小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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「なのは!無事か!」
「ライト君!!怪我してるよ!!」
「スターライト・ブレイカーを間近で防御してたからな」

 それは、またご苦労なことで。
‐魔力還元
‐先ほどの砲撃魔法の魔力残量はほぼ消失
‐全部防御に回したからな
‐吸った先から防御魔力に還元ってどれだけ面倒なんだ
‐絶対戦いたくないな

「ま、オレは戦えるけどな!」

 あぁ、張り合ってるのか。なんというか子供らしい。
‐あいつからすればバグとの張り合いだからか
‐同じだなんて思いたくもないけどな
‐まるで夢みたいだわ
‐悪夢だ、悪夢
‐ところがどっこい夢じゃありません!

「で、これからどうするんだ?」
「クロノが解決策を持ってこっちに来てるみたい」
「ヤー。じゃぁとりあえずはもう少し時間稼ぎだな」
「それと投降と停止を呼びかけないと」

 思わず顔をしかめてしまう。
‐それで夜天が止まるか?
‐否
‐アレは目的を達成するまで止まらない
 カット。それでも、止めるんだ。

「我が主はこの世界が…自分を愛するものを奪った世界が悪い夢であってほしいと願った」
「非常に残念だが、これが現実だ」
「故に、主には穏やかな夢の内で永久の眠りを」

 穏やかな夢の中のはやては、幸せなのだろうか。幸せならば、俺の目的は本当にはやての為になるのだろうか?
‐カット
‐カット
 いや、俺ははやてに願われたのだ。ならば、俺はそれを守ればいい。
 たとえ、それがはやてにとって、悪夢を見るとしても。

「そして、愛する騎士と人を奪う者には闇を…」
「闇の書さん!」
「…お前も、私をそう呼ぶのだな」

‐術式解析
‐召喚魔法?

「くるぞ!」

 バカが剣を構え、地面に向く。
‐空間解析に反応
‐【ムカデ】か!
 近くにいたフェイトの腕を掴み、ビルに跳ぶ。
 コンクリートに亀裂を走らせながら、【ムカデ】の触手が伸びる。

「よりによってムカデさんか」
「ユウ、ありがとう」
「勧告を続けてくれ。守れる程度に魔力はあるさ」
「うん」

 ビルの屋上にフェイトを降ろして、床に手をつける。
‐結界魔法展開準備
‐触手の接近を確認
‐スフィア展開
‐速度の速い弾を精製

「撃て」

 朱色の弾達が触手に向かい動きを止めていく。
‐弾幕継続
‐結界魔法準備完了
‐これでフェイトたんは逃げきれない
‐ハァハァ…おじさんと二人ッキリダヨ
‐おつつけ、まずは心をほぐすことからだな
‐お前が落ち着け

「それでも、私は、主の願いを叶えるだけだ」
「そんな願いを叶えて!はやてが喜ぶのかよ!!」
「心を閉ざして、何も考えずに主の願いを叶えるための道具でいて、あなたはそれでいいの!?」
「おうふ…」
「ユウ?」
「いや、なんでもないさ」

 それでいい。彼女は魔道書なのだから。
 意思があっても、彼女は主を思う道具なのだから。
‐なら自分は?
‐カット
 俺もこれでいい。
 彼女の、彼ら達の願いを叶える為に生きて、それでいい。

 言葉は偽るために。
 心はあの時に置き去りに。
 体はその時の為に。

「ユウ!」
「…あぁ、すまない」

 思考に浸りすぎた。
‐フェイトたんの不安顔ぺろぺろ
‐うへへ、もう本当にぺろぺろしていいんじゃない?
‐コレは、あれだ、そう仕方がないんだ!
‐カット
‐先にはやてを

「私は道具だ。悲しみなど……ない」
「そんな言葉を…そんな悲しい顔で言ったって。誰が信じるもんか!」
「あなたにも心があるんだよ!」
「オレがお前も!はやても救ってやるから!もうやめろよ!」
「いいぞ、もっとや、ごめんホントごめん刺さってる!バルディッシュ刺さってる!」
「ユウは少し黙ってようか?」

