグナム達からは『元気』と伝えられてるからなぁ

「あ、これがその子なんだけどね」
「――ッ」

 見せられた画面に写るのは、今しがた想像していた彼女で。
 その顔はいつもの笑顔で。

「どうかしたの?ユウちゃん」
「いや、俺もいい加減携帯電話を持とうか考えてた」
「まだ持ってなかったの?」
「連絡取る人間はいないからなぁ」
「私たちがいるよ」
「お前らは勝手に来るだろ」

‐入院?
‐落ち着け、まだソウ決まったわけじゃない
‐まだ解決策が見当たらないのに

「今度一緒にお見舞いに行こうか」
「賛成ー」
「じゃぁそんな風にメールしとくね」

‐管理局にもバレる
‐コレは、ヤバイ
‐管理局の対応はどうなる?
‐夜天を、壊すだろう
‐ならば、はやては?
‐はやてはどうなる?
‐それは、

「カット」
「え?」
「……用事を思い出した、悪い」
「え、あ…うん」
「国語に関しては、また教える」
「いいよ、大丈夫。みんな居るし」
「そうか。なら全員、気をつけて帰るように」

 本をカバンに突っ込み、カバンを持ち上げて早足になる。
 教室を出て、少し廊下を歩いた所で走り出す。
‐痛覚遮断
‐魔力循環
‐感知妨害魔法行使
‐周辺解析魔法行使
‐周辺に熱源無し
‐駆けろ
 誰もいないことを確認して、爆発的に加速する。
 頭の中に湧いて出る予想を常に潰しながら。





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―ヘァ!
―一人用の脱出ポッド
 ブロッコリーは伝説と化しました。デデーン


―立って、挨拶〜
 起立、礼、着席

―【強制されている】
 強いられているんだ! ではなく、日本人の特性上、こちらのほうが都合がいい。別に不特定多数を卑下しているわけではないので悪しからず

―感知妨害魔法
 魔力反応を偽装するための魔法。正確には広域隠蔽魔法にあたる。普段使っている解析魔法をバラして再構築にて構成

―上下セットの赤黒い女性下着
 蒸れない、適温を保つ、履き心地抜群で、デザイン良し。とある一つさえ省けば最高の下着を目指してユウ君は日常生活でも思考の一つで常に式を繰り返し編んでます





―アトガキ
 どうも半月間でいろいろありました。猫毛布です。
 ココのメンテ開始で引越し終わりだったのですが、すっかり書けなくなってます。故に少し急ぎ足で物語を進めてます。
 今回の話はツンデレがユウ君を軽い調査してます。夕君を「御影先生」と呼んでいるのは、放課後教室からではなくて、ちょっとした彼女のお茶目です。

 先に言っておけば、夕君に入院話題を出さなかったシグシグ達は言えば夕君がどういう行動に出るか想像できたからです。いままでがアレだったんだから、心配もするよね!
 英雄(笑)と化物がはやて話題に入らなかったのは無闇に口を出すと管理局に怪しまれるからです。立場が違うだけでクズさが違いますね。


 一応なろうで書かせてもらいましたが、ここでも。
 ここの仕様が携帯で読めない仕様になってしまったのと、どうも今現在の仕様だと私がムリポ状態なので。

 移転します。いや、ここでも更新は続けるんですけどね。
 なるべく、自サイトという選択肢はしたくなかったのですが、踏み切ります。
 色々準備とか出来次第、どうにかここにも告知します。

 申し訳ありませんが、お付き合いいただけるとありがたいです。
 優柔不断でごめんなさい。

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