 両手を上げて降参の意を示す。
 どうも、自分が責められてるようで。
‐置き換えるなよ
‐主を守る崇高な魔道書と
‐望みを守る低俗な化け物を
 第一、俺は管理局の味方になったわけではない。
 今でさえ夜天が武装放棄したならばはやてを連れ去る算段をしている訳だし。
‐空間に歪み発生
‐解析エラー
‐空間を自身及び夜天周辺に切り替え
 大地が揺れ、火柱が地面を突き破り天に伸びる。
‐セカイノオワリってこんなモノか?
‐なんか随分とドラマ的だことで

「早いな。もう崩壊が始まったか」
「幾度となく世界を繰り返したからこその言葉だな」
「私も時期意識を無くす。そうなればすぐに暴走が始まる」

 それが俺のタイムリミットか。
‐暴走プログラムの書き換え前に暴走が始まるのはヤバイ
‐行動中のプログラム改変はムリだと思うし
‐それまでにどうにか

「意識のある内に、主の願いを叶えたい」

 夜天の本が光り、俺たちの周りに赤いクナイ型の刃が出現する。
‐防御可能
‐回避可能
‐しかし結界内に出現か
‐確かに簡易結界だが、いやはや構成が甘い

「スフィア展開」

 刃に向けて地面から朱色の魔法弾が飛ぶ。
 当たったことは視認できたが、当たると同時に爆発して煙い。

「ゲホッ、前が見えね」
「この…」
「おぉフェイトさんや、頼むから俺をこの空間から」
「駄々っ子!!」

 えぇ…。
‐フェイトから魔力反応増幅

「言うことを、聞けぇぇぇぇえ!」

‐フェイト解析空間より離脱
‐おいおい対象を追うように設定してんだぞ
‐ストーカーもびっくりだな
‐夜天より蒐集反応

「フェイト!やめろぉ!!」

 バカの声が聞こえたがそんな事もどうでもいい。
‐蒐集機能により夜天の動作停止
‐接触可能と判断
‐フェイト・テスタロッサより先に

‐脚部に魔力蓄積
‐魔力暴発危険域にて安定
‐意識の薄い下からの奇襲を選択
‐ルート確認

 ビルの端を蹴り地面に鋭角に向かい跳ぶ。
‐体制保持
 左足から朱色の魔力が溢れて漏れる。
‐距離300
 勢いを殺す事なく直進。
‐距離100
‐フェイト・テスタロッサ、夜天の解析空間に侵入
 垂直に、夜天とフェイトの間に割り込むように足に溜め込んだ魔力を暴発させ、垂直に翔ぶ。
‐距離3

「お前も、我が内で眠るといい」
「ハハッ!いいね!是非とも寝心地のいい夢を所望してやるよ!!」
「―ッ!」
「ハァァァアアアアアアアア!!」

 バルディッシュと俺の左手が夜天の防壁に阻まれる。
‐接触失敗
‐蒐集開始確認
‐このまま吸われてやるよ

「フェイトちゃん!!」
「フェイトォォ!」
「ッチ、クソめ!!」

 剣を振りかぶったバカがこっちに直行してくるのが見えた。
‐スフィア展開
‐ここでアレに来られると面倒だ
‐こうなったら保険は多い方がいい
‐魔法弾射出

「ッ!テメェ!!」
「……」

 自分の身体から朱色の粒子が発生する。フェイトからは黄色の粒子。
‐一度分解して取り込もうってか?
‐再構築とかも出来るのかね
‐ふむ、なかなかに素晴らしい機構だ

「ユウぅ!」
「フェイト。お前も守るよ…絶対に」

 そして俺の意識は途絶えた。


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〜英雄として
 彼は星光砲を直で受けてました。余波とかが微妙に緩くなってます。描写してないのは元々の星光砲を夕自身が知らないので。

〜ま、オレは…
 ソウダネースゴイネー

〜真面目になれない夕
 どこかふざけてるのは空気が耐えれない訳じゃなくて、話を折って少しづつ時間を稼ぐ為。別に作者が空気に耐えれてないとか絶対にない

〜ところがどっこい、これが現実です
 さぁ、地獄へお帰りください

〜バル刺し
 本当にユウリンの扱いに慣れてきたフェイトたんぺろぺろ

-50-
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